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【ADHDはなぜ軽視されてきたのか?】2つの理由を通して考える

投稿日:2022年5月10日 更新日:

ADHD(注意欠如多動症)は、多動性・衝動性・不注意を主な特徴としています。

 

著者は、学生時代にADHDという言葉を初めて知りました。

当時は、ADHDと言えば、子どもに特徴的な障害であり、大人になると軽減するといったイメージがありました。

しかし、現在は、大人のADHDが非常に注目されるようになり、メディアなどで取り上げられたり、著名人の中にもADHDだといういう人も多くいると言われています。

以前の状況からすると考えられない事態です!

 

それでは、なぜ、ADHDは軽視されてきたと考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、ADHDはなぜ軽視されてきたのかについて、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、2つの理由を通して理解を深めていきます。

 

 

今回、参照する資料は、「岩波明(2017)発達障害.文春新書.」です。

 

 

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ADHDはなぜ軽視されてきたのか?理由1:ADHDの病因に関する誤解

以下、著書を引用しながら見ていきます。

20世紀初頭より、ADHDは軽度の脳損傷の結果生じる「シンプルな」疾患であると見なされてきた。このため、原因は明らかで、「単純」な「面白みのない」ものであると考えられ、時間をかけて研究を進める対象とは扱われなかった。

著書の内容から、当時のADHDの理解は単純でわかりやすい疾患であるとの認識から(病因に関する誤解)、研究対象になりにくかったようです。

そうした理由から、研究が進まず、社会的な理解も進まなかったということになります。

一方で当時は、自閉症に関しては多くの注目を集めており、研究も進み社会的認知も広まっている状況でした。

著者が、最初に発達障害という言葉を知ったのも、自閉症からでした。

その頃は、自閉症当事者の手記や自閉症関連の書籍も多く出版されていました。

このように、研究が進むことで社会への認知も高まるといった背景がある一方で、ADHDは行動上のわかりやすい特徴(当時はそう思われていた)などから、なかなか研究対象には上がらなかったという背景があるようです。

 

関連記事:「【ADHDの症状が発症する原因について】DMN障害仮説を通して考える

 

 

ADHDはなぜ軽視されてきたのか?理由2:ADHDは大人になれば改善するという誤解

以下、著書を引用しながら見ていきます。

かつてADHDは子供の病気と見なされてきたという歴史がある。小児期のADHDについては、成人すれば症状の大部分は改善するものと考えられてきたため、成人の患者についてなかなか目が向けられなかった。

著書の内容から、当時は、ADHDは子供に多く見られる行動特徴であると考えられており、大人になるとその多くは改善すると考えられていたこともあり、注目度が低かったようです。

冒頭でお話しましたが、著者も当時のADHDの理解は子供特有の障害というイメージが強く、大人になると良くなる、あるいは軽減するものだと思っていました。

しかし、成人してもADHDの特徴を有する人が非常に多いことから、年々注目度が高まっているようです。

著者の周囲にも成人のADHDの方(あるいはその疑いのある方)がおります。彼らの話では、ADHDの特性そのものはなくなるのではなく、特性との付き合い方を本人なりに学んだり、その特性を仕事などで発揮している人、また、特性があることで悩んでいる人まで様々です。

少なくとも、ADHDの特性そのものはなくなるものではないということ、特性からの困り感を抱え続けている人の多さから社会の認識が広がったようです。

 

 


それでは次に、著者の療育経験を通して、ADHDへの認識がどう変化したのかについて簡単にお伝えします。

 

著者の経験談

著者は学生時代から、発達障害関連の様々なボランティア活動や学内活動を行ってきました。

その中には、ADHDといった診断を受けた子どももいました。

その子どもは、とにかくエネルギー全開で活動するといった感じで、夕方頃になると疲れ切ってしまうほど、エネルギーのコントロールが難しい子どもでした。

当時の著者は、この子どもを見て、ADHDとは、このような多動性や衝動性の特徴がはっきりと行動面から伝わってくるものだと思い、とてもわかりやすい特性だと考えていました。

また、当時は、自閉症の社会的認知が急速に広がっていたこともあり、ADHDについてはそれほど取り上げられることは少ないといった印象がありました。

つまり、自閉症など他の発達障害が主流の中、ADHDは比較的わかりやすいタイプであると考えていました。

さらに、大人になるにつれて改善されるものだとさえ思っていました。

しかし、その後、多くの療育現場での経験を通して、おとなしいが忘れものが多いなど不注意優位のADHDの子どもや、成人のADHDの人などを見て、非常にわかりやすい行動面にだけ目を奪われていたことに気づかされました。

成人の人の場合には、個々に応じて特性への付き合い方を身に着けている場合もあり、状態像も多様です。また、特性を強みに変えている人もいます。

こうした経験から、当時、それほど着目されていなかったADHDへの理解がさらに深まったように思います。

そして今では、ADHDは著者が当初抱いていた理解しやすいものだという認識は完全になくなりました。

 

 


ADHDもそうですが、ASDやLDなど、様々な発達障害及びその特性の理解には時間がかかるものだと思います。

理解を深めるためには、多くの臨床経験と、その中で学び続ける姿勢が重要だと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も発達特性への理解を深めていきながら、療育現場でより良い支援ができるように頑張っていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 


ADHDに関するお勧め書籍紹介

関連記事:「ADHDに関するおすすめ本【初級~中級編】

関連記事:「ADHDに関するおすすめ本【中級~上級編】

 

 

岩波明(2017)発達障害.文春新書.

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