ADHD(注意欠如多動症)とは、不注意・多動性・衝動性を主な特徴とした発達障害です。
ここ最近では、大人のADHDが注目を集めており、ASDと並んで発達障害の社会的な認識が進んできている代表的な発達障害となっています。
それでは、ADHDとは具体的にはどのような症状・行動特徴があるのでしょうか?
そして、行動特徴の背景要因や支援方法にはどのようなものがあるのでしょうか?
そこで、今回は、療育現場でADHDの人たちとも関わりのある臨床発達心理士である著者がADHDに関するおすすめ本3選【中級~上級編】について紹介していきます。
実際にこれから紹介する本を通して著者自身、ADHDへの理解が深まった、支援の役に立った等、有益な知識を得ることができました。
ぜひ、参考にしていただければ幸いです。
1~3の番号はランキングではありません。紹介内容を見て入りやすい本から手に取って頂けるといいかと思います。
1.ADHDの正体: その診断は正しいのか
大人のADHDが急増しているという状況において本書では診断の正確性や薬物投与への疑問を投げかけています。
精神科医の〝岡田尊司さん″が手掛けた本書には、ADHDと似た〝疑似ADHD″の可能性について様々な事例を通しての考察が記載されています。
〝疑似ADHD″の中には、過去の養育者との情緒的な絆である愛着関係に問題があることが原因だと推測されるものが思いの他多いと考えられています。
大人のADHDが急増している中で、ADHDへの治療や支援がうまく行かない背景要因に目を向けることで、新たな症状の正体が見えてくるそんな本となっています。
また、症状への回復・予防についての対応策も載っています。
大人のADHDに興味にあるすべての方にとって多くの学びが得られる本になっています。
2.ハーバード式 大人のADHDパーフェクトガイド
海外のADHDの専門家の方々が手掛けた翻訳本になります。
大人のADHDについての理解を深め、その対応方法について実践的に学ぶことができます。
中でも、キーワードとして、〝FAST MIND″があります。
〝FAST MIND″はADHDの特徴の頭文字を英語でまとめたもので、日本語でそれぞれの頭文字を表すと、〝忘れっぽい″〝力を発揮できない″〝行き詰まりがち″〝時間に追われる″〝意欲がない″〝衝動的″〝新しい物好き″〝注意散漫″〝散らかしがち″となります。
この本では、これらの特徴についての説明に加え、誰でも実践可能な方法が多く載っています。
大人のADHDの当事者をはじめ、周囲に当事者の方がおり困り感を抱えている方にとってとても役立つ本になっています。
3.注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン 第5版
本書は、ADHDとはどのような疾患か、ADHDの診断・評価、ADHDの治療・支援、子どものADHDの中長期経過および成人期のADHDなどから構成されています。
さらに、子どものADHD臨床面接フォームやADHDに関する親用パンフレットも載っています。
そのため、医師や心理士などの専門家をばじめ、一般の方にとっても読める部分・参考になる点も多くある本となっています。
現在のADHDに関する診断・治療について深く学びたい方にとってはこれ以上ない専門書だと言えます。
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