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【〝叱る″ことによる弊害とは?】学びや成長を支えるメカニズムを通して考える

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私たちの多くは、親や学校の先生、職場の上司などから叱られた経験のある人が多くいるかと思います。

また、叱られた人は自分よりも立場が低い人に対して、逆に叱るようになった人も多いと思います。

〝叱る″という行為は、相手の行動を修正・改善しようといった意図からくるものですが、その効果はほとんど期待できないと考えられています。

 

関連記事:「【叱ることには効果があるのか?】発達障害児支援の現場を通して考える

 

それでは、逆に、〝叱る″という行為によるデメリットとして、どのようなものがあると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、〝叱る″ことによる弊害とは何かについて、学びや成長を支えるメカニズムを通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「村中直人(2022)<叱る依存>がとまらない.紀伊国屋書店.」です。

 

 

 

〝叱る″ことによる弊害とは?

〝叱る″ことによって、人は〝防御システム″が活性化すると考えられています。

つまり、自分のネガティブ感情が脅かされることで、その感情を必死に守ろうとする反応が見られるというものです。

例えば、仕事でミスをした場合、ミスを起こしたことでネガティブ感情が生じます。

すると、職場の上司がそのミスに対して、頭ごなしに〝叱る″行為を取ったとします。

ミスに対して強く叱られることで、自身のネガティブ感情が脅かされることになり、その状態を守ろうとする機能として〝防御システム″が働くということです。

多くの場合、少しでも早くこの状況を抜け出したいという思いが生じると思います。

つまり、逃走本能が働きはじめると言えます。

 


それでは、〝防御システム″が活性化した状態で人は様々なことを学ぶことができるのでしょうか?

以下、著書を引用しながら見ていきます。

ここでとても大切なのは、この「防御システム」が、人の「学びや成長」を支えるメカニズムではないことです。

 

「防御システム」は、人の学びを支えるメカニズムとは真逆のシステムなのです。

 

著書には、〝防御システム″とは、そもそも人の〝学びや成長″を支えるメカニズムとは真逆のシステムといった記載があります。

つまり、〝防御システム″が活性化した状態では、人は様々なことを学び成長することが難しいと言えます。

 

 


それでは、〝学びや成長″のメカニズムはどのような基盤によって支えられているのでしょうか?

次に、この点について見ていきます。

 

学びや成長を支えるメカニズムについて

以下、著書を引用しながら見ていきます。

私なりに表現するなら、欲求に基づく行動を引き起こす報酬系回路の働きは、人間にとって「冒険システム」とでも呼べるメカニズムなのです。

 

冒険は常に、ワクワクする気持ちと困難を乗り越えるための試行錯誤や創意工夫に満ちています。

 

著書には、人の〝学びや成長″の根源は〝冒険システム″によって支えられているとの記載があります。

冒険システム″とは、欲求に基づく報酬系回路が基盤となっており、人が何かに挑戦しようとしたり、物事を新しく生み出そうとする原動力になっていると言えます。

つまり、人が学び成長していく上で大切なことは、○○をやってみたい!○○に挑戦しよう!困難な状況を何とか乗り越えよう!といった〝冒険システム″が影響しているということです。

そして、〝冒険システム″は、先に見た〝防御システム″とは真逆のシステムだということです。

そのため、〝叱る″という行為は、人の学びや成長を妨げる可能性が非常に高いと言えます。

 

 


以上、【〝叱る″ことによる弊害とは?】学びや成長を支えるメカニズムを通して考えるについて見てきました。

私たちの中には、自分よりも立場の低い人の望ましくない行動を見た際に、〝叱る″ことを通して行動を改善しようとすることがあります。

一方で、今回見てきたように、〝叱る″ことを通じて、人の学びや成長に繋がる行動改善を期待することは低いと言えます。

人が中長期的なスパンで様々なことを学び、成長していくためにも、〝冒険システム″といった報酬系回路の活性化が必要になってくるからです。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も自分が関わる療育現場の子どもたちの冒険システムを活性化していけるような関わり方を試行錯誤していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【叱ることの効果について】発達障害児支援の現場を通して考える

 

 

村中直人(2022)<叱る依存>がとまらない.紀伊国屋書店.



-叱る, 成長

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