著者は発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育を長年にわたり行ってきています。
療育において〝遊び″は子どもの成長・発達においてとても大切です。
著者は〝遊び″の中で〝ごっこ遊び″よく行います。
一般的に、自閉症などの発達障害児は、〝ごっこ遊び″が苦手だと言われています。
それでは、自閉症などの発達障害児もごっこ遊びを行うことは可能なのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児もごっこ遊びは可能であるのかについて、臨床発達心理士である著者の経験談を踏まえて、ごっこ遊びを可能にする要素について理解を深めていきたいと思います。
ごっこ遊びを可能にする要素:療育経験を例に
著者は現在、放課後等デイサービスで小学生を対象に療育をしています。
療育経験を通して、〝自閉症″といった〝発達障害児″においても、〝ごっこ遊び″は可能であると感じています。
一方で、〝ごっこ遊び″を可能にするためにはいくつかの要素が必要だと考えています。
それでは、次に〝ごっこ遊び″を可能にする要素について具体的に見ていきます。
1.認知機能の育ちが必要
〝ごっこ遊び″とは、別名、〝象徴遊び″とも言われています。
〝象徴遊び″とは、ある対象(心の中のイメージ)を別の対象に置きかえる遊びのことです。
例えば、警察ごっこでは、実際の警察官のイメージが頭の中にあり、それを具体(警察グッズ、警察のまねなど)に置きかる力が必要になります。
そのため、〝象徴機能″といった〝認知機能″の育ちが〝ごっこ遊び″を行う上で必要になります。
能力面について言えば、〝認知機能″を育てることが、〝ごっこ遊び″を行う前提として重要になります。
2.特性を踏まえた関わりが必要
〝自閉症″などの発達障害児は、興味関心が非常に限定しています。
これは、〝弱い中枢性統合″とも言われています。
興味関心の狭さといった特性を踏まえて、彼らの興味の世界を把握していくスタンスがとても大切になります。
著者が見てきた子どもたちは、興味関心が狭い一方で、特定の領域において多くの知識を有しているケースが多く見られます。
そのため、彼らの興味関心を活用して〝ごっこ遊び″へと発展させていくことが、特性を踏まえた関り上、とても大切だと感じています。
3.大人のコーディネートが必要
〝ごっこ遊び″は、子ども同士においても見られます。
一方で、発達障害など発達に躓きのある子どもたちは、子どもの力だけで、遊びを発展させることに難しさがあります。
一方で、大人が子ども集団をうまく調整していくことで、子どもそれぞれの良さや役割などをうまく引き出していくことができます。
〝ごっこ遊び″を成立させ発展させていくためにも、大人のコーディネート力が必要不可欠だと感じています。
4.最終的には、その子の好き!楽しい!感覚が必要
〝ごっこ遊び″を初め、〝遊び″で大切なことは、子どもの〝主体性″です。
例えば、〝自らやってみたい!″〝集団に参加したい!″などの子どもの内部の動機を掴み、その心を伸ばしていくことがとても大切だと思います。
その前提として、子どもが何に興味があるのか?どのような遊び方が好きなのか?といったことを、大人が関わりの中で感覚的に掴んでいくことが必要です。
〝遊び″はあくまでの強制的なものではく、子ども自身の自発性・主体性が大切だと言えます。
以上、【発達障害児もごっこ遊びは可能か?】ごっこ遊びを可能にする要素について療育経験を通して考えるについて見てきました。
著者は子どもとの〝ごっこ遊び″を通して、時々、時間を忘れて遊びに没頭していることがあります。
そして、このような時の方が、非常に質の高い〝遊び″を行うことができているのだと実感しています。
そのため、大人側においても〝遊び″に没頭する力を磨いていくことがとても療育経験を楽しいもの、充実したものにしていくためにも大切だと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で子どもたちと遊びを通して楽しい時間を共有していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事:「【ごっこ遊びの大切さについて】療育経験を通して考える」
関連記事:「療育(発達支援)に役立つ遊びに関するおすすめ本【初級~中級編】」