著者は療育現場で発達障害など発達に躓きのある子どもたちと関わってきています。
対象年齢は、未就学児から小学生のため、活動のメインは〝遊び″になります。
子どもたちは〝遊び″を通して、自己を発揮し、他者との共有経験を高めていきます。
それでは、遊びの中でも、〝ごっこ遊び″には、どのような大切な要素があるのでしょうか?
そこで、今回は、ごっこ遊びの大切さについて、臨床発達心理士である著者の経験談を踏まえて理解を深めていきたいと思います。
ごっこ遊びの大切さについて
著者は〝ごっこ遊び″には、次に三つの大切な要素があると感じています。
それでは、次にそれぞれについて具体的に見ていきます。
1.イメージ能力が育つ
〝ごっこ遊び″とは、心でイメージしたもの(表象したもの)を他のものに見立てる(置き換える)力が必要になります。
例えば、料理ごっこをしている際に、実際の食材や料理などをイメージして、本物ではないおもちゃや自分で作った工作物などに見立てて遊ぶなどがあります。
つまり、子どもの心の中で、〝イメージ(表象)″⇔具体物(おもちゃや工作物など)、といった関連付けが行われる必要があります。
さらに、この〝イメージ(表象)″を形成するためには、実際の経験が必要になります。
子どもたちにとって、様々な〝ごっこ遊び″の基礎は、実体験がベースとなっており、様々な経験の中で特に興味を持っているもの、憧れのあるものを〝ごっこ遊び″の中で行おうとする傾向があると感じています。
子どもたちは〝ごっこ遊び″を行うことで、〝イメージ(表象)″の力が育っていくのだと思います。
2.創造力が育つ
〝ごっこ遊び″は〝イメージ″する能力といった〝想像力″の育ち以外にも、新しく物事をクリエイトするといった〝創造力″の育ちにも貢献すると感じています。
子どもたちは、〝ごっこ遊び″を通して、自ら〝こうしたい!″〝こういったものを作ってみたい!″など、既存の枠を超えた、より創造的な遊びをしようとすることがあります。
例えば、工作遊びでゲームのキャラクターが使う武器をよく作る子どもがいます。
その子は、様々な武器を最初は見本を見ながら作っていましたが、ある時期を境に、見本とは異なる要素もプラスして武器を作成する様子が出てきました。
このように、〝イメージ″する能力は、その力が成長していくと、自ら新しい物を〝創造″する力に繋がっていくのだと思います。
3.大人や他児とイメージを共有する
〝ごっこ遊び″は一人で行うこともありますが、多くの場合、大人や他児と一緒になって行うことがよくあります。
著者は日々、子どもたちと〝ごっこ遊び″を通して、様々な〝イメージ″を共有しています。
〝ごっこ遊び″が他児同士でうまく成立するためには、〝ごっこ遊び″の対象となっている興味関心が一致していること、また、ある程度、〝ごっこ遊び″ができる認知能力があることが必要だと思います。
面白いことに、仮にはじめは興味関心が一致していなくても、他児がやっている遊びに興味を示し、その後はその遊びにのめり込んだり、また、部分的にでも興味が繋がる部分があれば、あとは著者が役割分担を決めるなど、うまく他児との関わり方を調整することで、〝ごっこ遊び″がうまく成立することもあります。
子どもたちは、〝ごっこ遊び″を通して、自分のイメージを他児に伝えたり、他児のイメージを汲みとるなど、〝イメージ″を共有する能力が育っていることを感じる機会が多くあります。
まさに、〝遊び″を通して、他児を知る、他児の良さを知る、他者と関わる楽しさを知ることができるのだと言えます。
以上、【ごっこ遊びの大切さについて】療育経験を通して考えるについて見てきました。
ごっこ遊びは子どもに限らず大人もまた楽しんで行うことがあります。
身近な例で言えば、ドラマや映画などにも〝ごっこ遊び″の要素がふんだんに取り込まれているのだと思います。
それは、現実とは異なる〝イメージ″の世界があり、それを形にしていくプロセスにある種の共通性が見られるからです。
その意味でも、〝ごっこ遊び″によって身に付く力、また、〝ごっこ遊び″そのものを楽しむことが、その後の発達を豊かにしていくことに繋がると思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も日々の療育現場で子どもたちと様々な遊びを通して、子どもだけではなく、著者自身も遊びに没頭していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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