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【学童期の愛着の特徴②】〝仲間関係″について発達的視点を通して考える

投稿日:2024年5月25日 更新日:

愛着(アタッチメント)″とは、〝特定の養育者との情緒的な絆″のことを指します。

子どもは養育者との愛着関係を基盤として、その後の対人関係を発展させていきます。

子どもが幼稚園や保育園など未就学の時期には、大人の存在が非常に重要だと言われています。

 

一方で、学童期(6歳頃~12歳)といった小学生の時期には、どのような愛着の特徴があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、学童期の愛着の特徴②について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、〝仲間関係″について発達的視点を通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「L・アラン・スルーフ・バイロン・イーグランド・ エリザベス・A・カールソン・ W・アンドリュー・コリンズ(著)数井みゆき・工藤 晋平(監修)(2022)人間の発達とアタッチメント 逆境的環境における出生から成人までの30年にわたるミネソタ長期研究.誠信書房.」です。

 

 

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学童期の愛着の特徴②:〝仲間関係″に関する発達的視点

以下、著書を引用しながら見ていきます。

最後に、組織化された仲間集団において示される有能さや誠実な友人関係を持つことのできる力は、幼児期での仲間との相互作用における奮闘や成果、そして、発達早期における対人的つながりや情動調整に対する親のサポートを基盤に構築されてきた。

 

著書の内容から、〝学童期″において大切となる〝仲間関係″における有能さは、それ以前の養育者との関わりが基盤を成しているとの記載があります。

その基盤とは、例えば、〝他者との繋がり(愛着関係)″や〝情動調整″などが重要であると言えます。

幼い頃の愛着関係は、養育者との情動交流(喜怒哀楽)を基盤とした関わりによって徐々に築き上げられていきます。

そして、養育者と子ども間での情動調整は、後の子どもの個人内での情動調整力に影響していきます。

このように、〝発達的視点″を持って子どもの育ちを考える際に、〝学童期″の育ち(〝仲間関係″など)には、それ以前の発達(〝愛着関係″や〝情動調整″など)の視点がとても大切だと言えます。

 

 

著者の経験談

著者は放課後等デイサービスを通して様々な子どもたちと関わる機会があります。

長い子どもであれば、小学1~6年生までの6年間を共に過ごしてきています。

小学生といった〝学童期″の発達において、特に中学年以降(3・4年生以降)は〝子ども同士″の関わりがより発展していくことを実感しています。

そして、〝子ども同士″の関わりは、後の〝仲間関係″に繋がっていきます。

その中で、大人の役割は様々ありますが、中でも主な役割として〝仲間関係″の発達をトータルでサポートするなど、調整する面が強くなっていくことだと感じています。

例えば、自分の気持ちをうまく伝えることができない子どもへのサポート、他児の心情をうまくくみ取ることが難しい子どもへのサポート、自分の気持ちをうまくコントロールすることができない子どもへのサポートなど、様々な面で調整する所があります。

そして、〝仲間関係″の発達で特に大切なことは、〝仲間関係″の中での成功体験、自分が周囲から認められ、受け入れられているという実感、つまり、〝自己有能感″の育ちだと思います。

子どもは、様々な他児との交流を通して、他児と繋がりたい欲求・認められたい欲求が高まっていきます。

このような〝学童期″の〝仲間関係″での〝自己有能感″を支えているものが、著書に記載の通り、それ以前の養育者との〝愛着関係″と、養育者との関わりを通して身につけていく〝情動調整″の力であると思います。

仲間関係″の中で培われる〝自己有能感″は、直ぐに身に付くというわけではないと思います。

それは、他者を信頼できる力の育ち、そして、様々な感情をコントロールする力によって支えられているからだと言えます。

著者の実感としても、〝仲間関係″がうまく行き、その中で〝自己有能感″がしっかりと育っている子どもには、〝自他を信頼する力″や〝情動調整力″の基盤が育っているといった印象があります。

 

 


以上、【学童期の愛着の特徴②】〝仲間関係″について発達的視点を通して考えるについて見てきました。

学童期において、仲間関係の中で身に付く自信はとても大切です。

著者の過去を振り返って見ても、小学校以降は仲間との関係性が自己を構築する上でとても重要であったと思います。

そして、こうした自信は、それ以前に自信が育まれる経験の積み重ねが非常に重要だと言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で関わる子どもたちの仲間関係をサポートしていきながら、子どもたちの自信を育んでいきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【学童期の愛着の特徴①】〝自己有能感″について発達的視点を通して考える

関連記事:「学童期(児童期)における愛着の特徴について

 

 

L・アラン・スルーフ・バイロン・イーグランド・ エリザベス・A・カールソン・ W・アンドリュー・コリンズ(著)数井みゆき・工藤 晋平(監修)(2022)人間の発達とアタッチメント 逆境的環境における出生から成人までの30年にわたるミネソタ長期研究.誠信書房.

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