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【愛着で大切な〝洞察性″について】療育経験を通して考える

投稿日:2024年5月3日 更新日:

愛着(アタッチメント)″とは、〝特定の養育者との情緒的な絆″のことを指します。

養育者と子どもが良い〝愛着関係″を築いていくためには、〝敏感性″が大切だと考えられています。

敏感性″とは簡単に言えば、子どもの〝発信″に対して養育者が〝適切な応答″を示すことを指します。

 

関連記事:「【愛着で大切な〝敏感性″について】4つのプロセスを通して考える

 

愛着に関連する研究によれば、〝敏感性″に加えて、〝洞察性″もまた、安定した〝愛着関係″を築くためにも大切だと考えられています。

 

それでは、安定した愛着を築いていくために大切な〝洞察性″とは一体どのようなものなのでしょうか?

 

そこで、今回は、愛着で大切な〝洞察性″について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「篠原郁子(2024)子どものこころは大人と育つ:アタッチメント理論とメンタライジング.光文社新書.」です。

 

 

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愛着で大切な〝洞察性″について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

この研究では、養育者の洞察性と敏感性の双方を測定して、子どものアタッチメントのタイプとの関連を検討している点も注目されます。結果は、旧来の敏感性よりも、この洞察性に現れる特徴の方が、子どもの安定したアタッチメントと関連していることを示すものでした。

 

敏感性は、実際の子どもとのやりとり場面を観察して、養育者の行動に表れる特徴に着目します。一方、洞察性は、行動そのものではなく、子どもの心に対する養育者の捉え方に着目します。

 

著書の内容から、安定した愛着(アタッチメント)を形成していくためには、〝敏感性″も大切ですが、それ以上に〝洞察性″が重要だと言えます。

そして、〝洞察性″とは、養育者がどのように子どもの〝行動″を捉えているのかというよりも、子どもの〝心″をどのように捉えているかに着目していると考えられています。

例えば、子どもが〝笑った″という〝行動″に対して、養育者が〝笑い返す″ことはよく見る光景です。

こうした子どもの〝発信″に養育者が〝適切に応答″することが〝敏感性″です。

一方で、子どもが〝笑った″という行動の背景となる意味や意図を汲み取り、反応を返していくことが〝洞察性″になります。

つまり、子どもの〝行動の背景となる心にも目を向けている″といったものです。

安定したアタッチメントを形成していくためには、〝なぜ○○の行動を取っているのだろうか?″〝○○の行動の意味は○○ではないだろうか″といった子どもの〝心に着目″することがとても大切だと言えます。

 

 

著者の経験談

著者は療育現場で様々な子どもたちと関わる機会があります。

子どもたちは、著者に〝困り事″〝要望・要求″〝共感″〝探求したい内容″など様々な〝発信″をしてきます。

一方で、例えば、似たような〝困り事(遊びたい他児がいるもうまく誘えない)″といった〝行動(著者に伝えてくる、遊びたい他児の傍に何となくいるなど)″のあるA君とB君とでも〝困り感″の〝″は異なるのだと思います。

A君は、きっかけがあれば(共通の興味があるため)うまく遊べそうなのに対して、B君は、そもそもどうやって関わるきっかけを持てばよいかがわからない状態だとします。

この場合、同じような〝発信行動″があったとしても、両者の〝心の状態・質″は違ったもののように著者には感じられる場合があります。

そのため、〝困り感″への〝関わり方(声掛けなど)″はA君・B君とでは違ったものになっていきます。

このように、子どもたちの〝心の状態″にまで目を向けて関わっていくことで、長期的な視野で見ると、著者と子どもたちとの関係性は良い状態へと展開していくケースが多いと感じています。

子どもの立場からすれば、〝自分の思いを汲みとってくれた″〝自分のことを理解してくれた″という感覚が〝安心感″に繋がっていくのだと思います。

こうした関係づくりは、〝行動″にのみ終始している状態では難しいと思います。

大切なことは、子どもの〝心″にも目を向けて対応する〝洞察性″が必要だと言えます。

 

 


以上、【愛着で大切な〝洞察性″について】療育経験を通して考えるについて見てきました。

日々の忙しい業務の中で、高い〝洞察性″を持って子どもたちと関わることは簡単ではありません。

一方で、少しずつ子どもたちの〝心の状態″が分かるようになってくると、〝洞察性″を持って対応することの意味や価値が少しずつクリアになっていくのだと感じています。

実際のところ、長期にわたって関わり続けた子どもたちの〝行動″の変化から様々な気づきを得ることができるのは、まさに〝洞察性″の働きがあってこそだと感じています。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も現場で関わる子どもたちと安定した関係性を築いていけるように、洞察性にもしっかりと目を向けて関わり続けていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【愛着(アタッチメント)で大切なこと】子どもの気持ちを想像することの大切さ

 

 

篠原郁子(2024)子どものこころは大人と育つ:アタッチメント理論とメンタライジング.光文社新書.

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-愛着, 洞察性

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