発達障害のある子どもが日々の生活を安心して過ごすためには〝居場所″が非常に大切です。
〝居場所″には、例えば、家庭や学校、放課後等デイサービスなど様々な〝活動拠点″があるかと思います。
そして、安心できる〝居場所″を複数持っていることもまたとても必要なことです。
それでは、多くの発達障害のある子どもたちが通っている学校においてはどのような観点から居場所を整えていくことが必要となるのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児の居場所支援について、学校生活を安心して過ごすために必要なことについて理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「本田秀夫(2022)学校の中の発達障害:「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち.SB新書.」です。
発達障害児の居場所支援について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
私は、特別支援教育では「居場所」という発想を持つことが大切だと考えています。
特別な場での教育を必要としている子どもには、通級や支援級、特別支援学校が「居場所」になることが大切です。
本人にもっとも合っている環境を「居場所」としながら、3つのステップを自由に行き来できるようにすることが重要だと考えいます。
著書の内容では、発達障害児など発達に躓きのある子どもには、〝居場所″がとても大切であり、その〝居場所″には、通級・支援級・特別支援学校が該当すると記載されています。
特別な教育を受けるためには、以下の4つの学校・学級があります。
1.特別支援学校
2.特別支援学級(支援級)
3.通級指導教室(通級)
4.通常学級(通常級、一般級)
これらの詳細は割愛しますが、一般的に1→4になるに従い、障害の程度が軽くなる傾向があると言えます。
逆に、4→1になるに従い、個別の配慮が受けられやすくなる傾向があると言えます。
著書では、1~4を①ユニバーサルデザイン、②合理的配慮、③特別な場、の三つに区分しています。
そして、特別支援学校・特別支援学級・通級指導教室→〝③特別な場″、通級学級→〝①ユニバーサルデザイン″と〝②合理的配慮″、に相当すると記載されています。
こうした背景を踏まえて著書では、①~③の中で、その子どもに最も合っている環境を〝居場所″として、①~③を自由に行き来できることが大切だと記載されています。
例えば、〝特別支援学級″に席を置くA君がいたとしましょう。
A君にとって〝特別支援学級″といった〝③特別な場″が最も安心して過ごすことができる場であると仮定します。
そう仮定した場合、③を〝居場所″として、そこから時々〝通常学級″に交流に行くということを通してチャレンジの幅を広げていくといった方法が考えらえます。
この場合、③が安心できる〝居場所″となっているからこそ、他の①と②の環境に身をおくこと(身をおこうと試みること)ができます。
A君にとって③をベースとしながらも、①~③を自由に行き来することで安心の場と挑戦の場を相互に行き来することができていると言えます。
実際に、著者がこれまで関わってきた子どもたちの中にも、①~③を自由に行き来きしているケースも多くあったように思います。
また、学年が上がっていき成長していく中で、少しずつ挑戦の幅を広げていった(つまり、③よりも①と②を増やしていった)ケースもありました。
このようなケースを見ていると学校の〝居場所″支援の良さを実感することができます。
こうした経験を通して感じることは、挑戦の幅を広げていくためには、安心できる場、つまり、〝居場所″支援を丁寧に行っていくことが大切だといこうことです。
以上、【発達障害児の居場所支援について】学校生活を安心して過ごすために必要なことについて見てきました。
発達に躓きのある子どもたちが学校生活を安心して過ごすためには、安心できる〝活動拠点″、つまり、〝居場所″が必要不可欠です。
そして、基点となる〝居場所″があることで、後々の〝活動拠点″を広げていくことに繋がっていくのだと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も子どもたちの生活が安定していけるように、学校と連携を取りながら、私が勤める療育現場においても子どもたちが安心して過ごしていけるための居場所を整えていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事:「発達障害への支援-コミュニティ支援・ネスティングの視点から考える-」
本田秀夫(2022)学校の中の発達障害:「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち.SB新書.