〝学校に行きたくない″〝学校がつまらない″〝学校が嫌い″といった登校をしぶる行為〝登校しぶり″は長期的に続くと不登校になる可能性があります。
著者はみんなと同じように学校に行くことが良いとは必ずしも考えておらず、学校も一つの選択肢と考えていますが、まだまだ同調圧力の強い日本社会の中では他の選択肢を取りづらいことが現状かと思います。
一方で、〝登校しぶり″といっても、様々な要因があるため、その要因を分析して対応方法を考えていくことも重要であると思います。
登校をしぶる子どもの中には、〝本当は学校にいきたい″〝学校で勉強がしたい″〝友達と遊びたい″と思いっている人もいるからです。
それでは、子どもに登校しぶりが見られた場合には、どのような対応方法が必要となるのでしょうか?
そこで、今回は、登校しぶりへの対応方法について、親や先生にできることについて理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「本田秀夫(2022)学校の中の発達障害:「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち.SB新書.」です。
登校しぶりをどのように捉えるべきか?
子どもが登校をしぶると親は動揺してしまいます。
中には、直ぐに休ませる親もいれば、強引にでも行くように促す親など、関わり方は多様であると思います。
それでは、登校をしぶる子どもはどのような心境なのでしょうか?
以下、著書を引用しながら見ていきます。
登校しぶりというのは、子どもが悩み抜いて疲れ果て、自分でできることはすべてやり尽くしたという、最終手段のSOSです。
著書にあるように、〝登校しぶり″は悩みはじめた状態で起こるのではなく、子ども自身が悩みに対して、様々な対応をとったがうまく行かず疲れ果てた状態、つまり、最終手段のSOSだということです。
子どもなりに、悩み抜き様々な策を講じた結果だと言えます。
周囲の大人は、こうした子どもの表面には見えにくい心理状態を把握していくことが必要です。
登校しぶりへの対応方法について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
朝、お子さんが登校をしぶっているのなら、その日はひとまず休ませることにして、ゆっくり時間をとって「どうしたの?」と聞いてみることをおすすめします。私は基本的に、登校をしぶる子には休息が必要だと考えています。
著書には、登校しぶりが子どもに見られたら、ひとまず休ませることにして、そして、子どもの話を聞くという対応が必要だと記載されています。
ひとまず休ませることに抵抗感を持つ方もいるかもしれませんし、子どもを預ける場所がないといった方もいるかもしれませんが、念頭においた方が良いのは休息が必要だという認識を持つことです。
その上では、①学校の先生にできること、②親にできること、について著書にはいくつかポイントが記載されています(著書を引用しながら見ていきます)。
①学校の先生にできること
「トラブルがあるかどうか」だけではなく、子どもが「楽しく学校に通っているかどうか」を見ることも大切です。
学校の先生にできることは、もちろん、子どもの学校の様子をよく観察することです。
その中で、大きなトラブルがないから大丈夫という視点ではなく、〝楽しく学校に通っているかどうか″をよく観察するこが大切だと著書には記載されています。
楽しい学校生活とは、授業への積極性だったり、休み時間に友達と楽しく遊んでいる様子などから把握することができます。
②親にできること
子どもの話は、親が聞いたほうがよいでしょう。基本的に親のほうが子どもとの関係が近く、話しやすい雰囲気をつくれることが多いです。
親にできることは、〝登校しぶり″に関連する話を聞くことにあります。
学校の何が嫌で大変なのか、といった情報を集めるということです。
この場合には、まずは子どもの話を否定せず、親の一方的な考えを伝えずに、しっかりと〝聴く″ことが大切です。
もちろん、親子関係が複雑など親に話せない場合や自分の気持ちを伝えるのが苦手な場合もあるかと思います。
その時は、信頼関係のある周囲の大人が相談役となって対応したり、専門の支援機関やスクールカウンセラーの方に相談してみてもいいかと思います。
大切なことは、信頼のある大人が見守り・関わり続ける必要があるということです。
そして、学校と家庭の情報をもとに、学校の先生と連携しながら対応策を考えていくことも重要です。
以上、【登校しぶりへの対応方法について】親や先生にできることについて見てきました。
〝登校しぶり″は、子どもからの最終手段のSOSです。
そのため、SOSをしっかりと受け止め対応することが大切です。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も学校現場とも繋がりが深い放課後等デイサービスで関わる子どもたちが、日々を安心して楽しく過ごしていけるように、子どの様子をよく観察し、そして、継続して他機関とも情報共有を行っていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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本田秀夫(2022)学校の中の発達障害:「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち.SB新書.