〝非認知能力″には、創造性や好奇心、興味・関心、意欲、自主性、主体性、自制心、自信などがあると言われています。
〝非認知能力″の中には、〝自分の感情を調整する力″も大切な能力であると考えられています。
〝自分の感情を調整する力″として大切なものに、〝自己効力感″があります。
〝自己効力感″とは、ある状況の中で必要とされる行動や課題に対して、自分にはできると思えるか、といった力のことを言います。
つまり、〝自己効力感″の高さとは、自分には〝できる″といった思いが強い状態だと言えます。
それでは、自分の感情を調整する力として大切な自己効力感はどのようにして高めることができるのでしょうか?
そこで、今回は、非認知能力で大切な感情を調整する力について、自己効力感を高める4つの方法ついて理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「森口佑介(2023)10代の脳とうまくつきあう 非認知能力の大事な役割.ちくまプリマ―新書.」です。
自己効力感を高める4つの方法とは?
著書には4つの〝自己効力感″を高める方法が記載されています(以下、著書引用)。
「成功体験」
「他人の説得」
「代理経験」
「感情の状態や身体感覚を自覚すること」
それでは次に、具体的に見ていきます。
「成功体験」
〝成功体験″の積み重ねにより、〝自己効力感″を高めていくことができます。
例えば、勉強をすることでテストの点数が上がった体験、筋トレをしてこれまで以上に腕立て伏せの回数が増えて体験はどれも〝成功体験″です。
人は〝成功体験″を通じて自信を少しずつ獲得していくことができます。
「他人の説得」
他者の説得もまた〝自己効力感″を高めると言われています。
例えば、君なら絶対に○○の大学に合格できるよ!君なら次の試合で勝てるよ!などと言われれば自信を持てる可能性が高まります。
このように、他者の説得が〝自己効力感″を高めると考えられていますが、一つ注意点があります(以下、著書引用)。
あくまでも、信頼している人、、尊敬している人、その道の専門家、そういう人の言葉が重みをもつようです。
このように、〝誰が″説得したかが〝自己効力感″を高める上で重要だということです。
「代理経験」
以下、著書を引用しながら見ていきます。
これは自分と同じような立場の他人の成功体験が、自分の自己効力感を生じさせてくれることを指します。
あくまで、自分と同じレベルの人の達成や成功体験が大事だということです。
〝代理経験″の例を上げると、自分の友人がサッカーを習い始めて上達する姿を見たとしましょう。
この時、〝自分にもできるかもしれない″と間接的に思わせてくれることを〝代理経験″と言います。
この際に、あまりにも自分とかけ離れた存在であると効果は薄くなってしまいます。
先の例で言えば、もともと身体能力が自分と比べてとても高かったなどは〝代理経験″による〝自己効力感″を高める効果が弱まるということです。
「感情の状態や身体感覚を自覚すること」
〝感情の状態や身体感覚を自覚すること″とは、自分の生理的な反応に対して、どのような解釈を加えるかでその後の〝自己効力感″の程度が変化してくるといった内容です。
著書には、人前での発表を例に取り上げています。
例えば、人前での発表で緊張し、その状態をマイナスに捉えてことで、その後のパフォーマンスが低下してしまうことがあります→〝自己効力感″の低下に繋がる。
一方で、人前の発表で緊張しても、その状態をプラスに捉えることで、その後のパフォーマンスが向上することがあります→〝自己効力感″の向上に繋がる。
このように、〝緊張″といった生理的な状態について自己をどのように自覚するかで、その後の〝自己効力感″に違い出てくるということです。
以上、【非認知能力で大切な感情を調整する力】自己効力感を高める4つの方法について考えるについて見てきました。
自己効力感は私たちが人生を豊かに生きる上でとても大切な能力です。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で関わる子どもたちが少しでも自己効力感を高めていけるように関わり方を見つめ直していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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森口佑介(2023)10代の脳とうまくつきあう 非認知能力の大事な役割.ちくまプリマ―新書.