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【発達障害児の二次障害への対応】療育経験を通して考える

投稿日:2023年10月14日 更新日:

 

発達障害とは、もともと生来的に持っている脳の機能障害のことです。

一方、〝二次障害″とは、愛着障害や適応障害、PTSD、反抗挑戦症、不登校など周囲の環境要因が影響することで生じるものです。

発達障害児の中には、二次障害が併発しているケースも少なからず見られます。

 

それでは、二次障害への対応にはどのような方法があると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害児の二次障害への対応について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

今回参照する資料は「小嶋悠紀(2022)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」②.教育技術研究所.」です。

 

 

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発達障害児の二次障害への対応について

著書には、〝二次障害への基本的な対応方針として以下の4つを上げています(以下、著書引用)。

①二度と傷つけない

②支援目標を下げる

③その子の「できる」をたくさん探す

④適切な医療を提供する

 

 


それでは、次にそれぞれ具体的に見ていきます。

 

①二度と傷つけない

これは予防・対応において必須の事項です。

まずは、これまで傷ついてきた体験や思いを理解し(理解しようと努力して)、信頼関係を回復していくことが重要です。

傷つき体験のある子どもの場合には、些細な出来事であっても急にかんしゃくやパニックを起こしたり、怒りのスイッチが入り他害がでることがあります。

著者も傷つき体験のある子どもと関わる際には、日による本人の状態を把握し(イライラしやすい時間帯・曜日、メンバー構成など)、そして、スイッチが入りやすいNGワードを把握していきながら、環境を未然に整えていくようにしています。

 

 

②支援目標を下げる

著書の中では、学校において以下の目安が大切だと記載されています(以下、著書引用)。

目安として、当該学年の三学年下程度の学習や目標を設定することが良いはずだ。

 

これは学習場面においての目安となりますが、他の能力の目標値も下げる必要があると著者は感じています。

中でも、例えば、社会性に関しては、5年生だから高学年としての振る舞いを求めることは非常にハードルが高いと感じています。

二次障害のある子どもたちに言えることは、感情が未発達なケースが多いからです。

そのため、相手の気持ちを汲んで関わったり、自信の気持ちのコントロールが苦手だという場面が多く見られます。

そのため、著者も子どもに求めるハードルは下げた方が、大人との関係性もギクシャクしたものにならずに支援がうまくいくように感じています。

 

 

③その子の「できる」をたくさん探す

二次障害の子どもはこれまでの失敗経験の多さや大人への不信感や反発心などから〝できる″を見つけることが難しいケースが多くあります。

そのため、まずは②で見たように課題のレベルを下げることや、何かが〝できた″という場面をうまく作り出せる環境調整が必要になります。

著者も〝できた″を探すことはとても大切にしています。

それは例えば、短い時間でも片付けをしてくれた様子、年下に優しく振る舞ってくれた様子、活動中の意欲的な振る舞いの様子など、よくよくその子を観察していると〝できた″と感じる要素が見えてくることがあります。

もちろん、〝今日できたから明日もできる″というわけではなくムラがあります。

しかし、トータルでみて〝できた″が増えていくことが大切だと思います。

そのためには、子ども自身が気づいていない〝できた″を関わる大人が見つけ本人にフィードバックしていくことが重要だと感じています。

 

 

④適切な医療を提供する

以下、著書を引用します。

二次障害に移行した場合は、「薬物療法」をできるだけ使用すると、子供の成功体験が増えることが多い。

 

著者が見ている子どもの中にも、〝薬物療法″を使用することで落ち着いてきたというケースは少なからず見られます。

もちろん、使用効果には個人差があると思います。

ここで大切なことは、薬物療法に加えて日々の大人との信頼関係の構築や自信の回復といった生活への支援が必須だということです。

薬物療法の効果があり、落ち着いてきたと感じても、背景にある二次障害といった心の傷が消えるわけではありません。

心の傷の回復には日々の生活の中での経験を通して自尊心を回復していくことがとても必要だと著者は感じています。

 

 


以上、【発達障害児の二次障害への対応】療育経験を通して考えるについて見てきました。

二次障害の対応は非常に長期戦になることが多く、心身共に疲弊するほど大変だと思います。

そのため、しっかりと支援方針を立て、様々なスタッフと連携を取りながら行っていく必要があると感じています。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も二次障害への対応について理解を深めていきながら、二次障害が発症しないための予防や環境調整を心がけていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【発達障害児の二次障害について】症状の悪化を予防するために大切なこと

 

 


二次障害に関するお勧め書籍紹介

関連記事:「発達障害の二次障害に関するおすすめ本【初級~中級編】

 

 

小嶋悠紀(2022)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」②.教育技術研究所.

 

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-二次障害, 対応, 発達障害

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