職場環境が変わると、以前とは異なる思考や習慣などを身に付ける必要性に迫られたことを実際に経験された方もいるのではないかと思いす。
発達支援の現場においても、職場環境が変わると、子供たちへの見方や支援の内容なども変わってくることがあります。
私自身、現在、放課後等デイサービスでの経験が4年目になります。年々、多くのことを学んできたという実感があります。
以前は、療育現場でこちらでも発達につまずきのあるお子さんたちへの発達支援をしていました。
今回は、療育施設から放課後等デイサービスへの職場環境の変化の中で得られたことについてお伝えしていこうと思います。
そこで、ここから以下、大きく3つのことについて分けてお話していこうと思います。
まず、①最初に感じたのは職場環境の変化による関わる子供たちの状態像の変化です。
以前の療育現場では未就学児の発達につまずきのあるお子さんたちと関わる仕事をしていました。発語がないことも多く、重度のお子さんたちも多くいました。
一方で、今の放課後等デイサービスでは小学生が中心で、知的に遅れのない子や、グレーゾーンのお子さんたちもおり、状態像が療育施設で関わってきたお子さんたちとは違います。
ですので、以前まで非言語情報で、子供たちとのやり取りが多かったのに対して、言語でのやり取りが増えました。
また、遊びの内容もごっこ遊びや工作、他児集団の中での遊びのコーディネートなど、活動内容そのものがだいぶ変わりました。
そうした以前の職場との変化の中で一年間を過ごすと、年齢の違い、子供の状態像の違いによって、コミュニケーションの仕方や遊びなど活動内容そのものがだいぶ変わってくるものだと実感しました。
こうした違いは、当然と言える内容かと思いますが、同じ発達支援に関わる現場でも、環境が変化するとある意味別世界といった感じです。
また、書籍などで学ぶのと身体で感じながら考えるとでは大きな違いがあるのだと再認識しました。
次に、②子供たちへの職員の関わり方、支援内容についてです。
以前の療育施設では、言葉の成り立ちとは?感覚の発達とは?見立て遊びはどうやって発達するのか?対人意識や仲間意識などの発達は?といった内容について考え学ぶ機会が多くありました。
一方で、今の職場では発達の特性とは?といった、自閉症の特性や、ADHDの特性など発達特性に基づいた考えや学びを得る機会が多くあります。
当然、それは職員の子供たちへの関わりや支援で大切にされている視点でもあります。
①で述べた子供たちの状態像が異なれば、それに対応して職員の関わり方や支援内容も変わってくるのだと、経験を通して実感するようになりました。
そして、そうした実感がまずあり、その後、発達の特性の理解が少しずつ進んできたのだと思います。
最後に、③放課後等デイサービスという文脈から子供たちの過ごしの場という視点です。
以前は、療育施設といった現場でしたので、朝から平日毎日子供たちが登園してきます。イメージとしては、保育園のような感じです。人数は多くても一クラス10名程度でした。
一方で、放課後等デイサービスは、学校後に過ごす場所です。そして、地域の中での居場所という意味で、様々な年齢層の、そして、違う学校の子供たちが集まり、一緒の過ごす場でもあります。
放課後等デイサービスで活動するようになり、依然の職場との環境の違いから、子供たちが地域の中でどのように生きていくのかという視点は以前よりもだいぶ強化された点だと思います。
また、異年齢集団が関わる大切さなどに関してもいろいろと得られた点があったかと思います。
以上、大きく3点に分けてお伝えしてきました。
環境の変化によって、得られるものは思いのほか大きいと実感しています。
移行の時期には、これまでの職場で得られた知見や行動習慣を活かそうと考えながら、その一方で、新たな知見や行動習慣を身に付ける必要があり、非常に葛藤の多い時期でもあります。
ですが、しばらく時期をおいて、振り返ると以前とは異なる思考や習慣を身に着けていることが多くあります。
以前の職場も今の職場も私にとっては大切な環境ですが、職場環境を変えるということは、得られるものが思いのほか多いと感じ、以前よりも非常にポジティブに考えるようになりました。
大切なのは視点の拡張にあると思います。
関連の強い分野の中で、様々な角度から人間を見るということは多様性の理解に繋がります。
両方の職場環境を経験し、その中で思考を繰り返すことで、新たな発見をしたことが多くあります。
今後も様々な文脈に身をおくことを大切にして、自分自身を既定せず、多くの学びをしていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。