著者は療育現場で発達障害など発達に躓きのある子どもたちを支援しています。
その中で、対応が難しいものとして〝パニック″行動があります。
〝パニック″の背景は人それぞれ異なりますが、例えば、大泣きや癇癪、もの投げ、他害などネガティブな行動に繋がっていきます。
〝パニック″への対応として大きくは、直前の〝予防″と直後の〝対応″があるかと思います。
それでは、〝パニック″が生じた直後には、どのような対応が大切だと考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児の〝パニック″直後の対応について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「小嶋悠紀(2023)発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル.講談社.」です。
〝パニック″直後の対応について
著書には〝パニック″直後の対応の手順が記載されています(以下、著書引用)。
①とにかく刺激から遠ざける
②落ち着くまで、とにかく「待つ」
それでは次に、以上の二点について具体的に見ていきます。
①とにかく刺激から遠ざける
〝パニック″の原因には、様々なものがあります。
例えば、うるさい物音、予定の変更など見通しが変わったこと、他児の言動、やりたいことなど本人の望みが叶わなかったこと、など様々あるかと思います。
子どもが〝パニック″になったらまずは著書にあるように刺激の少ない環境に移すといった環境調整が大切です。
著者の療育現場でも〝パニック″が見られた際には、個室など静かな環境に移すようにしています。
そして、そこにある物を移動させたり(物を投げる危険性があるため)、他児をできるだけ離れた場所に移するようにしています。
一方で、〝パニック″が激しすぎて環境を移すことが難しい場合には以下の方法があります(以下、著書引用)。
もし、子どもがあまりにも興奮して、「とても部屋に連れていくどころではない!」という状態になっていたら、その場で子どもを座らせてください。床にお尻をつけさせるのがポイントです。
この方法を取ることで、体全体の力が抜けるそうです。そして、少し落ち着いてから個室など静かな環境に移動を促していった方が良いとされています。
②落ち着くまで、とにかく「待つ」
〝パニック″行動が生じている子どもの行動を無理に落ち着けようとしても逆効果になります。
著者も昔は、はやくおさめないとという焦る気持ちから、声掛けが多くなってしまい子どもの〝パニック″がエスカレートしてしまったことがあります。
まずは、著書にもあるように〝パニック″がおさまるまで〝待つ″ことが大切です。
昔の著者も含めて〝パニック″への対応で失敗する例は以下のようなものです(以下、著書引用)。
<パニックになった原因を早く知りたい>
<こういうことが何度も起こるようでは困る。すぐに何か、指導しなきゃ>
こうした大人が対応に〝焦ってしまう″というものです。
著者もこのような心理はよく理解できます。
しかし、〝焦った対応でうまくいったことはほとんどなかったように思います。
繰り返しになりますが、〝パニック″直後にはとにかく〝焦らず″子どもが落ち着くまで〝待つ″ことが大切です。
著書には子どもが落ち着いてきたかどうかの判断基準として、〝肩で息をしているかどうかに着目する″ことが大切だと書かれています。
つまり、〝肩で息をしている″場合には、まだ興奮がおさまっていないため〝待つ″ようにした方が良いということになります。
以上、【発達障害児の〝パニック″直後の対応について】療育経験を通して考えるについて見てきました。
〝パニック″行動など周囲を巻き込む大きな行動には対応する人だけでなく、周囲のスタッフの連携もまた大切だと思います。
チームが同じ対応方法を取りながら、お互いの役割を認識することでより良い支援に繋げていけると感じています。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後もパニックへの対応をまずは予防する視点を大切にしていきながらも、仮にパニックが起きたしてまった場合の直後の対応もしっかりと行っていけるようにしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事:「【発達障害児の〝パニック″への対応について】予防的視点から考える」
関連記事:「【発達障害児の〝パニック″直前の基本対応】〝パニック″を予防するために大切な関わり方」
小嶋悠紀(2023)発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル.講談社.