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【学童期の仲間関係の支援について】療育経験を通して考える

投稿日:2023年3月11日 更新日:

著書は学童期の子どもたちを対象に療育をしています。

学童期の子どもたちは、他児との関わりも増していく中で、お互いを仲間だと意識するようになっていきます。

一方で、発達障害など発達に躓きのある子どもたちは、他児とうまく関わることができない、すぐにトラブルになってしまう、など仲間関係を築き上げる上での難しさがあります。

 

それでは、学童期に仲間関係をうまく形成していくためにどのような支援が重要だと考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、学童期の仲間関係の支援について、臨床発達心理士である著者の療育経験も交えながら考えを深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「藤野博(編)(2018)シリーズ 支援のための発達心理学 コミュニケーション発達の理論と支援.金子書房.」です。

 

 

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仲間関係の支援について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

仲間関係の形成、維持を支援するのには大きく二つのアプローチがある。一つは、その子ども個人の能力、特性の改善という方向(個体能力への支援)である。もう一つは、他児との関係の調整、改善という方向(関係性への支援)である。

 

著書の中では、仲間関係への支援について、〝個体能力への支援″と〝関係性への支援″の二つの方法があるとしています。

 

 


それでは次に、以上の二つについて見ていきます。

 

〝個体能力への支援″について

個体能力の支援については、(中略)感情発達の支援が重要となる。

 

著書の中では、〝個体能力への支援″として、感情発達の支援が重要だとしています。

感情発達への支援とは、共感性を育むこと、そして、自分の気持ちの伝え方、自分の気持ちの抑え方などがあります。

人は誰かに自分の気持ち(感情)を受け止めてもらえた、理解してもらえた、相手と気持ちが通じ合えたなどの経験を通して共感性が育まれていきます。

共感性が育まれていくことで、自他の様々な感情への理解が深まっていきます。

そして、自分の気持ち(感情)を表出・抑制するといった感情のコントロールを学んでいくことも合わせて重要なものとなります。

 

著者は療育現場で、できるだけ子どもの気もちに寄り添うようにしています。

寄り添う過程の中で、子どもの中に様々な感情の発達を感じることがあります。

それは、〝○○のとき○○のような気持ちがする″など、体験と感情語が結びついていくことでもあります。

また、自分の気持ちをどのようにして相手に伝えていけばいいか、イライラした時の感情をどのように抑えていけばいいのかも伝えるようにしています(もちろん、様々な内容があります)。

子どもたちは、少し不器用ながらも、着実に、自分の気持ちの表現や抑制の方法を身につけているように感じます。

このように、共感するといったことを中心に、気持ちの伝え方、抑制の仕方など、感情発達への支援を行うことはとても大切なことだと感じています。

 

〝関係性への支援″について

関係性の支援の際に重要なのが「経験の共有」である。しかし、「気になる」子どもは他児とのトラブルを起こしやすいため、自由遊びを通じて肯定的な関係を形成することは難しい。むしろ、どのように振る舞えばよいか分かりやすいため、「気になる」子どもはルール遊びの方が参加しやすい。

 

著書のあるように、〝関係性への支援″で重要なことは「経験の共有」だと言えます。

学童期には様々な活動を共に経験していくことで、お互いを意識し合い、仲間関係へと発展していきます。

そのため、お互いにとって分かりやすい共有経験の場を設けていくことが重要です。

著書の中では、「気になる子」などには、自由遊びなど自由度の高いものよりも、ルール遊びといったやり方がすでに設定されている自由度の低いものの方が良いとされています。

 

著者も〝集団遊び″を通して、子どもたちの仲間関係が発展してきたと感じる経験をこれまで多く見てきました。

その中で、著書にあるように、発達に躓き(凸凹)のある子どもたちは、〝ルール遊び″など遊びの内容がある程度設定されている方がうまく関わることができるように思います。

他児とうまく関わることができたという経験は、子どもたちの自信と人と関わることは楽しいという〝社会性″の育ちにも繋がっていきます。

そして、こうした経験を通して、仲間関係は形成されていくのだと思います。

 

 


以上、【学童期の仲間関係の支援について】療育経験を通して考えるについて見てきました。

仲間関係の支援には、〝個体能力への支援″と〝関係性への支援″といった大きく2つの方法があります。

大切なことは、どちらか一方が重要というものではなく、〝どちらも重要″という前提に立ち、関わる子どもの状況・状態を見ながら支援の方法を工夫していくことだと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で関わる子どもたちが仲間関係を形成していけるように、個々に応じた支援方法を考えていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【〝集団遊び″と療育について】子どもたちの成長・発達から見た〝集団遊び″の重要性

 

 

藤野博(編)(2018)シリーズ 支援のための発達心理学 コミュニケーション発達の理論と支援.金子書房.

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