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【〝集団遊び″の大切さについて】遊び相手と遊びの場所の変化を通して考える

投稿日:2023年2月15日 更新日:

著者は発達に躓きのある子どもたちに療育をしています。

長年の経験から、子どもの発達にもよりますが、〝集団遊び″の大切さについて考える機会が多くあります。

子どもたちには、〝集団遊び″を通して様々な成長・発達が見られるということを実感しています。

 

それでは、〝集団遊び″は時代の流れの中でどのような変化を遂げているのでしょうか?

 

そこで、今回は、〝集団遊び″の大切さについて、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、遊び相手と遊びの場所の変化を通して考えを深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「田中浩司(2014)集団遊びの発達心理学.北大路書房.」です。

 

 

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〝集団遊び″の相手と場所の変化について

著書の中では、〝厚生労働省,2006″より、子どもの〝遊び相手″と〝遊びの場所″についての調査が行われています。

少し昔の調査になりますが、参考になる点は多くあるように思います。

 

 


それでは、以下にそれぞれについて見ていきます。

 

〝集団遊び″の相手の変化

以下、著書を引用します。

子どもが「よく遊ぶ」相手として最も多くあげられているのが、きょうだい(73.1%)であり、同い年(50.8%)、大人(50.5%)がそれに続く。一方、年上を遊び相手として選んだのは全体の21.6%、年下は16.1%となっている。

 

子どもたちの遊び相手は、地域から家庭へと変化していることがうかがわれる。

 

著者の実感としても、今の子どもたちは、きょうだいや大人(両親、祖父母)を中心とした関わりが家庭内では多く、そして、家庭外では、同級生との関わりが多いといった印象があります。

そして、年上、年下といった人たちとの関わりは非常に少なくなってきていることもまた事実としてあると思います。

昔は、地域の中で様々な年代の子どもたちが関わる機会が多くあったように感じます。

著者は昭和の生まれということもあり、当時の自分を振り返って見ても、年上、年下といった縦の関係が地域の中に自然とあったように思います。

例えば、自分のきょうだいを同級生の仲間集団に入れて遊んでいたというケースは多かったと思います。

著者もその一人であり、よく自分の弟を友達集団に入れて面倒を見てもらっていました。

こうした縦の繋がりにより、年上の人の遊びを真似たり、年下の面倒を見るといったプラスの育ちがあったように思います。

 

〝集団遊び″の場所の変化

以下、著書を引用します。

子どもが「よく遊ぶ場所」については、全体の95.1%という圧倒的多数が自宅を選んでいる。(中略)つづいて、児童館や児童遊園といった公共の遊び場があげられるが、これはかなり少なく15.1%となる。さらに空き地や路地は10.0%、原っぱ、林、海岸などの自然の場所にいたっては、わずか6.5%にとどまる。

 

自宅やきょうだいや同年齢の子どもと遊ぶことが多い現代の子どもたちのなかで、自然発生的に豊かな遊び集団が形成される可能性は、ほとんどないと言ってよい。

 

著者の実感としても、〝集団遊び″の場所の大部分は家庭が多くを占めていると感じます。

家庭外での遊び場は昔と比べると非常に少なくなっている印象があります。

著者が小学生の頃には、よく友人たちと放課後に、空き地や路地などで、自分たちでルールを決めた遊びをしていました。

例えば、鬼ごっこ、ケイドロ、缶蹴り、サッカー、ドッチボール、野球、などです。

また、自転車で遠出をして探検ごっこなども行いました。

そのため、遊び場所は人の手があまり加わっていない所も多くありました。

こうした自然の場所では、知らいない子との偶発的な出会いなどもあったように思います。

室外だけでなく、家庭内でも遊んでいましたが、その多くは友人たちとゲームを一緒にした後に、外遊びをするというもので、家庭内外ともに〝集団遊び″がメインでした。

今は、こうした自然の中で遊ぶ場所が減ってきています。

また、塾通いなどの習い事をしている子どもも増えてきているかと思います。

著書にあるように、こうした状況の中では、なかなか自然発生的に豊かな集団が形成されることは難しいように著者も感じます。

 

 

〝集団遊び″の大切さについて

〝集団遊び″の相手と場所が変化している現代社会において、意図的に集団を作っていくことは非常に大切であると感じます。

人は様々な集団の中で、社会性やコミュニケーション能力が育っていくからです。

著者が勤める放課後等デイサービスでは、異なる学校の子どもたちが交わることで、縦横(同級生や年上・年下)の関わりが非常に増えてきています。

こうした縦横の関わりにより、先輩に遊びをリードしてもらったり、後輩を優しく面倒を見る姿が増えてきている子どもも多くいます。

また、自分たちでその場で集まった集団に応じてルールを作るなど、臨機応変さを鍛える練習にもなっていると感じます(もちろん、大人のサポートが必要です)。

一昔前まで当たり前にあったこうした光景は、今では意図的に作る必要があるのだと思います。

そして、〝集団遊び″は、様々な人たちと関わる中で、多少、苦手な相手であっても距離をとった付き合い方ができるようになったり、大人以上の影響を他児から受けるなど、その後の育ちにおいて非常に大切な側面が多くあるのだと思います。

 

 


以上、【集団遊びの大切さについて】遊び相手と遊びの場所の変化を通して考えるについて見てきました。

現代はネットで様々な人たちと繋がることができる時代です。

こうした繋がりも非常に大切ではあると思いますが、身体を通して様々な人たちと〝集団遊び″をした経験が人の感情の育ちや善悪を理解するなど、その後の育ちに貢献することは間違いないと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で〝集団遊び″を通して子どもたちの育ちに少しでも貢献していけるように日々の実践を大切にしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

田中浩司(2014)集団遊びの発達心理学.北大路書房.

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