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【ADHDの人が仕事でうまくいくためのコツ】社会で活躍するために大切な2つのこと

投稿日:2023年1月24日 更新日:

ADHDの人たちにとって仕事で直面する課題は様々です。

ADHDといった発達特性が故に、仕事でうまくいかなくなることもあれば、その特性が影響して、高いパフォーマンスを発揮することもあります。

 

それでは、ADHDの人が社会で活躍するためには、どのような視点が大切となるのでしょうか?

 

そこで、今回は、ADHDの人が仕事でうまくいくためのコツとして、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、社会で活躍するために大切な2つのことについて考えを深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「加藤俊徳(2020)ADHDコンプレックスのための“脳番地トレーニング”.大和出版.」です。

 

 

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社会で活躍するために大切な2つのこと

著書の中では、ADHDの人が仕事選びや仕事のモチベーション維持において大切となることについて2つ大切な点を上げています(以下、著書引用)。

①ビジネススキルを身につける

②小さな組織のリーダー(チームリーダー)になる

 


それでは、それぞれについて見ていきます。

 

①ビジネススキルを身につける

以下、著書を引用しながら見ていきます。

何をやりたいのかが明確でない人が多くいます。(中略)現実に向き合うためには、ある程度世の中の基準を使うことが役立ちます。(中略)まずは得意分野のビジネススキルを高めること。

 

著書の中では、やりたいことが明確でない場合には、まずは、世の中の基準を使い、本人が得意とする分野(やってみたい・興味があるなど)のビジネススキルを獲得することがよいと記載されています。

ビジネススキルスキルも、対人関係の仕事やパソコン作業の仕事など、本人が得意なこと・興味のあることを仕事として、そのスキルは徐々に高まっていきます。

まずは、得意・好きを基準に、それと関連する仕事を通してベースとなるスキルを学ぶことがいいと考えられます。

 

著者の周囲にもADHDなど発達特性のある人たちが多くいます。

こういった人たちを見ていて、〝やりたいことがある″〝明確な目標がある″という場合を除いて、ビジネススキルを学ぶことが後の自信に繋がることは多いにあると思います。

もちろん、ビジネススキルを学ぶ環境もその人に合っている合ってないがありますので、環境面や対人面(上司や仕事仲間・職場の雰囲気など)も含めて、その人が興味のある分野の基礎(型)を学ぶことが良いと思います。

 

 

②小さな組織のリーダー(チームリーダー)になる

以下、著書を引用しながら見ていきます。

ADHDの人は、トップにいると覚醒度が上がって頭が冴えますが、その他大勢のポジションにいると眠っているような状態になり、能力が発揮できません。リーダーの立場はまさに、脳の覚醒を上げてくれます。

 

著書の内容から、ADHDの人は、リーダーとなる重要なポジションになることで、覚醒度が上がり、能力が発揮されるということです。

つまり、行動力の高さや即時的な報酬を好む傾向が強いADHDの人に取って、単調な作業や他の人と同じようなポジションよりも、刺激的な仕事や自ら周囲を引っぱり、自らの意思で考え実行し報酬(金銭だけではなく達成感も含む)を得られるような仕事の方が、モチベーションが高まるということです。

 

著者の周囲にもADHDの人で高いポテンシャルを持っていると感じる人もいます。

こういった人たちは、リーダーシップをとることでその能力が発揮されるように思いますが、その中でも大切なのは、やはり、周囲の環境・サポートだと感じます。

つまり、いくら潜在的な能力があり、リーダーとなって周囲を引っぱるポジションを得られたとしても、能力が発揮され仕事がうまくいくためには、仲間の力(目標への共感、苦手をサポートしてくれるなど)や、上司の力(本人の能力を理解し伸ばすことができるなど)が必要になるからです。

もちろん、一から一人で起業するほど高い能力と行動力のある人もいるかもしれませんが、それを踏まえても周囲の理解やサポートはとても大切だと感じます。

 

 


以上、【ADHDの人が仕事でうまくいくためのコツ】社会で活躍するために大切な2つのことについて見てきました。

ADHDなど発達特性のある人の活躍が増えてきている一方で、まだまだ潜在的な能力が発揮されずに伸び悩んでいる人たちも多くいるように思います。

そういった人たちが、社会で活躍するめには、〝ビジネススキル″といった何か基本となる基礎を学ぶこと、そして、少しレベルが上がりますが、リーダーシップが発揮できるポジションを獲得することが今回取り上げた2つになります。

私自身、〝発達障害と仕事″というテーマは非常に難しいものだと感じながらも、今療育現場で関わっている子どもたちの将来を見据えた時には避けては通れないテーマだと感じています。

そのため、今後も〝大人の発達障害″というテーマについても、仕事を含めてさらに理解を深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

加藤俊徳(2020)ADHDコンプレックスのための“脳番地トレーニング”.大和出版.

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