発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

切り替え 療育

療育で大切なこと【〝切り替え“を促すための方法について考える】

投稿日:2023年1月1日 更新日:

療育現場で子どもたちとの関わりの中でよく起こるものとして、子どもが次の行動への〝切り替え”がうまくいかないとうものがあります。

例えば、お絵描きに夢中な子どもが遊びの時間が終わってもやめることができない、事前に約束した時間になっても遊びを終えることができないなどがあります。

こうした今取り組んでいることを止めることができないということは、裏を返すと、それだけ活動に熱中しているというポジティブな見方もできます。

また、単純に遊びのきりが悪いということもあるかもしれません。

このような状態に対して、できることなら良き終わり方に繋がるように“切り替え”を促していきたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

 

それでは、活動をスムーズに〝切り替え”るためにはどのような関わり方があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、療育で大切なこととして、“切り替え”を促すための方法について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら考えを深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「岡田尊司(2017)子どものための発達トレーニング.PHP新書.」です。

 

 

スポンサーリンク

療育で大切なこと【“切り替え”を促すための方法について考える】

以下、著書を引用しながら見ていきます。

まず基本となることは、好きなことに熱中していることを、あまり否定的に見るのではなく、寄り添う姿勢をみせることが大事だということです。

 

著書の内容から、“切り替え”を促す方法としてまずは今取り組んでいる行動を否定的に見るのではなく、寄り添う姿勢が大切だとしています。

そのため、“切り替え”を促すというよりは、その子が取り組んでいる行動や心理などに目を向けるということが前提として重要だということです。

それを認識した上で、様々な“切り替え”の方法を考えていくということが大切になってきます。

著者も、まずは子どもたち一人ひとりが何に興味あり、その興味の対象にどのように取り組んでいるのかを観察することを大切にしています。

新しい遊びに取り組み始めた、友達と遊びが盛り上がり始めた、遊びのきりが悪い(最後までやり遂げたい)、周囲の声も聞こえないほど遊びに没入している、など療育現場にいると、遊びを終えることができない様々な要因があると感じます。

こうした一人ひとりの思いがどこに向かっているのかを観察する力や感じる力がとても大切です。

こういった姿勢が寄り添う姿勢なのだと思います。

それでも、延々と遊びを続けるわけにはいきません。どこかで遊びや活動を終えねばならない時がきます。

 

 


それでは、一人ひとりの子どもたちの遊びの様子やその時の思いを把握していく姿勢を大切にした上で、次に“切り替え”を促す方法にはどのような関わり方があるのかを見ていきます。

それでは、引き続き著書を引用しながら考えていきます。

もう一つの方法は、まずは本人の世界を共有するところから始め、会話のやりとりをしながら、(中略)言葉遊びで、気持ちを切り替えるという手です。

 

著書の内容から、遊びを“切り替え”る方法として、子どもの世界(興味)を共有しながら、その世界の中で使用されている言葉を活用し、“切り替え”を促すという方法があります。

著者もこうした方法はよく活用することがあります。

例えば、ポケモンが好きな子にポケモンの話を持ち出し、会話を進める中で、“ポケモンたちももう休憩だね”、“次の戦いはまた明日だね”など、共有世界の会話の中で終わりに繋がる言葉を活用することがあります。

するとすっと帰り支度をしようとするなど気持ちの切り換えが見られる様子もあります。

その他にも、ASDのお子さんなど、自分の興味関心の世界に没頭している時には、関わるスタッフの声が入りにくいことがよくあります。

そのような時には、その子の好きな話、最近ブームとなっている話をして一度関わるスタッフの声に注意を向けるようにしてから〝切り替え“を促すとうまくいくこともあります。

また、戦いごっこなど、競争的な要素のある遊びが終わった後に、片付け競争をすると(競争好きな子に)、子どもたちの気持ちが遊びの終わり、帰るという意識に向かうこともよくあります。

これらの方法は、少なからず子どもたちの興味関心の世界に入り込み、その中で、〝切り替え“を促す方法といえるかと思います。

 

 


以上、療育で大切なこと【“切り替え”を促すための方法について考える】について見てきました。

こうして振り返って見ると、“切り替え”を促す方法にはまず前提として、子どもたちが取り組んでいる行動を否定せずに寄り添う姿勢がまずは大切であると改めて考えさせられます。

その次に、“切り替え”を促すために必要なその子に合った様々な方法があるのだと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も子どもたちの“切り替え”を促し良い形で活動を終えることができるように、子どもたちが何に興味を示し、その興味の世界にどのような思いで取り組んでいるのかを感じ・考えながら関わり方を工夫していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

岡田尊司(2017)子どものための発達トレーニング.PHP新書.

スポンサーリンク

-切り替え, 療育

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

ニューロダイバーシティ(神経多様性)とは何か?

ニューロダイバーシティという言葉を聞いたことがあるでしょうか? 著者は発達障害領域で療育をしています。 そのため、少し前から、書籍やメディアなどでこの言葉を聞くことが増えてきた印象があります。 &nb …

発達支援(遊び編):「的当てゲーム」

私が以前いた療育施設では様々な遊びを行っていました。施設を利用されていたお子さんたちも様々でしたので、その子に合った遊びを創意工夫していくことがとても大切になります。 遊びの中でも、体をダイナミックに …

発達支援(遊び編):遊びでみられる困難さとその対応、そして成長について

発達障害のある子どもたちは関わり方の面で特別な対応や配慮が必要になることがあります。 例えば、見通しの持ちにくさがある、切り替えが悪い、感覚の過敏さ・鈍感さがある、自分が思ったことを直ぐに口にしてしま …

療育で大切なこと【子どもの「主体性」を育てることについて考える】

子どもたちが自らの意思や考えで行動することを「主体性」があると言います。 教育現場でも、自ら考え行動するといった「主体性」を育てることを大切にしています。 著者は療育現場に長年にわたり関わってきていま …

子どもが概念を理解する時期について太田ステージから考える

私たちは普段の生活で概念という言葉を聞いたり使ったりすることがあるかと思いますが、そもそも概念をどのように獲得してきたのかを思い出すことは難しいかと思います。 心理学では概念の獲得(理解)を「概念形成 …