発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

二次障害 支援 発達障害

発達障害の二次障害への理解と支援【療育経験を通して考える】

投稿日:2022年12月15日 更新日:

著者は療育現場で発達障害のある子どもたちへの支援をしています。

その中で、支援が難しいと感じるものに、二次障害が生じているケースがあります。

 

それでは、二次障害への理解と支援においてどのような観点が大切となるのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害の二次障害への理解と支援について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら考えを深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「齊藤万比古(編著)(2009)発達障害が引き起こす二次障害へのケアとサポート.学研.」です。

 

 

発達障害の二次障害への理解と支援について

それでは、以下に3つの観点から見ていきます。

 

1.二次障害を理解することの意義について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

中でも二次障害に関する知識と経験は、発達障害児・者のサポートに関与する専門家に現在最も求められているものの一つであるといえよう。

 

まず、著書の内容から、発達障害支援に関わるスタッフには、二次障害に関する知識と経験は非常に重要であるとの記載があります。

著者もこれまでの療育経験を通して、二次障害が生じている子どもたちとそうでない子どもたちとの間には、理解と対応の面での違いを感じています。

そのため、発達支援に携わるスタッフにとっては、二次障害への理解は必須と言えるほど重要な内容だと感じています。

 

 

2.二次障害を踏また発達障害全体の理解について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

二次障害についての見識をもつことは、おのずから発達障害を全体像として理解しようとする姿勢を生むことになる。そしてそのような姿勢は、発達障害の当事者の「今、この時」の状態像や機能を、当事者が経てきた過去の多様な経験、例えば外傷体験や報われ支えられた経験の質と量、過去に出会った人物との交流の質と量などとの相互作用の結果という観点から評価することを可能にする。

 

著書の内容から、発達障害の理解において、二次障害を踏まえて理解することは、おのずから発達障害の全体像の理解を生む姿勢に繋がるとの記載があります。

そもそも、発達障害を理解するためには、〝発達的視点“が大切です。

発達的視点“とは、個人要因と環境要因との相互性に時間軸を加算して人の発達過程を把握していく視点のことを言います。

そのため、本来、発達障害の理解には、過去から現在に至るまでの経過を踏まえて考えていくことがとても大切になります。

二次障害といった理解も同様に、これまで辿ってきた発達過程の中で生じてきたものであるため、この過程を把握していくことが重要です。

著者も、臨床発達心理士でもあるため、〝発達的視点“をとても大切にしています。

つまり、二次障害の発症には、これまでの発達歴からの理解、例えば、その子がどのような特性があり、どのような環境の中で、どのような関わり方を受けてきたのかという理解がとても大切になります。

つまり、発達過程からその子の現在の状態を理解していく中に、おのずと二次障害への理解も含まれてくるということになります。

 

 

3.地域で支えるという視点について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

原則的には地域に点在するケア・サブシステム(障害福祉、教育、母子保健、医療などの分野ごとの集合体のこと)を、共通の目的意識のもとに連携させた総合的なケア・システムとして考えていくべきものだろう。

 

著書の内容から、発達障害の二次障害への支援では、地域に点在する様々なケア・サブシステムが連携して取り組んでいくことが重要だとの記載があります。

例えば、二次障害が発症している小学生のA君がいたとしましょう。

このケースにおいては、家庭だけの対応から、学校という教育現場、また、医療機関、そして、障害福祉からのサポートなど、様々なシステムが共通の目的意識を持ちながら支援に携わっていくことが考えられます。

実際に著者が勤める療育現場においても、療育現場と学校、そして、地域の相談機関、そして、医療機関など様々なシステムがうまく連携が取れている方が、支援がより進捗していくように思います。

 

 


以上、発達障害の二次障害への理解と支援【療育経験を通して考える】について見てきました。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も二次障害への理解を深めていきながら、現場の子供たちの心に寄り添っていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

関連記事:「発達障害の二次障害について【療育経験を通して考える】

関連記事:「発達障害の二次障害について【二次障害の原因とは何か?】

 

齊藤万比古(編著)(2009)発達障害が引き起こす二次障害へのケアとサポート.学研.

-二次障害, 支援, 発達障害

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

発達障害の友だち関係について

発達障害には、様々なタイプの方がいます。 例えば、自閉症といった対人コミュニケーションの苦手さを持っている人、不注意・多動衝動性の特徴があるADHDの人などが代表的です。 自閉症であれば、一方的な会話 …

【決定権の誤解を予防することの重要性】発達障害児支援の現場から考える

発達障害児支援の現場で子どもたちと関わっていると、自分の意志や意見を押し通そうとするケースに出会うことがよくあります。 もちろん、自分のやりたいことや考えを主張することは大切なことです。 しかし、中に …

【発達障害児の問題行動を減らす方法】ファクターマネジメントから考える

療育現場で、発達障害など発達に躓きのある子どもたちと関わっていると〝問題行動″が起こる場面に遭遇することが少なからずあります。 例えば、他害行為や暴言、逃避などです。 こうした問題行動への直接的な対応 …

発達障害に関するおすすめ本【中級~上級編】

発達障害に対する社会への関心が高まっています。 みなさんの身近にも発達障害のある方、あるいは、その疑いのある方がいるかもしれません。 発達障害とは一体どのようなものであるのか? 発達障害のある方につい …

自閉症の二次障害について:過剰なノルマ化と意欲低下から考える

自閉症スペクトラム障害の人たちは、すべての精神障害(うつ、強迫性、解離、摂食障害など)が併存する可能性があると言われています。 二次障害とはもともとの障害に加えて、環境への不適応状態が長期化することに …