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発達性協調運動障害への支援で大切な2つのこと【成人当事者の語りから考える】

投稿日:2022年11月7日 更新日:

発達性協調運動障害(DCD)とは、不器用さといった協調運動の問題が社会生活に持続的に支障が出ている状態のことを言います。

発達性協調運動障害は、発達障害の一つに含まれます。

 

関連記事:「【発達性協調運動障害とは何か?】不器用さについて療育経験を通して考える

 

発達性協調運動障害は青年期・成人期以降にも持続する傾向が高いということがこれまでの研究から分かっています。

日本において、大人の発達性協調運動障害の研究は少ない中で、当事者の困り感の体験談などが少数ですが見られます。

 

それでは、発達性協調運動障害を持つ成人当事者の語りから、支援においてどのようなことが大切だと考えることができるのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達性協調運動障害への支援で大切な2つのことについて、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、成人当事者の語りから考えを深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「岩永竜一郎(編著)(2022)ハンディシリーズ 発達障害支援・特別支援教育ナビ 発達障害のある子の感覚・運動への支援.金子書房.」です。

 

 

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発達性協調運動障害への支援で大切な2つのこと【成人当事者の語りから考える】

以下、著書を引用します。

本人にとっての不器用さからくる困難性とは、体が自分の思うように動かないというテクニカル的な所と劣等感や不安感や焦りというメンタル的な所の2つのツボがあって、支援とはどちらかと言えばテクニカルな視点の方のサポートがメインに考えられていると思う。私はこの二つはある程度は相関関係にあり、この両者のバランスがある程度取れることで、困ること、思い悩むことは少しずつフラットになり、軽減されると考えている。

 

上記の引用文は、発達性協調運動障害の診断を受けた成人当事者の語りの一部になります。

この内容で大切な視点は、発達性協調運動障害への支援はテクニカル的な面と、メンタル的な面の2つをバランスよく支援するという考え方です。

著書の内容にもあるように、発達性協調運動障害への支援というと何か、劣っている・苦手としているスキルの向上を狙として練習することを大切にしている方も多いと思います。

運動の問題に限らず、一般的に大人は周囲との比較から、子どもの苦手さやできない所に着目しやすく、それを改善・克服しようと思う傾向があるように思います。

もちろん、練習によって改善される部分もあるかと思いますが、著者はメンタル的な面での支援も同時に考えていくことが、著書にもあるようにとても大切だと考えます。

 

 

メンタルへの支援について

メンタル的な面への支援で大切なことは、苦手な所・できないこともあるがままに受容していく姿勢だと思います。

人は、どんなに頑張って努力を継続しても、苦手さを克服できないことがあります。

もちろん、最初から諦める必要は全くありませんし、それこそ周囲と比較せずに、その人個人の成長や努力の過程を認めていくことが重要です。

その中で、できない自分も受け入れるという姿勢も時には必要になります。

できなければいけないと思えば思うほど、自分を追い詰めることになったり、仮に練習し続けても、結果が出なければ、練習そのものが嫌いになってしまいます。

メンタルがマイナスな方向に向かい続けると、二次障害などに繋がるリスクも高まります。

そのため、周囲との比較をせずに、あるがままの自分を受け入れる姿勢がとても大切になります。

 

 

テクニカルへの支援について

一方で、テクニカル的な面もまた大切です。

テクニカル的な面において、自分なりの練習方法や練習ペースを試行錯誤していきながら見つけていくこと、そして、その中で成長を実感していくことがとても大切だと考えます。

人間の学習スタイルは人によって多様です。そのため、何かを学ぶにしても、学習方法・練習方法は、根拠に基づいたやり方も重要ですが、試しにやってみる、面白そうだからやってみる、という感覚もまた大切です。

重要なのは、できた喜び、成長の喜びを感じることだと思います。

 

以上を踏まえ、繰り返しになりますが、発達性協調運動障害への支援で大切な2つのことは、著書にもあるように、テクニカル的な面とメンタル的な面の両方が重要だということが言えます。

 

 


以上、発達性協調運動障害への支援で大切な2つのこと【成人当事者の語りから考える】について見てきました。

何か物事がうまくいかないときには、それに関連する能力の問題、つまり、能力そのものを向上させることが解決策としては重要です。

それと同じくらい、うまくいかないときのメンタルへの持ちようやあり方も、能力の向上と同レベルで大切です。

私自身、運動の問題は、練習による能力を向上させる面と、できない劣等感から二次障害などに繋がらないためのメンタルへのサポートの両方の大切さを、今後の療育に活かしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 


発達性協調運動障害に関連するお勧め書籍紹介

関連記事:「発達性協調運動障害(DCD)に関するおすすめ本【初級~中級編】

 

 

岩永竜一郎(編著)(2022)ハンディシリーズ 発達障害支援・特別支援教育ナビ 発達障害のある子の感覚・運動への支援.金子書房.

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