発達凸凹とは、認知に大きな偏りが見られる人たちのことを指します。
そして、発達障害とは、発達凸凹+適応障害だと考えられています。
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それでは、発達凸凹を理解するためにわかりやすい捉え方はあるのでしょうか?
そこで、今回は発達凸凹の子どもの特徴の理解について、臨床発達心理士である著者の体験談も交えながら、注意のロック機能障害から理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「杉山登志郎・白柳直子(2021)教えて 発達障害・発達凸凹のこと.IAP出版.」です。
発達凸凹の子どもの特徴の理解【注意のロック機能障害から考える】
以下、著書を引用しながら見ていきます。
発達凸凹を考えるにあたって僕がわかりやすいと思うのは、<発達凸凹は、注意のロック機能の障害>と理解する仕方です。
発達凸凹の子どもたちは、一つのことに、注意をロック(=固定)するのが難しい、あるいは一度ロックを掛けたらそこから外すのが難しい。ロックを掛けるのが難しいのはADHD的で、外すのが難しいのは自閉スペクトラム症的、という理解です。
著書の内容から、発達凸凹の子どもの特徴を理解しやすい捉え方として、<注意のロック機能障害>という言葉を使っています。
つまり、注意にロックを掛けるのが難しいのがADHD、注意のロックを外すのが難しいのがASDといった理解です。
人間の情報処理は、まずは対象への注意(注意の選択)があり、次に注意を向けたものを認知(知ること・意味づけなど)するといったプロセスがあります。
そのため、様々な情報に注意を向ける状態は、意識的・無意識的にしろ、情報処理過程の最初の段階だと言えます。
定型児は、注意の向け方については、ある程度、様々な情報に満遍なく注意を向けることができます。
例えば、人が話している内容を聞きながら、表情も合わせて見るなどです。
一方で、ASDは注意の向け方が独特です。
例えば、人が話している内容についても自分が興味のある特定の内容について注意を向けたり、表情も顔全体というよりも、顔のある一部に注意を向けるなど注意の向け方が独特である場合があります。
それも、一度、その注意にロックが掛かると外れることが難しい状態がよく見られます。
一方で、ADHDは注意が散漫になるといった特徴があります。
例えば、人が話している内容に注意を向ける一方で、他の周囲の刺激が気になると、注意を維持することが難しくなるといった特徴があります。
それも、一度、その注意のロックが外れるとロックを掛けることが難しい状態が続きます。
このように、発達凸凹を注意のロック機能障害といった見方をすることで、ASD特性、ADHD特性などの理解をさらに深めることができると言えます。
それでは次に、発達凸凹の〝注意のロック機能障害”の例を著者の体験談からお伝えしていきます。
著者の体験談
ASDとADHDの両方の特性を持つA君(当時小学5年生)を例に見ていきましょう。
A君は、一度、自分の興味のある本や動画を見始めると、その内容に過集中しはじめます。
その状態で周囲が話しかけても返事をしないほど、興味の対象に没入します。
これは、ASDなどによく見られる、注意のロックが外れない状態だと思います。
一方で、A君は、様々なものに興味があるため、周囲の人の話に急に割り込んできたり、自分が没入して取り組んでいるものより興味のあるものが衝動的に見つかると、これまでやっていたことそっちのけで興味の対象がコロコロ切り替わることもあります。
これは、ADHDなどによく見られる、注意のロックを掛けるのが難しい状態だと思います。
ASDとADHDは、重複しているケースも多いため、まさに、A君は注意のロックが外れない、逆にロックを掛けるのが難しいといった両方が生活の中で行ったり来たりしているお子さんなのだと思います。
以上、発達凸凹の子どもの特徴の理解【注意のロック機能障害から考える】について見てきました。
発達凸凹について、注意のロックにどのような特徴があるのかを把握していくことで、発達障害への理解がさらに深まるように思います。
また、著者の体験談でもお伝えしたように、発達凸凹の子どもの中には、注意が独特だと感じるお子さんたちが多くおります。
子どもたち一人ひとりが何に対してどのように注意を向けているのかを知ることは、その子の認知機能や興味関心の理解に繋がります。
私自身、今後も、子どもたちの生活の様子から、どのような対象にどのように注意を向けているのかを理解していきながら、より深い子どもたちの理解を目指していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
発達凸凹に関するお勧め書籍紹介
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杉山登志郎・白柳直子(2021)教えて 発達障害・発達凸凹のこと.IAP出版.