愛着障害には様々な特徴があると言われています。
それでは、具体的にどのような特徴が愛着障害のある子どもには見られるのでしょうか?
今回は、愛着障害の3大特徴を取り上げながら、著書の療育経験も交えながらお伝えしていきます。
今回参照する資料は「米澤好史(2019)愛着障害・愛着の問題を抱えるこどもをどう理解し、どう支援するか?アセスメントと具体的支援のポイント51.福村出版.」です。
愛着障害の特徴【3大特徴について考える】
以下、著書に記載されている3大特徴です。
①愛情欲求行動
②自己防衛
③自己評価の低さ
それでは、それぞれ具体的に見ていきます。
①愛情欲求行動
以下、著書を引用しながら見ていきます。
愛情欲求行動としての「注目されたいアピール行動」はポジティブな感情を求めるものです。叱れるかどうか、相手の対応を試す愛情試し行動はネガティブな感情を発生させないための予防であり、現状でわずかに確保されているポジティブな感情の維持のために必要な行動です。
著書の内容から、愛情欲求行動とは、ポジティブな感情を求める注目行動と、ネガティブな感情の予防である試し行動があります。
著者の療育経験でもこの2つの行動はよく見られます。
「見て見て!」と自分をアピールする行動は、際限なく続きます。
愛着が安定していれば、愛情のエネルギーがある程度注がれると充電されますが、愛着が不安定であれば、愛情を注いでも注いでも満たされることはないといった印象があります。
また、試し行動も非常に多くみらます、
特に多いのが新しい人との関わりの中で、この人はどこまで許してくれるのか?といった挑発的な言動・行為はよく見られます。
②自己防衛
以下、著書を引用しながら見ていきます。
不適切な行動を自分がしたと絶対に認めない自己防衛は、ネガティブな感情を起こさずに、わずかに確保しているポジティブな感情を固守して、自分を守るための行動です。
著書の内容では、自己防衛は、自分を守るための残り少ないポジティブな感情を守るために取られる行為だとしています。
自己防衛は、嘘や他害行動、解離など様々な行動として現れます。
著者の療育経験でも自己防衛はよく見られます。
頻度として、他責や嘘は非常に多いといった印象があります。
ある程度、知能がつくと、自分にとって有利となる情報や論理を取り出してくるなど、言葉巧みに相手を操作しようとする行為も見られます。
症状が重いと解離現象といった、現実にはなかったことを話したりする子もおります。
③自己評価の低さ
以下、著書を印象しながら見ていきます。
誰かと成功体験を共有したり、自分の成功体験を報告してポジティブな感情を増やすことができなかったので、自己評価が低くなっています。(中略)一方、その自己評価の低さを受け入れられないのが、自己高揚パターンです。
著書の内容では、自己評価の低さは、ポジティブな感情である成功体験を他者と共有したり、その体験を重要な人に報告することがないため、ポジティブな感情を増やすことができないことを原因としています。
著者の療育経験でも、愛着に問題がある子の多くは自己評価が低いといった印象があります。
何かに挑戦するなど「やってみよう!」と思う気持ちの背景には、自分ならできるといった自己評価の高さが要因としてあります。
安定した愛着の子どもたちには比較的こうした行動動機が見られるように思います。
また、自己高揚パターンも愛着に問題が子にはよく見られます。
自己高揚パターンとは、自己評価の低さを、他者を責めるなどして自分を優位に立たせるなどの特徴があります。
以上、愛着障害の3大特徴について見てきました。
著書の中では、
これらの3大特徴は、愛着障害でなければ生じない特徴
と強調しています。
これまで述べてきましたが、私自身も療育現場で今回取り上げた3大特徴は愛着に問題がある子どもたちによく見られるものだと感じています。
こうした子どもたちからのサインを見逃さずに、行動や言動の背景要因を考えることがとても大切だと思います。
私自身、まだまだ未熟ですが、今後も愛着障害への理解を深めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
米澤好史(2019)愛着障害・愛着の問題を抱えるこどもをどう理解し、どう支援するか?アセスメントと具体的支援のポイント51.福村出版.