療育(発達支援)現場には、発達障害など発達に躓きのある子どもたちが通所してきています。
療育に携わる方は、日々、必死に子どもたちを理解しよう支えようと奮闘しているかと思います。
一方で、自分たちの取り組みの何が専門性を磨くものかで迷走することもあるかと思います。
今回は、こうした子どもたちとの関わりの中で、療育(発達支援)の専門性を磨くために必要なことについて著者の経験からお伝えしていきます。
専門性を磨くために必要なことは、ずばり、子どもたちの行動や意図を言語化・解釈する力です。
以下、この言語化・解釈力の視点からお伝えしていきます。
言語化・解釈力とは?
発達に躓きのある子どもたちの行動の背景は実に様々です。
発達過程も非常に多様です。
定型児は、自己修正能力が高いと言われています。つまり、自分である程度、うまく行かいない点を修正する力があるということです。
一方で、発達に躓きの子どもたちは、何度もうまくいかない行動を繰り返すことがあります。
療育の専門スタッフは、こうした一人ひとりの躓きを理解し配慮・支援していく必要があります。
そのために、必要なのが子どもの行動や意図を言語化・解釈する力です。
- そのために必要なのが、経験に加え、知識を収集し自ら考えるということです。
- 考えるためには、経験が必要です。
- 考えるためには、知識(言語)が必要です。
- 考えるループが強化されるためには、経験と知識を元に問いを持ち続けるということが重要です。
上記の行動を習慣化していくことで、子どもたちの行動や意図の背景が徐々に言語化され、解釈する力が高まっていきます。
最初は、真っ黒なジグソーパズルを解くような状況から、徐々に色やイラストの絵があるピースが出てきて、パズルの全体像が見えてくるという感じです。
それでは、次に著者の経験談から療育(発達支援)の専門性が高まったと感じた内容についてお伝えします。
著者の経験談
著者が初めて療育現場で仕事をしたのは、今から10年以上前になります。
当時は、子どもたちとの関わりを楽しむ一方で、子どもたちのことがわからないという問いの連続でした。
学部・院と心理学・発達心理学を専攻していたにも関わらず全く役に立たないとある種の絶望感を抱いたこともありました。
自分に変化がでてきたのは、子どもたちの行動や意図が何となく自分の言葉で言語化できる頻度が増したと感じるようになってからでした。
療育現場に携わって1~2年以上経っていたかと思います。
ここから先は、様々な文献を見ても理解できることが増えていきました。読むべき文献がわかるようになってきたと言ってもいいかもしれません。
また、他のスタッフの話を聞ききながら、自分の視点も織り交ぜながら、子どもたちの行動や意図を解釈する頻度も高まってきました。
現在、療育に携わり10年前後になります。
当時の自分と比べて格段に変化を感じるのは、言語化・解釈力です。
この力によって、他のスタッフとさらに力を掛け合わせて、様々な子どもたちの困り感だけではなく、成長も実感し言葉にできるようになってきました。
子どもたちとの関わりがうまい人は多くいます。
子どもたちの思いに寄り添い、感覚的にその子の心情を理解できる人も多くいます。
しかし、言語化・解釈力は経験と知識に加え、問いを持ち、自ら思考し続ける必要があります。
言語化・解釈力が高まっていくことは何も子どもたちの理解や支援に役立つというだけではありません。
人の行動や意図、発達過程が非常に多様であるということが実感を持って理解できるという面白さもまたあります。
私自身、まだまだ未熟ですが、今後も療育(発達支援)の専門性を磨き続け、人の成長や発達がいかに多様であるかを言語化できるようになりたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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