発達支援(療育)では、日々の子どもたちの困り感・生きづらさを支えることがとても大切です。
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それは、発達障害を生活障害と捉えなおし、日々の生活を支えることでもあります。
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それでは、生活障害といった日々の生きづらさを支えるために具体的にどのような視点が必要なのでしょうか?
今回は、発達支援で大切なこととして、著者の療育経験も交えて、生活療法的視点から具体的な内容について考えていきたいと思います。
今回、参照する資料は「田中康雄(2011)こころの科学叢書:発達支援のむこうとこちら.日本評論社.」です。
生活療法的視点について
著書の中では以下、6つの事柄を大切にしています(以下、引用)。
①発達障害のある方々の「思い」をできる限りつかむ
②症状特性への対策よりも、いかに楽に得に生きるかを考える
③障害をいいわけにしない
④簡単な言葉で対応する
⑤生活の場を想像し、ときに現場に足を運ぶ
⑥タイミングをはかり、具体的に、できるだけ迅速に、繰り返し丁寧に対応する
それでは次に、それぞれについて著者の意見も交えてお伝えします。
①発達障害のある方々の「思い」をできる限りつかむ
特性理解も大切ですが、その子の思いに耳を傾けることが大切です。
発達障害というと、特性への配慮ということが支援の観点から重要ですが、それ以上に、個々の思いに寄り添う姿勢が大切です。
著者も、特性への理解は大切にしながらも、日々、子どもたちが生活の中でどのような喜怒哀楽といった心情を抱いており、それに対して、理解と共感を持って対応するように心がけています。
②症状特性への対策よりも、いかに楽に得に生きるかを考える
どうしてそうなるのかという原因を追究することも大切ですが、それ以上に、日々の生活をいかに楽にするかといった視点がとても大切です。
特性上の苦手さに対策を講じるよりも、いかにして負荷を減らすかという考え方が、同調圧力の強い日本社会には重要だと思います。
著者も、子どもたちの苦手さを環境調整するなどして、負担を無くすことを心がけています。
③障害をいいわけにしない
障害があるから不幸な人生になるわけではありません。
障害を理由にして様々なことを諦めたり、行動することを止めてしまうと可能性も減ってしまいます。
著者も療育現場で子どもたちに、日々の生活の中でその人なりの成長や喜びを感じられるような関わりを大切にしています。
④簡単な言葉で対応する
その人の頑張りや苦労に対する共感などを言葉で伝えることはとても大切です。
著者も療育現場でも、子どもたち対して、「すごい!」、「がんばったね!」、「よくできました!」など、肯定的な短い言葉がけをよく行います。
また、保護者に対しては、苦労をねぎらう言葉がけを心がけています。
⑤生活の場を想像し、ときに現場に足を運ぶ
その子の理解は現場(生活場面)を通して行うことがとても大切ですので、その意味で現場に赴く機会を増やすことが重要です。
著者は、子どもたちを深く理解したいのであれば実践から学ぶことが最重要だと考えています。
日々、子どもたちと生活を共にすることで、様々な心情を共有できたり、その子の「生きづらさ」や得意不得意・好き嫌いなど、様々な面が成長とともに見えてきます。
⑥タイミングをはかり、具体的に、できるだけ迅速に、繰り返し丁寧に対応する
関わる人がリアルタイムでその子に繰り返し働きかけることで生じる変化は、関わり手が成長するためにもとても大切なことです。
著者も療育現場で、日々、子どもたちと関わり続けたことから、子どもたちの成長を実感できたとともに、著者自身も関わりの手の必要性や重要性などを学ぶ良い機会を得ていると実感しています。
以上、著書を参考に、生活療法的視点について6つの項目について、著者の意見も交えながらお伝えしてきました。
発達障害への生活療法的視点は、何も特別なことをするものではないかもしれませんが、大切な視点は様々あり、日々の生活を丁寧に支え続けるといった忍耐もまた重要となります。
こうした視点を踏まえて日々関わり続けることで、療育で大切なことを子どもたちの方から教えてもらっている実感が著者にはあります。
まだまだ未熟ですが、今後も、現場で子どもたちと一緒に、日々の歩みを大切にしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
田中康雄(2011)こころの科学叢書:発達支援のむこうとこちら.日本評論社.