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ADHD児への療育の大切さ-不適切な関わりをやめるだけで子どもは変わる-

投稿日:2022年5月2日 更新日:

ADHD(注意欠如/多動性)とは、多動性・衝動性・不注意を主な特徴としています。

関連記事:「ADHDのタイプについて:のび太型とジャイアン型について考える

著者は長年、療育現場で発達に躓きのあるお子さんたちと関わってきていますが、こうしたお子さんの中には、ADHD児やADHD傾向のある子どもたちもおります。

ADHDといっても様々なタイプのお子さんがおりますので一概にまとめることはできませんが、その多くは発達特性ゆえに叱責を受けることが多く、自尊心が低い子どもが多いといった印象を受けます。

 

そこで、今回は、ADHD児への療育の大切さについて、著者の経験も含め、不適切な関わりをやめるだけで子どもは変わることについてお伝えします。

 

 

今回参照する資料は、「最新版 真っ先に読むADHDの本:落ち着きがない、忘れ物が多い、待つのが苦手な子のために」です。

 

 

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不適切な関わりをやめるだけで子どもは変わる

以下に著書を引用します。

ADHDの治療は、ADHDについて理解し、その子に合った対応を工夫することが第一歩。叱ってばかりをやめ、いいところにしっかりと目を向けるだけで子どもは変わります。

 

対応を工夫して、子どもの成長を促しつつ、せかさずに見守っていくことで、ADHDの子どもでも、できることが増えていきます。

 

著書の内容から、ADHDの特性を理解し、焦らずに関わること、そして、叱責を減らし、良い行動を褒めるといった対応を工夫することで、好ましい行動やできることが増えていくということです。

著者はこれまでのADHD児との関わりから、ADHD児は多動性や衝動性といった特性から大人が注意してしまう対象になりやすいと感じます。

例えば、順番が待てない、つい口をはさんでしまう、落ち着きがないといった行動、そして、不注意の特性による忘れ物の多さや人の話の聞き洩らしなどはどうしても周囲からすると困った行動にうつることがあります。

こうした行動を、もともと持っている発達特性が影響しているという理解に切り替えることでだいぶ関わり方が変化してくるかと思います。

そして、著者の経験上、長期にわたって不適切な関わりを継続した結果良い結果はほとんど訪れず、一方、長期にわたって良い関わり(肯定的な関わり)を継続した方が好ましい行動やできることは増えていくと実感しています。

 

 


それでは、次に著者の体験談から、不適切な関わりをやめ、良い関わりによる対応を増やしたことで変化した事例をお伝えします。

 

著者の体験談

ADHD傾向のある小学5年生のA君は著者が小学校1年生の頃から関わりのあるお子さんです。

当時は、落ち着きがなく、忘れ物が多く、物の整理整頓などが非常に苦手でした。

そのため、学校など周囲からは叱責を受けることが多くありました。

叱責を受けた直後にはA君は何とか注意を切り替えようとしますが、何か他の刺激が入ってくるとまた注意がそちらに向いてしまいます。

また、スケジュール管理や忘れ物の管理なども本人なりに頑張ってはいるものの、取り組んでいる途中や、取り組みの最後でミスが生じてしまうということも多くありました。

そのため、頑張りの過程にはなかなか目を向けてはもらえずに、最後は叱責されて終わるという状態が続きました。

我々スタッフも今にして思うと、極力良いところに目を向けるようにしてはいたものの、まだまだ配慮や支援不足だったように思います。

こうした状態では、どうしてもA君は、自分は何をやってもうまくいかない、結局は怒られるダメな自分という思いが強くなってしまいます。

げんにそうなっていたように思います。

 

A君に変化が出てきたのは4年生の頃からでした。

A君は学校の先生から注意をされることも少なくなり、むしろできた部分をほめられるようになってきました。

我々スタッフも、A君に対して結果だけではなく頑張る過程を細かく褒めたり、逆に過程がうまくいかなくとも結果の部分でうまくいったところを褒めるという関わりに照準を当てるようになってきました。

もちろんこうした変化はA君がこれまで頑張ってきた過程で学習したものや、成熟による影響もあったのかもしれません。

しかし、5年生になったA君はさらに進化を遂げます!

学校では優しい担任のもと褒められることが多く、我々スタッフも少し良いところが見えたらその行動をすかさず褒めるようにしました。

その結果、A君は物の管理やスケジュール管理などこれまで苦手としていたところを自分で気づき自ら修正・管理する様子が増えてきました。

A君の表情には自信と穏やかさが周囲からみてありありと感じ取れるほどです!

こうしてA君との長年の関わりから、叱責など不適切な関わりを続けても療育の効果は期待できないということを感じました。

逆に、発達特性を理解し、良い所・頑張る過程を褒めることで生じたポジティブな変化が多くみられました。

 

 


子どもとの関わりから学ぶことは多くあります。

私自身、まだまだ未熟ですので、これからも発達特性への理解を深めながら、子どもたち一人ひとりが自分に対する肯定感を持ってもらえるように関わり方を考えていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

司馬理英子(2020)最新版 真っ先に読むADHDの本:落ち着きがない、忘れ物が多い、待つのが苦手な子のために.主婦の友社.

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