発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

療育 自閉症

自閉症療育で大切な視点-社会参加に必要な能力:「自律スキル」と「ソーシャルスキル」-

投稿日:2022年4月17日 更新日:

 

自閉症(ASD:自閉症スペクトラム障害)とは、対人関係やコミュニケーションの困難さ、そして、こだわり行動を主な特徴とした発達障害です。

自閉症は、対人・コミュニケーションに困難さを抱えているため、周囲の状況を理解し自分の行動を調整したり、人に相談することに苦手さを抱えている人たちが多くいます。

著者は職業柄、子どもから成人まで、自閉症の人たちと関わる機会が多くあります。

その中で、もともと対人・コミュニケーションが苦手な自閉症の人たちが、社会の中でうまく適応するためには、どのような支援が大切かを考える機会が多くあります。

 

それでは、自閉症の人たちが社会にうまく適応していく上で、どのような能力が必要だと考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、自閉症療育で大切な視点について、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、社会参加に必要な能力である「自律スキル」と「ソーシャルスキル」について理解を深めていきたいと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

今回、参照する資料は、「本田秀夫(2017)自閉スペクトラム症の理解と支援.星和書店.」です。

 

 

スポンサーリンク

 

 

自閉症療育で大切な視点-社会参加に必要な能力:「自律スキル」と「ソーシャルスキル」‐

「自律スキル」

自律スキルというのは、自分にできることを意欲的にやるけれども、できないことは無理しない。こういう判断ができる力です。

以上が、著書の引用となります。

 

自律というと、一見すると、自分の力でやっていくというイメージがありますが、そうではなく、できないことも判断できるということが大切なポイントです。

そのためには、多くの経験を重ねながら自己分析をしていくことが重要です。

そして、その中で、うまくできないところは無理をしない、どういったことなら自分はできるのか・頑張れるのかを経験を通して判断できるようになることが大切です。

 

 

「ソーシャルスキル」

ソーシャルスキルというのは、自分にできないと思ったことを誰かに相談する力と、人として最低限守るべきルールは守るという力です。

以上が、著書の引用となります。

 

社会の中には最低限守らないといけないルールがあります。

こうしたルールを理解していきながら、人に相談する力が非常に大切になってきます。

前述した、自律スキルでは、できないことは無理しないと判断できる力も大切だと述べました。

そのためには、できないことを他者に相談することが重要になってきます。

相談することで相手に自分のことを理解してもらうきっかけになります。

また、仕事では相談できる良き上司・仲間がいることがとても大切です。

 

 

まとめ

これら2点を整理すると以下になります(以下、著書引用)。

まとめると、一人でできないことをできないと判断し、他者に相談する力ということになります。これは成人期の社会適応にとって最低限必要なスキルです。

 

自閉症の人たちにとって特に重要となる社会参加に必要なことは、できること・できないことを自己分析する力と、できないことを人に相談する力が必要だと言えます。。

 

 

著者のコメント

著者は、仕事上で自閉症の子どもや成人の人と関わることが多くあります。

自閉症の子どもたちへの療育として、社会(人と人とが関わる)には、一定のルールがあることをわかりやすく示すことが大切です。

自閉症児の中には、一度ルールを理解するとしっかりと守ろうとする強みもあります。

得意・不得意に関する理解は、学童期頃はそれほど自己理解が深まっていない傾向があります。

不得意に関することで、うまくいかないことに対して、大人が関わることでうまくいったという経験を積み重ねていけるような関わりがとても大切だと言えます。

こうした関わりを重ねていくことで、困った時に、子どもからの発信が増えていきます。

つまり、子どもから大人に相談しにくるようになっていきます。

 

成人の人との関わりで難しいものとして、非常にまじめな人も多いため、上司や先輩の指示は自分ができなくても許容し、やろうとしてしまい空回りしてしまうことがあります。

また、自分からの発信が乏しいため、何に困っているのかに関する判断(他者視点をもとに)が難しいこともあります。

そのため、著者は、できるだけ彼らとコミュニケーションを取りながら、困っている点や、うまくいっている点・できている点などを話すようにしています。

 

日本社会は、何でも自分のことは自分でやるように教育されているところが強い印象があります。

一方で、自分は何ができて・できないのかを判断する力、そして、困った時に人に相談する力が、社会の中で生きていくためにはとても大切です。

特に、自己理解の苦手さや発信力が乏しい自閉症の人たちにはとても大切だと思います。

成人期までを見据えて、「自律スキル」や「ソーシャルスキル」といった視点にも力を入れていきながら、今後も日々の療育を頑張っていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 


自閉症に関するお勧め書籍紹介

関連記事:「自閉症に関するおすすめ本【初級~中級編】

 

 

本田秀夫(2017)自閉スペクトラム症の理解と支援.星和書店.

スポンサーリンク

-療育, 自閉症

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【自閉症の特徴】多様性を規定する要因:年齢×知的能力障害×自閉症状について考える

  自閉症(ASD:自閉症スペクトラム障害)とは、対人・コミュニケーションの困難さやこだわりを主な特徴とした発達障害です。 著者は長年、療育現場を中心に自閉症児・者と関わる機会が多くあります …

療育(発達支援)で大切な〝遊びの流れ″を作ることについて考える

  療育(発達支援)では、〝遊び″が中心的な活動になります。 子どもたちは〝遊び″を通して、自己を発揮したり、他者と関わる楽しさを学んでいきます。 〝遊び″には、〝個別(一人)の遊び″や〝集 …

【自閉症療育の専門性と支援者の役割】後悔の無い人生を歩むために支援者ができること

  著者が勤める療育現場には、発達に躓きのあるお子さんたちが多くおります。その中に、自閉症(自閉スペクトラム障害)のお子さんたちもおります。 自閉症の子どもたちは、ある種の独特な世界観を持っ …

療育の重要性について-二次障害の予防から考える-

  療育(発達支援)には、主に治療と教育といった側面があります。 そして、障害など発達に躓きのある子どもたちへの理解と支援を行うことで自立や社会参加を目指すものとされています。   …

療育は必要か?-療育経験からその必要性について考える-

  著者は長年にわたり、療育現場で発達に躓きのあるお子さんたちに対して療育を行ってきています。 その中で、療育は必要か?どのような療育が必要なのか?といった問いについて、考えることがこれまで …