療育の成果について、どのような働きかけが成果に繋がったのかを特定することは難しいことです。まず、何を持って成果と言えるのか、そして、成果には様々な要因が絡んでいるからだと思います。
さらに、成果(変化)にも、短期のものと長期のものなど時間軸の捉えの違いによって見えてくるもの、内容が異なるかと思います。
そこで今回は、私自身の放課後等デイサービスでの長期の子どもたちとの関わりからポジティブな変化が見られた例を長期の視点から以下に事例を簡単に紹介したいと思います。
療育の成果について-遊びはじめと終わりを意識することの大切さ-
A君の事例→遊びはじめと終わりが意識できることで達成感がもてるようになった例
小学4年生のA君は、私が所属している放課後等デイサービスに一年生の頃から通ってきており、昔は、なかなか遊びが定まらず、注意散漫も多く、集中も続かず、活動終了時にもなかなか遊びへの満足感をもつことが難しい状態でした。
我々スタッフは、A君の興味・関心を、活動を通して少しずつ理解していきながら、活動時間内で、できる遊びの提案を行ってきました。
A君はごっこ遊びや工作などに少しずつハマりはじめ、以前は、長い時間取り組むことが難しかった遊びも徐々に長く続けられるようになっていきました。
こうしたA君との関わりを通して、我々スタッフは、活動時間からある程度、その日にできる遊びを提示(あるいはA君の要望を聞く)していきながらスケジュールを組み立てていく取り組みを行ってきました。
こうしたスタッフの提案によりA君は、遊びのイメージが膨らみ、遊びにスムーズに取り組む様子が増えていきました。
難しいのは、遊びはじめもですが、遊び終わりです。彼らにとって何かが完結した、今日の所は完結した、そして、また次回に続くといった一区切り、達成感がとても大切で、これがうまくいかないと満足いくまで遊びを続けたり、イライラして活動を終えることになります。
もちろん、遊びに没頭すること、遊び続けることは必ずしも悪いことではありませんが、次の生活への切り替えという意味も含め、何とか一区切り本人の中で納得のいくもの、達成感をもって帰ってもらいたい思いが我々スタッフには強くあります。
現在のA君は、遊びのレパートリーも増え、また、生活経験を重ねることで時間の意識も出てきたことで、遊びのはじめと終わりを意識することが徐々にできるようになってきました。
また、関わるスタッフの技量にもよりますが、うまく遊びを完結させることで、達成感をもって遊びを終える様子も増えていきました。
こうした変化は、遊びを終えたA君の表情や次の活動への切り替えのスムーズさなどから読み解くことができます。
療育の現場には特別な配慮が必要なお子さんたちが多くいます。
その中でも、遊び(活動)のはじめと終わりを意識することはとても大切なことだと思います。
よく療育現場で見られることとしては、なかなか遊びが定まらず、手持ち無沙汰になるお子さんがいることや、遊びが完結しないと帰ろうとしないなどの様子があります。どちらも、遊びはじめと終わりがうまくいかない状態です。
これは我々スタッフの問題もありますが、試行錯誤の取り組みの継続の結果、うまく行くようになったケースが非常に多くあります。
遊びのはじめと終わりを意識することは、日々の生活経験を重ねていくことで少しずつ身に付いてくるものだと思います。また、生活経験を重ねることで、時間の理解や、限られた時間の中で自分の頭で過ごしを考えることにも繋がってくるかと思います。
これからも、子どもたち日々の活動がより良いものになるために、遊びのはじめと終わりへの意識を継続していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。