療育の成果について、どのような働きかけが成果に繋がったのかを特定することは難しいことです。まず、何を持って成果と言えるのか、そして、成果には様々な要因が絡んでいるからだと思います。
さらに、成果(変化)にも、短期のものと長期のものなど時間軸の捉えの違いによって見えてくるもの、内容が異なるかと思います。
そこで今回は、私自身の放課後等デイサービスでの長期の子どもたちとの関わりからポジティブな変化が見られた例を短期の視点から以下に事例を簡単に紹介したいと思います。
療育の成果について-好きなことからのアプローチ-
B君の例→好きなことからのアプローチ
小学校3年生のB君は1年生の頃から私が所属している放課後等デイサービスを利用しています。
自閉的な特性があり、ゲームや工作が好きであり、放課後等デイサービスでは、よくスタッフとゲームの話や工作をすることが多くありました。
しかし、最近、放課後等デイサービスに行きたくないなど行き渋りが見られるようになりました。
そこで、チームで話し合い、B 君が少しでも楽しめるように、本人の興味・関心からアプローチすることにしました。
B君は戦いのゲームが最近ブームであったこと、また、これまで放課後等デイサービスでは工作遊びをよくしていたことから、本人の好きなゲームの武器を段ボールなどで作ることを提案しました。作成の際には、iPadで完成品や作成の工程を見せるなどの取り組みをしました。
また、安心できる大人をできるだけ配置すること、さらに、安心できる場所の設定なども実行しました。
一度、何かにハマると没頭し継続するといった強みを持っているB君はこうした提案を投げかけられると、喜んで取り組む様子が増えました。そして、帰り際には次回何を作るかを相談しておくようにしました。
こうした本人の興味・関心からの見通しを作ることで、B君は「早く行きたい!」と放課後等デイサービスへの期待を持つようになりました。
こうした取り組みは数か月程度の短期の取り組みですが、この取り組みの中には、本人の興味・関心など好きなことからのアプローチ、そして、事前の見通し(次回に何を作成するのか)など、様々な支援・配慮事項が組み込まれています。
自閉症の特性で言えば、限定された興味・関心などがあるため、好きを活かしたアプローチは王道ともいえます。
また、変化に弱い面もあるため、安心して過ごせる環境や事前に予定を組んでおくことも重要な配慮事項となります。
療育において大切なことは、日々、子供たちが安心できる環境を作りながら、楽しんで取り組める内容を考えることだと思います。
今回は短期の面から記載しましたが、このような取り組みを長期にわたっておこなったことでどのような変化が子どもに見られるのか、そして、長期的にはどのようなアプローチが必要なのかも今後考えていく必要があるかと思います。
療育は、子どもの日々の状態に応じて対応を変えていく必要もあり、また、成長によってプランを変えていく場合もあるため、長期の目標がその通りに進むわけではありません。
大切なことは、長期・短期の目標を持ちながら、たえず子どもたちの状態に応じてプランを再構築する柔軟性にあるかと思います。
私自身、まだまだ未熟であり、療育の成果もジグソーパズルのピースを一つずつかき集めている感じでもありますが、これまで通り、少しずつ進捗していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございます。