発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

成果 療育

療育の成果について-好きなことからのアプローチ-

投稿日:2022年1月10日 更新日:

 

療育の成果について、どのような働きかけが成果に繋がったのかを特定することは難しいことです。

まず、何を持って成果と言えるのか、そして、成果には様々な要因が絡んでいるからだと言えます。

さらに、成果(変化)にも、短期のものと長期のものなど時間軸の捉えの違いによって見えてくるもの、内容が異なります。

 

そこで、今回は、私自身の放課後等デイサービスでの長期の子どもたちとの関わりからポジティブな変化が見られた例を短期の視点から以下に事例を簡単に紹介したいと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

スポンサーリンク

 

 

療育の成果について-好きなことからのアプローチ-

Bさんの例→好きなことからのアプローチ

当時小学校中学年のBさんは小学校低学年の頃から私が所属している放課後等デイサービスを利用しています。

自閉的な特性があり、ゲームや工作が好きであり、放課後等デイサービスでは、よくスタッフとゲームの話や工作をすることが多くありました。

しかし、最近、放課後等デイサービスに行きたくないなど行き渋りが見られるようになりました。

そこで、チームで話し合い、B さんが少しでも楽しめるように、本人の興味・関心からアプローチすることにしました。

Bさんは戦いのゲームが最近ブームであったこと、また、これまで放課後等デイサービスでは工作遊びをよくしていたことから、本人の好きなゲームの武器を段ボールなどで作ることを提案しました。作成の際には、iPadで完成品や作成の工程を見せるなどの取り組みをしました。

また、安心できる大人をできるだけ配置すること、さらに、安心できる場所の設定なども実行しました。

一度、何かにハマると没頭し継続するといった強みを持っているBさんはこうした提案を投げかけられると、喜んで取り組む様子が増えました。そして、帰り際には次回何を作るかを相談しておくようにしました。

こうした本人の興味・関心からの見通しを作ることで、Bさんは「早く行きたい!」と放課後等デイサービスへの期待を持つようになりました。

 

 


以上、療育の成果について-好きなことからのアプローチ-について見てきました。

こうした取り組みは数か月程度の短期の取り組みですが、この取り組みの中には、本人の興味・関心など好きなことからのアプローチ、そして、事前の見通し(次回に何を作成するのか)など、様々な支援・配慮事項が組み込まれています。

自閉症の特性で言えば、限定された興味・関心などがあるため、好きを活かしたアプローチは王道ともいえます。

また、変化に弱い面もあるため、安心して過ごせる環境や事前に予定を組んでおくことも重要な配慮事項となります。

療育において大切なことは、日々、子供たちが安心できる環境を作りながら、楽しんで取り組める内容を考えることだと思います。

今回は短期の面から記載しましたが、このような取り組みを長期にわたっておこなったことでどのような変化が子どもに見られるのか、そして、長期的にはどのようなアプローチが必要なのかも今後考えていく必要があるかと思います。

療育は、子どもの日々の状態に応じて対応を変えていく必要もあり、また、成長によってプランを変えていく場合もあるため、長期の目標がその通りに進むわけではありません。

大切なことは、長期・短期の目標を持ちながら、たえず子どもたちの状態に応じてプランを再構築する柔軟性にあるかと思います。

私自身、まだまだ未熟であり、療育の成果もジグソーパズルのピースを一つずつかき集めている感じでもありますが、これまで通り、少しずつ進捗していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

 


療育実践で参考になる書籍一覧に関する記事を以下に載せます。

関連記事:「発達障害の支援に関するおすすめ本【初級~中級編】

 

 

スポンサーリンク

-成果, 療育

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

発達支援(回想編):療育施設での四年を振り返る

今回は私が療育施設に勤務した最後の年である四年目を中心に、療育施設の四年間を振り返りながらその中で学んだことや課題についてお伝えしていこうと思います。 冒頭にも紹介した通り、この年が療育施設での勤務の …

療育の大切さについて-放課後等デイサービスでの経験を振り返る-

  著者は長年、発達に躓きのある子どもたちたちと放課後等デイサービスなどの事業所を通して関わってきています。 長年の療育を踏まえて、放課後等デイサービスの役割や意味などを実感できる場面が多く …

【発達障害児支援の試行錯誤の先に見えたこと】療育の本質を探る旅

  発達障害児への支援が思うようにいかずに思い悩んだことはありませんか? 発達障害児に関わる多くの支援者は、支援がうまくいかない状況に直面したことがあるかと思います。 かつての著者も、果たし …

【療育で大切なこと】〝えこひいき″を通して考える

  著者な長年、発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育をしてきています。 発達障害といっても、その状態像・困り感・発達段階などは非常に多様です。 様々な療育経験を通して、著者は〝えこ …

【療育(発達支援)の成果】イライラ・癇癪への支援をキーワードに考える

  療育(発達支援)を長年行っていると、子どもたちの成長を実感する機会に多く出会うことがあります。 こうした出会いは、療育(発達支援)の〝成果″を感じる時でもあります。 もちろん、療育(発達 …