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感覚と運動の高次化理論

感覚と運動の高次化理論について

投稿日:2020年9月14日 更新日:

「感覚と運動の高次化理論」について

「感覚と運動の高次化理論」は、宇佐川浩先生が淑徳大学臨床発達研究センターで、発達につまずきのある多くの子どもたちとの関わりをもとに、長年にわたって作り上げた理論となります。

発達の道筋を理解した上で、一人ひとりの子どもの発達を丁寧に読み取り、その発達を促し、子どもの世界を広げ、生活を豊かにしていくためのものとなっています。

「感覚と運動の高次化理論」では、人の発達を大きく3つの層にわけています(図1)。

発達の層 水準 名称
第Ⅰ層

(初期感覚の世界)

Ⅰ水準 感覚入力水準
Ⅱ水準 感覚運動水準
Ⅲ水準 知覚運動水準
第Ⅱ層

(知覚の世界)

Ⅳ水準 パターン知覚水準
Ⅴ水準 対応知覚水準
第Ⅲ層

(象徴化の世界)

Ⅵ水準 象徴化水準
第Ⅳ層

(概念化の世界)

Ⅶ水準 概念化1水準
Ⅷ水準 概念化2水準

図1.感覚と運動の高次化からみた発達水準(宇佐川,2007)

 

第Ⅰ層(初期感覚の世界)

前庭感覚・固有感覚・触覚を使うことを中心に外界を捉える世界で、手段と目的の分化、目的的な行動への発展する段階

第Ⅱ層(知覚の世界)

目や耳を使って外界を捉え運動を調節していく世界で、見分ける(視知覚)、聞き分ける(聴知覚)の発達や、記憶力、模倣力の発達が見られる段階

第Ⅲ層(象徴化の世界)

視知覚と聴知覚が高次化し、見立て遊びやことばなどの間接化された世界としての象徴機能やイメージの力が育ってくる段階

第Ⅳ層(概念化の世界)

文字や数概念も形成されるなどことばがより高次化され、社会的なルールや道徳心、ゲームやごっこ遊びが可能になる段階

こうした発達水準は、太田ステージにも見られますが、太田ステージでは主に認知の発達を主として取り上げた理論となっているため、その点に違いが見られるかと思います(太田ステージに関して詳しくは、「太田ステージから障害児の発達を考える」に記載しています)。

 

 

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著者のコメント

私自身、療育の現場(療育施設)に勤務していた際に、重度のお子さんなどを多くみる機会がありました。

その中で、障害の程度が重いお子さんたちの発達をどのように捉えればいいのか日々悩んでいました。

その中で、「感覚と運動の高次化理論」との出会いは、非常に現場での子どもたちの発達を捉えるのに役に立つ、腑に落ちる感じが強くしました。

上記に記載した発達水準は、子どもたちの発達過程を非常に細かく、様々な機能との関連の中で詳細に記載したものとなっています。

一般の、発達心理学などに記載されている発達過程は、ここまで詳細には載っていません。また、現場からの知見から立ち上げられたものであるため、現場で働く人たちにとっては納得のいくところが強くあるかと思います。

1つだけ難点があり、それは難解であるということです。

「感覚と運動の高次化理論」を理解し現場に応用するのは簡単ではないかと思いますが、それだけ障害児の理解は難しいということだと思います。

今後も障害児への理解や支援を通して、人への理解を深めていきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

宇佐川浩(2007)障害児の発達臨床Ⅰ感覚と運動の高次化からみた子ども理解.学苑社.

宇佐川浩(2007)障害児の発達臨床Ⅱ感覚と運動の高次化による発達臨床の実際.学苑社.


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