発達支援の現場ではチームで子どもたちの集団を支援することが多くあります。
チームだからこそできる支援、チームだからこそ難しい点など、個人とチームとでは、自分の立ち位置や考え方、動き方などが変わってきます。
そうした中で、チームがうまく機能していくためには、どれだけ困難や課題を乗り越えてきたかという“修羅場”への向き合い方が、チーム内の信頼関係を強くしていきます。
今回は、発達支援の現場から、チームで支援していく中で修羅場を経験することで得られる信頼関係について、私の経験談をお伝えしていこうと思います。
著者の体験談
私がチームでの結束を強く感じたのは、療育現場での一年目になります。
初めての療育現場であり、私は大学では心理学を専攻してきており、周囲の職員の多くは保育士という、アウェーな感じもありました。
そうした中で、最初に担当したクラスは子どもの人数も多く、非常に賑やかなクラスでした。その分、トラブルも多くあったため、チームでの支援がとても大切でした。
最初の数か月は、私は自分の立ち位置や何ができるのかを模索しており、チームということまで頭が回らない状態でした。当然、自分のクラスのチームはうまく機能していない状態でした(今、振り返って見るとそう感じます)。
こうした状態は、最初の時期にはよく起こることかと思います。特に、4~6月頃は、子どもたちも環境に慣れてないことが多く、様々なトラブルが発生します。ある意味、クラスがチームとしてうまく機能しないのは当然なのかもしれません。
そうした中で、私は少しずつこのチームの中での自分の役割を感覚的につかんでいきました。
その中で芽生えた感覚が、自分の行動に責任を持ち、とにかく結果はどうあれ最後までやってみるという考えでした。
私がとった行動は時にはうまく行き、時にはトラブルを起こしてしまうなど、決して満足のいくものではなかったかと思いますが、やり切った、やり抜いた、という感覚は思いのほか自分の自信になりました。
チームメンバーにも少しずつ頼られる、任されるという機会も増えていき、チーム内でのコミュニケーションも増えていきました。私は、この頃から“チーム”をよりはっきりと意識し始めたように思います。
もちろん、年間にわたってトラブルは絶え間なく起こります。
しかし、後半になるにつれて、チーム内での“阿吽の呼吸”ともいえる繋がりが出てきました。その甲斐あって、トラブルへの対応力は向上していきました。
また、“修羅場”について、自分たちなら乗り越えていけるという自信とチームでの結束も出てきたように思います。
振り返ってみると非常に濃い一年間でした。これ以上濃い一年間はないと言っても過言ではありません。
そして、チームメンバーも同じような実感を持っているため(おそらく)、その後、チームメンバーとは非常に深い信頼関係ができたと感じています。
人生における“修羅場”は、様々な場面で起こるかもしれません。しかし、一人で乗り越えたものと、チームとして乗り越えたものとでは、その中で得られる喜びや学びが違うと感じます(どちらも大切です)。
チームとして“修羅場”を乗り越えて得られるものは、相互の信頼関係や、人と協力することで達成できる喜びや多くの気づきです。そこで得られたものは、後の人生を支えてくれる原動力にもなります。
私自身、療育現場での激動の一年目からだいぶ年月が経ちましたが、その時の経験からの学びが今の自分を支えるものになっていることは間違いありません。
今後も様々な“修羅場”に遭遇するかもしれません。その時に、チームとしてどうやって乗り越えていけるのかという意識を持ちながら、自分にできることをやっていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。