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愛着障害

愛着障害(愛着に問題を抱える)の子どもの行動特徴について:療育経験を通して考える

投稿日:2020年8月11日 更新日:

 

療育現場で子どもたちを相手にしていて非常に理解や対応が難しいものに愛着障害(愛着に問題を抱える)のケースがあります。

著者自身、療育現場での対応が難しく、ある集団を受け持った時にも際立って〝手ごわい″と感じるケースの多くに、愛着に問題がある場合だと感じています。

 

それでは、愛着障害(愛着に問題を抱える)の子どもにはどのような特徴があるのでしょうか?

 

そこで、今回は愛着障害(愛着に問題を抱える)の子どもの行動特徴について、臨床発達心理士である著者の経験談を踏まえて理解を深めていきたいと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

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愛着障害の子どもの特徴について

私は心理士・指導員としてこれまで様々な現場で療育をしてきました。

その中に愛着に問題のあるケースが少なからず存在していました。

そうした子どもに見られる行動特徴には以下のようなものがあるのではないかと考えられます。

以下の特徴はこれまで多くの愛着関係の書籍を読んできた視点も多く入っています。

集団になると目立つ

これは最近よく実感することです。個別に一対一で対応している際には比較的に安定していても、集団に入ると、その集団から外れる行動が増える印象があります。そして、その行動も集団のルールや動きを理解していないというより、あえて大人から注意を得たいという意味でやっているように感じます。

また、こうした行動特徴は子どもにとっては意識的というよりも無意識的にとっている感じもします。そして、厳しい大人の前ではおとなしくても、そうでない大人の前になるとより特徴が顕在化するようにも思えます。

大人の注意を引く言動や行動が多い

これは非常に多く見れる行動だと思います。

とにかく自分に構って欲しい、注目してほしい、見てほしいという要求が強いため、あえて不適切な行動や言動をすることで大人の注意を引きたいと感じるような場面が多くあります。

気持ちの波が激しい

時間帯等によって非常に気持ちにムラがあるように感じます。ある時間帯ではおとなしく静かであるが、例えば、朝の集まりの時間では落ち着きがなく、イライラする様子が多いなども多く見られる特徴のように感じます。

感情に関する理解が乏しい

「嬉しい」「悲しい」「楽しい」など感情を表す語を感情語といいますが、こうした感情に関する理解が乏しいのも特徴としてあるかと思います。

例えば、言葉の理解は非常に高くペラペラ理路整然とおしゃべりするからといって、感情の理解が高いとは限りません。

こうした知的能力と感情認知のギャップを感じるのも彼らの特徴のように思います。

大人との関係がなかなか形成されにくい

これは当然のことですが、愛着とは関係性の問題のため、長期的に関わっていてもどこか心の底で繋がっている感覚が弱いと感じます。こうした実感が得にくいのが特徴としてあると思います。

これは大人だけではなく、当然、子どもも同じように感じています。だからこそ、上記のような行動を示すのだと思います。

 

 

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以上が、愛着障害の子どもの行動特徴について私が現場から感じる内容になります。

療育現場では、愛着に問題のあるというワードはよく聞きますが、実際にその内容を深堀りする作業になると難易度が上がると思います。

大切なのは、愛着に問題のある行動特徴を他の職員たちと共有することだと思います。そして、長期的な視野での理解と支援が重要だと感じます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、日々少しずつ人の発達を理解する力を高めていけるように学んでいきたいと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

関連記事:「愛着障害への支援:「愛情の器」モデルを例に

 

 


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