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象徴機能

【象徴機能の発達について】象徴遊びを捉える3つの視点を通して考える

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象徴機能″とは、〝あるものを別のものに置き換える機能″のことを指します。

子どもは、からだで学ぶ時期(感覚運動期)を通して、徐々に〝いま、ここ″の世界を離れて、物事を考えることができるようになります。

つまり、〝表象(イメージ)″の育ちの現れです。

表象(イメージ)″の育ちは、言葉の育ちなど〝象徴機能″の発達と大きく関連づいています。

そして、〝表象(イメージ)″が育つと同時に、子どもには、様々な〝象徴遊び″が見られるようになります。

例えば、積み木を車に見立てて走らせる遊びができるのも〝象徴遊び″が可能になった一つの指標だと言えます。

 

それでは、象徴遊びには、どのような特徴があると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、象徴機能の発達について、象徴遊びを捉える3つの視点から理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「藤野博(編)(2008)障がいのある子との遊びサポートブック 達人の技から学ぶ楽しいコミュニケーション.学苑社.」です。

 

 

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象徴遊びについて

象徴遊び″には、〝表象(イメージ)″の芽生えが必要ですが、これは1歳頃から2歳頃までに顕著に見られるようになります。

〝象徴遊び″と言えば、例えば、〝見立て遊び″〝ふり遊び″などとも言われています。

象徴遊び″とは、〝あるものを別のものに置き換える機能″のことを指します。

例えば、子どもが積み木を車に見立てる遊びをした際に、積み木→意味するもの、実際の車→意味されるもの、といった関係が成立しています。

また、言葉の機能が発達することで、子どもは、くるまという言葉→意味するもの、実際の車→意味されるもの、といった言葉によって様々な対象を置きかえることが可能になっていきます。

 

 

象徴遊びを捉える3つの視点について

著書では、〝象徴遊び(ふり遊び)″を3つの視点から、その発達の過程を説明しています。

以下、3つの視点について著書を引用します。

・脱中心化:自分中心の遊びから相手に向けられた遊びへ

 

・脱文脈化:物に頼った遊びからイメージによる遊びへ

 

・統合化:単純でワンパターンな遊びから複雑でプランのある遊びへ

 

 


それでは、次に、以上の3つの視点について具体的に見ていきます。

 

・脱中心化:自分中心の遊びから相手に向けられた遊びへ

著書には、子どもがコップで飲み物を飲む(実際にはからのもの)といった〝ふり遊び″の例が記載されています。

そして、〝ふり遊び″にも次の発達の過程があるとしています(以下、著書引用)。

自分に向けられた遊び(食べるふりをする):自己対象

 

人形を相手にした遊び(人形に食べさせるふりをする):受動的他者

 

人形を主体にした遊び(人形が食べるふりをする):能動的他者

 

先に見た、子どもがコップで飲み物を飲むふりをするのは最初のステージ、つまり、〝自己対象″に相当します。

そして、次に、人形に飲み物を飲ませようとするふりをするのが〝受動的他者″、そして、最後に、人形が主体となって食べるふりをするのが〝能動的他者″といった発達過程があるとしています。

子どもたちに見られる人形遊びなど、人形を行為の主体として操作できるようになるのも〝脱中心化″の育ちだと言えます。

 

 

・脱文脈化:物に頼った遊びからイメージによる遊びへ

著書には、子どもが積み木を車に見立てて遊ぶ例が記載されています。

そして、このような〝見立て遊び″においても、次の発達の過程があるとしています(以下、著書引用)。

実物によく似た模型を使ったふり遊び

 

実物に似たところのない積み木などを使った見立て遊び

 

物を使わないごっこ遊び

 

著書の内容から、〝見立て遊び″の発達過程において、例えば、実物に近いミニカーを走らせて遊ぶ段階、次に、ミニカーを積み木などに置き換えて(実物と似ていないもの)遊ぶ段階、最後に、物を使わないごっこ遊びへと変化していくと記載されています。

子どもたちが、様々なヒーローごっこなどの遊びにおいて、人形を使わずに、自分の体を使って表現できるようになるのも〝脱中心化″の育ちだと言えます。

 

 

・統合化:単純でワンパターンな遊びから複雑でプランのある遊びへ

以下、著書を引用しながら〝統合化″の発達の過程について見ていきます。

一つの動作を繰り返す遊び(飲むふりをする)

 

動作を組み合わせた遊び(コップに注いでから飲むふりをする)

 

計画性のあるふり遊び(「ジュース」などとこれからすることを言ってから、コップで飲むふりをする)

 

 著書には、ジュースを飲むふりをする段階(一つの動作)から、コップに注いでから飲むふりをする段階(動作を複数組み合わせる)、言葉で「ジュース」と言ってからコップにジュースを注ぎ飲むふりをする段階(計画性がある)といった発達過程が記載されています。

子どもは、一つの動作を真似ることを繰り返していきながら、徐々に様々な動作を組み合わせいき、最終的には、複雑かつプランのある遊びへと〝統合化″の育ちを見せていくと言えます。

 

 


以上、【象徴機能の発達について】象徴遊びを捉える3つの視点を通して考えるについて見てきました。

これまで見てきたように、〝象徴遊び″には、〝象徴機能″の発達によって遊びの内容に変化が見られていく(脱中心化、脱文脈化、統合化)といった特徴があります。

そして、象徴遊び″は、実体験したことを再度表現することからも、言葉の発達の基盤を作る上でとても大切だと考えられています。

それは、〝表象(イメージ)″しているものを、様々な対象に置き換えて遊ぶことで、〝象徴機能″の発達、つまり、言葉の発達に大きく影響していくからです。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も、療育現場において、子どもとの象徴遊びを大切にしていきながら、子どもたちの言葉の発達に少しでも貢献していけるように、楽しい遊びを子どもたちと共有していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【言葉の発達で大切な〝象徴機能″を育てるために必要なこと】療育経験を通して考える

関連記事:「【療育(発達支援)で大切なこと】〝イメージする力″を育てることの重要性

 

 

藤野博(編)(2008)障がいのある子との遊びサポートブック 達人の技から学ぶ楽しいコミュニケーション.学苑社.

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