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発達支援(回想編):療育施設での二年を振り返る

投稿日:2020年7月24日 更新日:

前回の記事では療育施設での一年間の体験から学んだことや課題などについてお伝えしました。

そこで、今回は前回の記事に引き続き、その後の一年をプラスした療育施設での二年を振り返りながら、その中での学びや課題などについてお伝えしていこうと思います。主に二年目が中心のテーマになります。

療育施設での激動の一年目を過ごしたわけですが、その中に多くの学びと課題がありました。私が担当していた子どもたちの多くは卒園し、二年目にはクラスの子どもたちや大人の体制などもたいぶ変更になりました。

私は昨年とは違い年中児の多いクラスの担任になりました。子どもたちも活発に動くのが好きな子もいればおとなしい子もいるなど様々でした。

私は昨年度の課題として挙げた子どもたちが楽しめる遊びを自ら発案したい、実行したいという思いが強くなっていました。

一年目の経験があるため一年間の活動の流れや、どのような遊びがあるのかなど基本的な点は体で理解できている部分が増えていました。そのため少し先を見て計画を立てて動ける点が増えていました。

しかし、クラスが変わるとそう簡単にはいきません。子どもたち一人ひとりの特徴や性格など新たに知っていくべき事項もでてくるため、その情報を踏まえて活動を考えていく必要があります。

私はまず昨年度自分が取り組んでみて“これならいける”という遊びから子どもたちを誘いました。というのも先輩保育士の方からの助言で、「これなら自信をもってできる遊びがいくつかあると良い」ということを聞いていたため、私は自分が好きな体を使った遊びを中心に療育を行いました。

これが思いのほか子どもたちにはまり、男子を中心に私が体を使った遊びをやるということが日課となりました。子どもたちも“遊ぼう!遊ぼう!”と私を誘うことが増え、以前よりも関係性の構築の面や、子どもたちの意図の汲み取りがスムーズに進んだかに思えました。

保護者からも「興味の幅が広がった」、「男子らしい遊びを初めてするようになった」など、ご家庭での変化を嬉しそうにお話してくれる方もおり、私は自分が子どもたちに良い影響を与えることができるということを実感し始めていました。

ですが、私が受け持った子どもたちは非常に関係性を築くことが難しい子や、感覚過敏の強い子など課題も多く、簡単に前進というわけにはいきませんでした。

ここで私は昨年度の課題として挙げた専門性を高める努力を開始しました。

とにかく現場の疑問点などを挙げ、前例などがないかなど休日と仕事後の時間を利用して調べまくりました。一応、大学で心理学や独学で発達障害関連の勉強はしていましたが、現場はテキストを読めば解決できるようなものではなく、自分で考える作業が非常に重要です。

そうして調べていくうちに私が納得のいく考えや、これは試してみたという考えなどが少しずつ見つかってきました。この過程にもだいぶ時間がかかりました。

私は、そもそも関係を築くとはどういうことか?感覚過敏はどういったプロセスで生じるのか?など問いを明確にすることが試行錯誤を重ねていくことで明確になっていきました。問いが明確化すると、それに対する答えも必然的に導きやすくなります。こうしたことを繰り返すことに手を抜かないということが大切なのだと思います。

私は独学での学びと現場での経験を重ねながら、少しずつ子どもたちのことが理解できる部分が増えてきました。理解の要素が増えると新たな疑問が生じ、また、子どもたちも成長と共に新しい行動や変化がでてくるので、常に子どもたちを理解しようとする姿勢や学び続ける行動が大切なのだと思います。

こうして学んだことや気づきを他の職員に少しずつ発信もしました(非常に微力ではありましたが)。

共感を持ってもらえたこともあれば、批判的に見られたこともあるなど、反応は様々でしたが、他者と考えや情報を共有していくことはとても大切なのだと感じました。

こうした日々の現場の実践と独学による学びを継続した二年目になりましたが、子どもたちの行動や成長は予測ができない面が多くあると感じました。その中で、様々な見方(理論や知識などを活用して)ができることはとても大切なことなのだと思いました。多くの見方ができると、問題の解決方法や理解の幅も増えます。気持ち的にも楽になります。

私はその後も継続した現場での実践とその中での学びを続けていこうと強く思うようになりました。

理論や知識から学んだ内容に関しては別の記事に載せてます。また、今後もさらに新しいものを載せていこうと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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