私がいた療育施設では、様々な遊びを考え実践してきました。その中で、子どもたちが興味関心を示す遊びを構想することは思いのほか難しいです。
せっかく考えた遊びも直ぐに興味をなくしてしまうなど、新しい遊びを考えること、そして、一つの遊びを次々と展開することはある程度の継続や挑戦の数に比例するかと思います。
そうした中で、ヒットする遊びが見つかると子どもたちはのめり込んで取り組みます。こうした遊びは、しばらく時期をおいて再度やっても“待ってました!”と食いつく子も多くいるため、私の中ではヒット作となっています!
そこで、今回は私が担任したクラスの中でヒット作となった「トイレットペーパー遊び」について、具体的な遊びの内容と子どもたちの様子をお伝えしていこうと思います。
「トイレットペーパー遊び」は、準備物も少なくそのものの素材を楽しめるものでもあるため、多くの子どもたちから人気がありました。
定番の遊びとして、トイレットペーパーを引っ張る遊びがあります。
これは、シンプルに床に置いたトイレットペーパーの端を持ち、走ることでどんどん長くなくなる遊びで、子どもたちは夢中でトイレットペーパーの端を持ってトイレットペーパーを引っ張り伸ばしていきます。トイレットペーパーが動きますので、大人が持っていると容易に引くことができ、少しの力で伸ばすことができます。
引っ張り遊びでよくやったのが、子どもたちの手が届く位の高さに、細長い棒を固定します。固定の仕方は工夫次第かと思いますが、私がいた療育施設には、天井にロープを引っかけられる箇所が数か所あったので、そのロープに棒を引っかけました。その時に、事前に棒にいくつかトイレットペーパーを差し込んでおきます。後は引っ張るだけです。
初めに大人が、両手でトイレットペーパーを巻くように引いていきます。するとどんどんトイレットペーパーが引っ張られていきます。
子どもたちの様子も多様で、大人の真似をしてその場でクルクルとトイレットペーパーを両手で巻くように引っ張る子もいれば、片手でトイレットペーパーの端を握り部屋の隅まで引っ張る子もいます。また、立って引っ張ることが難しい子は、椅子を用意し手の動作に集中できる環境を整えました。そうしたことで、上手に引っ張ることができた子もいます。
また、トイレットペーパーを制限時間内にどのくらい引っ張ることができたかを競争するゲームも行い、大人も必死になって取り組めるもので、クラス全体で盛り上がる遊びでした。
次に、引っ張ったトイレットペーパーをミイラのように体にグルグル巻いていく遊びもよく行いました。
大人が子どもたちにグルグル巻くと、子どもたちの中には喜ぶ子もたくさんいました。中には、ミイラのように変装したことを楽しむ子もいました。また、大人がミイラになることで、子どもたちが逃げるなど追いかけっこにも発展しました。
注意が必要なのは、きつく巻いてしまうと、意外とほどくのが大変になります。ですので、軽めに巻いたほうがいいかと思います。
次にこれも定番ですが、トイレットペーパーのお風呂ごっこがあります。
ビニールプールを用意して、その中に、引っ張り終えたトイレットペーパーを大量に入れます。あとは、子どもたちと一緒にその中に入りちぎって遊んだりします。たくさんのトイレットペーパーを両手にもって子どもたちの頭にかけると喜ぶ子どももたくさんいました。
また、感触遊びとしてもトイレットペーパーは活躍します。トイレットペーパーを大きめの容器に入れてその中に水を入れると、徐々に固まりだし独特な感触が楽しめます。子どもたちの中には職人のようにこね続ける子もいました。
以上、簡単にですが「トイレットペーパー遊び」の説明と子どもたち様子になります。
「トイレットペーパー遊び」は、準備の時間もほとんど必要なく、すぐにでき、多くの子が楽しめる遊びだったと思います。
ただ、資源の無駄遣いになりますので、できるだけ時々の実施を心掛けていました。また、装飾など、他に使える用途も同時に考えるなど、すぐ捨てずに再利用しました。
このように身近なものを使うこと、そして、その中で遊びを発展させるためには、職員同士でアイディアを出し合うことや実際に試してやってみることが大切かと思います。こうしたことを繰り返すことで、見えてくることや子どもたちの成長を感じる場面に出会うこともあります。
今後もこの素材は何に使えるのかという発想を膨らませる練習もしていきながら、子どもたちのより良い発達支援に貢献していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。