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【発達障害児に見られる暴言・暴力への対応】SST・ペアトレ・感覚統合からのアプローチ

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発達障害児は、発達特性などが影響して、生活の様々な所で困り感が生じる場合があります。

著者は長年、療育現場で発達障害児支援を行っていますが、個々の発達特性や発達段階等を踏まえたオーダーメイドな支援はとても大切だと感じています。

 

それでは、発達障害児に見られる暴言・暴力に対して、どのような対応方法が有効だと考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害児に見られる暴言・暴力への対応について、SST・ペアトレ・感覚統合からのアプローチを通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「岩坂英巳・宮崎義博(2021)「うまくいかない」ことが「うまくいく」に変わる!発達障害のある子どもがいきいきと輝く「かかわり方」と「工夫」.幻冬舎.」です。

 

 

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暴言・暴力はなぜ生じるのか?

著書には、〝暴言・暴力″が生じる背景として、複数の要因を取り上げています。

1つ目として、〝言葉にする力の弱さ″です。

人は自分にとって嫌なことがあると、言葉で「やめて!」などと伝えることができます。

しかし、言葉の力が未発達だと、「やめて!」と言えず、手が出たり暴言を吐くことなどの様子が見られる場合もあります。

2つ目として、〝こだわりの強さ″です。

こだわりが強いと、自分の思い通りに事が運ばないと、イライラした気持ちが高まり、怒りのコントロールの制御が難しくなる場合があります。

3つ目として、〝衝動性の強さ″です。

衝動性が強いと、考える前に思ったことを口にしてしまう(暴言を吐いてしまう)、言葉にする前に手が出てしまう(暴力行為)などに繋がることがあります。

4つ目として、〝場面・状況を読む力の弱さ″です。

例えば、相手の意図や気持ちがうまく読み取れないことが影響して、誤った解釈をしてしまうことで、被害的な受け止め方をしてしまうことがあります。

そのため、その結果として、暴言・暴力行為に繋がることもあります。

5つ目として、〝力加減の苦手さ″です。

力加減がうまくコントロールできない子どもの場合、例えば、悪気はなく優しく触ったつもりでも、相手が強く押されたと勘違いしてしまうことがあります。

このように、〝暴言・暴力″行為の背景には、様々な要因があると考えられています。

 

 

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暴言・暴力への対応について

著書には、暴言・暴力への対応として、〝①SST(ソーシャルスキルトレーニング)″〝②ペアレントトレーニング″〝③感覚統合療法″の3つからのアプローチ方法が記載されています。

 

 


それでは、次に、①②③のそれぞれのアプローチ方法について具体的に見ていきます。

 

① SST(ソーシャルスキルトレーニング)

以下、著書を引用しながら、SSTからのアプローチを見ていきます。

・暴力にはきっぱり対処する。そのきっかけには共感し、一緒に振り返る

 

・「怒りのコントロール」を練習する

 

・ちくちく言葉とあったか言葉

 

まずは、〝暴力はダメだというルールを徹底する″ことです。

もちろん、暴力に至る経緯には、様々な理由があるかと思います。

その理由に対して、しっかりと共感していきながら、今後どのような行動を取る必要があるのかを一緒に振り返る(解決方法を考える)ことが大切です。

 

次に、〝怒りの感情をコントロールする練習をする″ことです。

その際に、怒りの感情の程度(強度)を自己認知すること(視覚的に怒り感情を評価する方法も有効)、実際に怒りの感情をコントロールする方法を練習すること、さらには、相手の気持ちを想像する力を身に付けていくことが大切だと、著書には記載されています。

 

次に、〝ちくちく言葉・あったか言葉を教える″ことです。

暴言の背景には、〝バカ!″〝だまれ!″など、〝ちくちく言葉″の方を多く知っていたり使用している場合があります。

そのため、〝ありがとう!″〝頑張って!″など、〝あったか言葉″についても理解を促していくことが必要です。

 

 

② ペアレントトレーニング

以下、著書を引用しながら、ペアレントトレーニングからのアプローチを見ていきます。

・「暴力・暴言は絶対ダメ」をルールとする

 

・怒りをコントロールできたら褒める

 

まずは、〝家庭においても暴力・暴言の禁止をルール化する″ことです。

特に、〝暴力″はどんな理由があろうと絶対にいけないこと、〝暴言″に対しても、使用しないように継続した注意が必要です。

こうした対応の前提として、子どもの事が本当に好きだ・大切に思っているという気持ちがベースにあることがとても大切です。

 

次に、〝怒りをコントロールできたら褒める″ことです。

例えば、イライラした感情を我慢することができた、優しい言葉で相手に接することができた場合など、褒める絶好のチャンスだと言えます。

 

 

③ 感覚統合療法

以下、著書を引用しながら、感覚統合療法からのアプローチを見ていきます。

・身体への刺激を増やす

 

・呼吸を整える

 

・いったん立ち止まったり、ゆっくりと行動したりする遊びを行う

 

まずは、〝感覚への刺激を与え感覚欲求を満たす″ことです。

暴力の背景には、感覚欲求が満たされていないことで、イライラしやすくなり、それが暴力に繋がることがあります。

そのため、例えば、腕相撲、チューブを引っ張る、全力で走る、なども効果的だと言えます。

 

次に、〝呼吸を整える″ことです。

私たちは、イライラした際に深呼吸をすることで、気持ちが落ち着く場合が多くあります。

そのため、普段から深呼吸など呼吸を整えることを練習して習慣化しておくこともまた大切だと言えます。

 

次に、〝力加減を練習する″ことです。

暴力の背景として、自分の力をうまくコントロールできないことも一つの要因でした。

そのため、力をコントロールする活動を取り入れていくことが大切です。

例えば、音が鳴ったら走る・音が止まったら動きを止める、という遊びも有効だと言えます。

 

 


以上、【発達障害児に見られる暴言・暴力への対応】SST・ペアトレ・感覚統合からのアプローチについて見てきました。

暴言・暴力に至る経緯は子どもによって異なります。

愛着障害や行動障害などで暴言・暴力などが酷いケースであれば、状態像に応じた深い理解と介入の仕方を学ぶ必要があると感じています。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で子どもたちが見せる様々な困り感についての理解と対応方法について、学びを深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【発達障害児に見られる他害への対応】7つのポイントを通して考える

 

 

岩坂英巳・宮崎義博(2021)「うまくいかない」ことが「うまくいく」に変わる!発達障害のある子どもがいきいきと輝く「かかわり方」と「工夫」.幻冬舎.

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