私たちが自分の能力や個性などを知る手掛かりとして〝心理検査″があります。
一方で、心理検査といっても検索すると膨大な情報が出てきます。
また、心理検査で測ることができるものは、検査内容によっても大きく異なります。
それでは、心理検査はどのような種類に大きく分けることができるのでしょうか?
そこで、今回は、心理検査にはどのようなものがあるのかについて、3つの心理検査の種類を通して整理して見ていきたいと思います。
今回参照する資料は「熊上崇・星井純子・熊上藤子(2024)WISC-V・KABC-Ⅱ対応版 子どもの心理検査・知能検査 保護者と先生のための100%活用ブック.合同出版.」です。
心理検査の3つの種類とは何か?
著書には心理検査の種類として、以下の3つの種類が記載されています(以下、著書引用)。
①「発達・知能を測る検査(発達・知能検査)」
②「脳の機能を測る検査(神経心理学的検査)」
③「心の状態を測る検査(狭い意味での心理検査)」
それでは、次に、以上の3つについて具体的に見ていきます。
①「発達・知能を測る検査(発達・知能検査)」
〝発達・知能検査″の代表的なものとして、ウェクスラー式知能検査(WISC-Ⅴなど)、K-ABC-Ⅱ、田中ビネー知能検査Ⅴ、新版K式発達検査、遠城寺式乳幼児発達検査、グッドイナフ人物画知能検査などがあります。
これらの検査は、IQ(知能指数)や群指数、発達指数などを算出することができます。
例えば、同年代集団における知能指数の値、個人内差(能力のバランス、偏りなど)、実年齢と比べてどの程度の発達年齢なのか、運動・認知、社会性、情動などの様々な能力の発達段階、描画を通して知能の発達段階を分析する、など様々な検査内容があります。
大切な視点は、発達・知能検査を通して、子どもの状態像の理解の手がかりに繋げていきながら、より良い支援を方向付けることにあります。
また、こられの検査は、子どものコンディションによっても変動する可能性があると考えられています。
関連記事:「【IQ(知能指数)の数値は変わるのか?】発達障害児支援の経験を通して考える」
関連記事:「発達障害への包括的アセスメントについて」
②「脳の機能を測る検査(神経心理学的検査)」
以下、著書を引用しながら見ていきます。
脳の機能を測るには、画像で診る方法と神経心理学検査という方法の2つがあります。画像で診る方法は、医療機関で脳波を測ったり、脳の画像を撮影したりします。
画像診断とは、主にCTスキャンやMRIなどによって脳の状態を測る方法があります。
著書にもありますが、脳画像を見ても、ASDやADHDなどの発達障害が分かるわけではありません。
診断の際には、生育歴や発達・知能検査、行動観察など様々な情報を踏まえての医師の診断が必要不可欠になります。
神経心理学的検査とは、検査をする中で、その人の脳の機能の特徴を分析していく方法です。
例えば、ウェクスラー式知能検査やウェクスラー式記憶検査、レイの複雑図形など、その他多くの検査があります。
関連記事:「【発達障害の診断は100%正確なのか?】診断をする際の〝主観性″〝流動性″を通して考える」
③「心の状態を測る検査(狭い意味での心理検査)」
例えば、バウムテストといって、心に思い描いた木を一本紙に描いてもらう検査があります。
その木を見て、検査者の心理状態を分析する方法もまた〝心の状態を測る検査″になります。
その他、質問紙法や投影法などもあります。
質問紙法とは、様々な質問に対して、非常に当てはまる~全く当てはまらないまで、
数値にチェックを入れていくことで、現在の心の状態を点数化する方法です。
投影法とは、先に見たバウムテストや文章完成法(SCT)、ロールシャッハテストなど、心に思い浮かんだことを、文字や絵、イメージを活用することで、心の状態を分析していく方法になります。
以上、【心理検査にはどのようなものがあるのか?】3つの種類を通して考えるについて見てきました。
心理検査には、様々なものがあります。
心理検査を実施するにあたり大切なことは、検査を受ける人の理解を深めていくこと、そして、困り感を解消する手立てなどに役立てていくことにあります。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も様々な心理検査について学びを深めていきながら、自分が今いる発達支援の領域に役立てられる目を養っていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
熊上崇・星井純子・熊上藤子(2024)WISC-V・KABC-Ⅱ対応版 子どもの心理検査・知能検査 保護者と先生のための100%活用ブック.合同出版.