〝不適応行動″とは、例えば、他害、暴言、かんしゃく、パニック、逃避行動など望ましくない行動を指します。
〝問題行動″とも言われる〝不適応行動″は、長期化すると〝二次障害″に繋がる可能性もあり(すでに二次障害が見られるケースもあります)、早期の理解と対応が必要です。
著者は療育現場(発達支援の現場)で、発達障害など発達に躓きのある子どもたちを長年見てきていますが、その中には、少なからず〝不適応行動″を見せている子どもたちもいます。
〝不適応行動″に対して、行動の機能を分析して対応することが大切だと考えられています。
関連記事:「【不適応行動の原因について】4つの機能を通して考える」
〝不適応行動″が子どもに見られた場合、大人との信頼関係が大切ですが、そもそも関係性が崩れている場合もあります。
それでは、信頼関係が崩れている場合において、どのような関わり方があるのでしょうか?
そこで、今回は、関係が崩れている子どもへの対応について、不適応行動の改善で必要な関わり方について理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「渡辺道治(2024)特別支援教育に学ぶ 発達が気になる子の教え方 The BEST.東洋館出版社.」です。
関係が崩れている子どもへの対応
著書には、関係が崩れている子どもへの対応として、3つのお勧めのポイントが記載されています(以下、著書引用)。
工夫して褒める
知的で楽しい授業をする
その子が大切にしているものを見つける
それでは、以上の3つのポイントについて具体的に見ていきます。
1.工夫して褒める
著書には、関係が崩れている子どもの場合には、ただ褒めるだけだと、逆効果となる場合もあるなど、褒めるにおいて工夫が必要だとしています。
そして、〝工夫して褒める″方法として以下の例があります(以下、著書引用)。
間接的に褒める
薄めて褒める
文字で褒める
〝間接的に褒める″とは、文字通り、他者を介して褒めていることを伝達する方法です。
例えば、「○○先生が○○さんの○○の所を褒めていたよ!」といった感じです。
〝薄めて褒める″とは、班やグループなど、その子どもが属しているグループを褒める方法です。
例えば、「○○のグループ(褒めたい子どもが属してる班)は掃除をとても頑張っていましたね!」といった感じです。
〝文字で褒める″とは、手紙など口頭ではない方法で伝えることです。
著書には、音声以上の効果として、文字といった視覚的な情報は、何度も見返すことができるといった利点があると記載されています。
2.知的で楽しい授業をする
著書は学校といった教育現場での実践を対象として書かれたものです。
そのため、学校のメインの一つである授業を楽しくすることで、先生への尊敬や憧れ、魅力を高めることが、関係性を改善させる方法の一つでもあるとしています。
そして、著書には、生徒から見て、ためになった、面白かったなど、知的好奇心が満たされる授業を工夫するために、〝優れた先行実践を同じようにやってみる″ことが良いとの記載があります。
子どもから見て、授業が面白い、知的に満足できる、といったコンテンツを届けていくことが大切だと言えます。
3.その子が大切にしているものを見つける
子どもの興味関心を探し共感することは、教育以外の様々な場面で子どもとの信頼関係を作る・改善する上でとても大切です。
例えば、好きなスポーツ、好きな勉強、趣味、など興味関心には幅広い領域がありますが、その子どもが大切にしているものに関心を寄せることは、関係性を作る・改善する入り口でもあるため、どんな些細な事でも共感し、話を深めていくことが重要だと言えます。
以上、【関係が崩れている子どもへの対応】不適応行動の改善で必要な関わり方について見てきました。
著者は以前、子どもとの関係性が悪くなり、どう改善しようか試行錯誤した経験があります。
解決の糸口となったものは、子どもの興味関心を見つけ、少しずつその内容を共有・共感していくことにありました。
ここから学んだことは、一度、関係が崩れると修復には時間がかかりますが、仮に関係性が改善した場合には、そこからの学びはたくさんあるのだと実感しています。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も不適応行動を見せる子どもへの対応として、関係性の視点についても学びを深めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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渡辺道治(2024)特別支援教育に学ぶ 発達が気になる子の教え方 The BEST.東洋館出版社.