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【不適応行動への対応で必要な叱り方のポイント】信頼される叱り方を通して考える

投稿日:2024年10月21日 更新日:

不適応行動″とは、例えば、他害、暴言、かんしゃく、パニック、逃避行動など望ましくない行動を指します。

問題行動″とも言われる〝不適応行動は、長期化すると〝二次障害″に繋がる可能性もあり(すでに二次障害が見られるケースもあります)、早期の理解と対応が必要です。

著者は療育現場(発達支援の現場)で、発達障害など発達に躓きのある子どもたちを長年見てきていますが、その中には、少なからず〝不適応行動″を見せている子どもたちもいます。

 

〝不適応行動″に対して、行動の機能を分析して対応することが大切だと考えられています。

 

関連記事:「【不適応行動の原因について】4つの機能を通して考える

 

〝不適応行動″が子どもに見られた場合、叱るといった対応も必要になってきます。

 

それでは、子どもに不適応行動が見られた場合に、どのような叱り方が必要となるのでしょうか?

 

そこで、今回は、不適応行動への対応で必要な叱り方のポイントについて、信頼される叱り方を通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「渡辺道治(2024)特別支援教育に学ぶ 発達が気になる子の教え方 The BEST.東洋館出版社.」です。

 

 

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不適応行動への対応:叱り方のポイント

子どもに不適応行動が見られた場合には、叱るといった関わりも必要となる場合があります。

子どもの行動を叱ることで、行動の変化が期待できる前提として、子どもとの信頼関係が大切になります。

 

関連記事:「【不適応行動への対応で必要な認めるという関わり方】叱る以上に大切なこと

 

子どもとの信頼関係がある上で、叱り方のポイントで以下の点が大切だと考えられています(以下、著書引用)。

「信頼される叱り方」を考えていくならば、叱られた後にその子が「やっぱりよくなかったな」「よし、次は頑張ろう」と思えるようなポジティブな感情の発露が見られるかどうかです。ここがポイントになります。

 

著書の内容を踏まえると、不適応行動への叱り方のポイントとして、叱られた後に、子ども自身がその行動を見直して、変えていこうといった動機が働くかどうかが大切だと言えます。

自らの行動を変えることに対して、ポジティブな感情が生じることが必要です。

これが著書でいう〝信頼される叱り方″だと言えます。

 

逆に〝信頼されない叱り方″には、人格の否定(部分的にもその要素のあるもの)があります。

これは当然と言えば当然ですが、ある不適応行動を起こした場合に、その行動のみにフォーカスして叱ることを徹底すればよかったものの、ある行為から人格否定へと話を広げて叱ってしまうことで、自らの行動を変えようといった気持ちは全く湧かなくなってしまいます。

一般的に、私たちは、他者から叱責を受けることで、防衛反応が高まります。

防衛反応が高まった状態では、行動の改善は期待できません。

一方で、行動を改善したいといった動機が働く〝信頼される叱り方″によって対応された場合には、行動の変化が期待できます。

 

そして、〝信頼される叱り方″をするためには、子どもとの信頼関係の構築はもちろんのこと、日頃から子どもの様子をよく観察しておくことが必要です。

子どものことをよく見ておくことで、子どもにかける声掛けにも不適応行動を自身の力で治したくなるような言葉がけの内容が思い浮かぶことがあります。

結局のところ、この人は自分のことをよくわかってくれている″、〝大切に思ってくれている″、といった気持ちを子ども側が持てているかが大切だと言えます。

 

関連記事:「【叱ることには効果があるのか?】発達障害児支援の現場を通して考える

関連記事:「【叱ることの効果について】発達障害児支援の現場を通して考える

 

 


最後に、自閉症児等、社会のルールを伝えることの方が、叱るよりも理解しやすいケースもあるため、この点について著書を引用しながら見ていきます。

発達の凸凹の大きいお子さんにとってみれば、感情的な指導を受けるよりも「ルールである」と学んだ方がしっくり心に収まるケースも少なくありません。

 

自閉症児など発達の凸凹のある子どもの中には、他者の心情の理解が難しい場合があります。

そのため、相手の心情を感じ取って、自身の行動を変えようとする〝信頼される叱り方″以上に、〝社会のルール″としてよくないことだと伝える方が効果的な場合もあります。

感情的な理解よりも、認知的な理解を促すアプローチだと言えます。

 

 


以上、【不適応行動への対応で必要な叱り方のポイント】信頼される叱り方を通して考えるについて見てきました。

叱り方に関する書籍は多く出版されています。

書籍から叱り方に関する様々なノウハウを学ぶことも大切ではありますが、それ以上に、自ら子どもの行動の意味を理解し、試行錯誤しながら日々接していくことで一人ひとりに響く言葉が見えてくることもあると思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も現場での経験を基盤としながらも、現場に必要な知識についてもどん欲に吸収する姿勢を忘れずに、より良い発達理解・発達支援を目指していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

渡辺道治(2024)特別支援教育に学ぶ 発達が気になる子の教え方 The BEST.東洋館出版社.

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