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【不適応行動の改善で最も重要な先生(療育者)の5つの特徴】発達障害児支援を例に

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不適応行動″とは、例えば、他害、暴言、かんしゃく、パニック、逃避行動など望ましくない行動を指します。

問題行動″とも言われる〝不適応行動は、長期化すると〝二次障害″に繋がる可能性もあり(すでに二次障害が見られるケースもあります)、早期の理解と対応が必要です。

著者は療育現場(発達支援の現場)で、発達障害など発達に躓きのある子どもたちを長年見てきていますが、その中には、少なからず〝不適応行動″を見せている子どもたちもいます。

 

〝不適応行動″に対して、行動の機能を分析して対応することが大切だと考えられています。

 

関連記事:「【不適応行動の原因について】4つの機能を通して考える

 

一方で、対応するにあたり子どもとの信頼関係が前提として大切になってきます。

 

それでは、子どもとの間で信頼や尊敬を得るためには、どのような特徴が必要だと考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、不適応行動の改善で最も重要な先生(養育者)の5つの特徴について、臨床発達心理士である著者の発達障害児支援の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「渡辺道治(2024)特別支援教育に学ぶ 発達が気になる子の教え方 The BEST.東洋館出版社.」です。

 

 

信頼される先生(療育者)の5つの特徴について

著書には、信頼や尊敬を得ることができる先生の特徴として以下の5つを取り上げています(以下、著書引用)。

なお、次の5つは療育現場で関わるスタッフにとっても、とても大切だと著者は感じています。

褒め上手

 

話が短い

 

叱るときに叱ってくれる人

 

言葉のキャッチボールをよくしている

 

明るい

 

 


それでは次に、以上の5つについて、著者の経験も併せて見ていきます。

 

1.褒め上手

褒め上手″とは、子どもたちが取り組んでいる活動の過程やその成果に対して、当然といった見方(できて当たり前)をするのではなく、驚きや喜びを持って褒めることです。

著者は療育現場で子どもたちを少しオーバー気味に褒めることが多々あります。

すると、子どもたちは、俄然やる気になって物事に取り組む様子が増えていきます。

また、〝褒める″がしっかりと子どもたちに伝わるためにも、子どもたちの日々の行動や気持ちをよく観察していること、そして、様々な活動を一緒に取り組むといった姿勢が大切だと感じています。

 

 

2.話が短い

話が短い″とは、伝えたい内容・伝えるべき事を、相手にわかりやすく要点を圧縮して伝えることです。

関わる大人によっては、間違った行動に対して、長々と説教をすることがあります。

また、話す内容を一度に多くの情報量を持って伝えることもあります。

私たちから見ても、こうした大人を好む子どもは少ないことに加えて、発達障害の子どもたちはワーキングメモリが少ないため、そもそも記憶できる情報量に非常に制限があります(もちろん、個人差はあります)。

著者も療育現場での経験を通して、ワーキングメモリが少ない点を考慮して、話を短く、かつ、要点を1~3程度に絞って子どもたちに伝えることが効果的だと感じています。

 

 

3.叱るときにってくれる人

叱るときにってくれる人″とは、言うべきことをはっきりと伝えることができる人のことです。

もちろん、叱るとは怒鳴ったり、過度な注意や叱責をするということではなく、正しい行動を教えてくれること、間違った行動点を伝えてくれることでもあります。

著者は長年療育現場に携わっていますが、〝叱る″ことはとても難しいことだと感じています。

〝る″上で大切にしている事は、子どもとの信頼関係です。

信頼関係が子どもとできていることで〝叱る″がより効果的になると実感する場面がこれまで多くあったからです。

 

 

4.言葉のキャッチボールをよくしている

言葉のキャッチボールをよくしている″とは、日頃から子どもとの間に豊富な言葉のやり取りがあるということです。

私たちは、子どもが何かができたときや間違った行動をした時など、目立った行動が出た時に過剰に関わる傾向があります。

一方で、大切なことは、目立った行動がなくても、日々、子どもとの間で言葉のキャッチボールをよくしているかどうかです。

著者も療育現場において、子どもたちと日々、言葉のキャッチボールを大切にしています。

言葉のキャッチボールが日頃からあることで、子どもたちは自分にしっかりと目が向けられているといった安心感を強く抱くことができるのだと実感しています。

 

 

5.明るい

明るい″とは、子どもとの関わりを心底楽しんだり、明るく励ましたりすることです。

シンプルなことのようでとても大切です。

著者は長年療育現場に勤めていますが、子どもたちが好む大人にはどこか明るさが強い傾向があると感じています。

そして、著者も明るく子どもたちと関わっている時の方が、子どもたちからの安心や信頼をより多く獲得していたといった実感があります。

 

 


以上、【不適応行動の改善で最も重要な先生(療育者)の5つの特徴】発達障害児支援を例について見てきました。

不適応行動の改善には、行動の分析を踏まえた対応も必要ですが、それ以上に、関わり手との関係性もまた大切だと言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も不適応行動への対応に対して、関係性の視点も併せて大切にしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【不適応行動の対応で大切な子どもとの信頼関係】発達障害支援の経験を通して考える

 

 

渡辺道治(2024)特別支援教育に学ぶ 発達が気になる子の教え方 The BEST.東洋館出版社.

-不適応行動, 発達障害

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