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【不適応行動の要求行動への対応】発達障害児支援の経験を通して考える

投稿日:2024年10月12日 更新日:

不適応行動″とは、例えば、他害、暴言、かんしゃく、パニック、逃避行動など望ましくない行動を指します。

問題行動″とも言われる〝不適応行動は、長期化すると〝二次障害″に繋がる可能性もあり(すでに二次障害が見られるケースもあります)、早期の理解と対応が必要です。

著者は療育現場(発達支援の現場)で、発達障害など発達に躓きのある子どもたちを長年見てきていますが、その中には、少なからず〝不適応行動″を見せている子どもたちもいます。

 

〝不適応行動″への対応をしていく際に、まず大切なことは、行動の意味(〝機能″)を理解した(見当をつけた)上で関わるという視点です。

そして、様々な不適応行動は4つの機能に分類できると言われています。

 

関連記事:「【不適応行動の原因について】4つの機能を通して考える

 

 

それでは、不適応行動への対応として、どのような方法があると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、不適応行動の要求行動への対応について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「渡辺道治(2024)特別支援教育に学ぶ 発達が気になる子の教え方 The BEST.東洋館出版社.」です。

 

 

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不適応行動の要求行動への対応について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

  • 行動スキルを教えて褒める

・正しい要求の仕方を教える

・できたときは褒め、できなかったときは確認する

・消去バーストが起きても仕方ないので、じっくり向き合うこと

 

不適応行動″の一つである要求行動″とは、何か(もの、活動、特権など)を手に入れようと試みる行動です。

要求行動″への対応としてまず大切なこととして、著書にある〝①正しい行動を伝える″があります。

例えば、泣いたりぐずったりして伝えるのではなく、言葉でお願いする方法を教えていくなどです。

次に、〝②正しい行動が取れ時には褒め、できなかった場合には再度確認する″があります。

例えば、大声を上げて自分の思いを押し通そうとする子どもに対しては、大声を出さなくても言いたいことは伝わる、大声を出さずに伝えるなど、正しい行動を教えたとします。

この場合、正しい行動が取れた(大声を出さずに要求ができた)際には褒め、できなかった場合には、最初に教えた正しい行動を確認する(大声をださなくても伝わるということを確認したよね、など)ことが必要です。

最後に、〝③消去バーストにはしっかりと向き合う″があります。

消去バーストとは、例えば、大声を出すことで、これまで要求が通っていたことが、急に通らなくなったことで、癇癪や泣き叫びなど過剰な抵抗が生じる状態のことを言います。

正しくない行動に対しては、基本、無視をする、相手にしない対応に加え、正しい行動を教えていく必要があります。

こうした過程において、消去バーストが生じることがありますが、じっくりと向き合う姿勢が大切です。

 

 

著者の経験談

著者がこれまで療育現場で見てきた子どもの中には、これまでの未学習・誤学習が積み重なったことで、〝不適応行動″の〝要求行動″が過剰に生じていたケースもありました。

この場合の基本対応として、①正しい行動を教えていくこと②正しくない行動には付き合わないようにする、といった方法を取ってきました。

こうした対応が効果を発揮するためには、大人との信頼関係が基盤にある場合にはうまく行く傾向がありますが、信頼関係がしっかりと育まれていないと、そもそも正しい行動を学習しようといった意欲が湧かないこともあります。

そのため、著者は①②の基本対応に加えて、大人との信頼関係(愛着関係)の構築も同時に進めていく必要があると感じています。

信頼関係が育まれてきて、大人との関わりに安全・安心感を持てるようになると、その人の言っていることなら話を聞こうとする様子も出てきます。

つまり、主導権が完全に大人になっている状況を作り上げていくことが大切です。

もちろん、信頼関係の構築には個人差があるため、愛着関係に非常に問題がある場合には、長期のスパンを視野に入れた対応が必要です。

こうした点を踏まえると、行動の背景には、〝愛情のエネルギー″や〝意欲のエネルギー″など、心の働きもまた大きく関与しているのだと思います。

 

 


以上、【不適応行動の要求行動への対応】発達障害児支援の経験を通して考えるについて見てきました。

子どもからの要求行動には、先に大人がその状況を予測して仕掛ける(先回りして対応する)ことも効果的だと感じます。

大切なことは、行動の背景を分析していくこと、その分析(仮説)に対する対応策を講じていくことだと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育実践を通して、行動の意味を深く理解し対応する力を身に付けていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

渡辺道治(2024)特別支援教育に学ぶ 発達が気になる子の教え方 The BEST.東洋館出版社.

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