著者は長年にわたり、発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育(発達支援)をしてきています。
療育(発達支援)をしていく上で、子どもの〝発達段階″といった〝子どもが時間変化の中でどのような成長過程を辿っていくのかという道筋″を理解しておくことが大切です。
もちろん、子どもの成長・発達の速度や質は個々に応じて異なりますが、○歳は○○を獲得する時期、〇歳は○○の特徴(課題)が見られる時期など、おおよその目安があると考えられています。
そして、〝発達段階″を理解することは、子どもの発達の躓きを理解することにも通じていきます。
それでは、思春期頃の年齢(11~18歳頃)において、どのような発達段階の特徴(発達課題)があると考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、子どもの発達段階(思春期頃)について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「宮尾益知(2017)0歳から大人、進学から就職へのすべてがわかるハンドブック 発達障害の基礎知識 改訂版.河出書房新社.」です。
子どもの発達段階:思春期頃
以下、著書を引用しながら見ていきます。
思春期というのは11~18歳頃まで続く、第二次性徴をきっかけとして始まる心身ともに不安定な時期のことを指します。
両親や家族との結びつきが弱くなり、学校をはじめとする仲間との結びつきがしだいに広く深くなってきて自主的な傾向が強まる「第二反抗期」になります。
著書の内容から、思春期頃の〝発達段階″における特徴(発達課題)として、〝第二次性徴″と、それに伴う〝第二反抗期″の時期だと言われています。
思春期頃になると、心身共に急速な成長・発達が見られます。
そのため、非常に不安定な時期に差し掛かり、他者の目や社会的な評価をより気にするようになっていきます(自己意識がさらに顕在化してくるため)。
そして、これまで主に親との関わりが多かった時期から友人との付き合いが増加する時期だと言われています。
著者が今、療育現場で見ている子どもたちは、12歳までと思春期に差し掛かる年齢の子どもたちです。
もちろん、個人差はありますが、この年齢頃になると、友人付き合いが増加し、仲間との結びつきをとても大切にしていることを実感できます。
一方で、他児との関わりが乏しい発達障害児や不登校児(不登校傾向のある子ども)などは、この時期に他児との繋がりを持ちにくい傾向があります。
そして、社会的な自己意識の獲得が遅れやすい傾向もあります(自閉症の人たちは特に)。
それでは、こうしたケースにおいて、どのような対応が必要なのでしょうか?
以下、著書を引用しながら見ていきます。
彼らのサポートができるようなサポーターを、この時期までに確保しておくことが重要です。
著書の内容から、他者との繋がりが希薄で孤立しやすい状況や自己意識の獲得が遅れやすい傾向のある発達障害児などに対して、できるだけ早期から彼らを理解し支えてくれるネットワーク(サポーターたち)を確保しておくことが大切だと言えます。
サポーターたちは、例えば、親以外にも教育や福祉の現場の人、医療機関の人などその子どものことを理解してくれる人たちなど、その子どもと長きにわたり関わってくれる相手であることが重要です。
著者もこれまで成人の自閉症の人たちとの関わりは少なからずありますが、思春期といった激動の時期を乗り越えるためにも、その人(保護者も含め)を支える様々なサポーターの存在は必須だと感じています。
そして、サポーターの中には、長い人生を支え続けてくれる人も出てくることがあります。
以上、【子どもの発達段階:思春期頃】療育経験を通して考えるについて見てきました。
思春期頃の発達は心身共に目まぐるしく変化を遂げる時期だと言えます。
一方で、発達に躓きがあると、周囲のサポートがないとこの時期をうまく乗り越えられない場合もあります。
周囲のサポートとは、何でも子どもの先を回って対応するということではなく、困ったら相談にのれる相手である事や、その人の意思決定を尊重して温かく見守ってくれる人のことでもあります。
もちろん、思春期をうまく乗り越えるためにも、それ以前の成長・発達がしっかりと育まれていることがとても大切です。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育経験を通して、長期にわたり子どものことを理解する目を養っていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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宮尾益知(2017)0歳から大人、進学から就職へのすべてがわかるハンドブック 発達障害の基礎知識 改訂版.河出書房新社.