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【子どもの発達段階:4~6歳頃】療育経験を通して考える

投稿日:2024年10月3日 更新日:

著者は長年にわたり、発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育(発達支援)をしてきています。

療育(発達支援)をしていく上で、子どもの〝発達段階″といった〝子どもが時間変化の中でどのような成長過程を辿っていくのかという道筋″を理解しておくことが大切です。

もちろん、子どもの成長・発達の速度や質は個々に応じて異なりますが、○歳は○○を獲得する時期、〇歳は○○の特徴(課題)が見られる時期など、おおよその目安があると考えられています。

 

そして、〝発達段階″を理解することは、子どもの発達の躓きを理解することにも通じていきます。

 

それでは、4~6歳頃の年齢において、どのような発達段階の特徴(発達課題)があると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、子どもの発達段階(4~6歳頃)について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「宮尾益知(2017)0歳から大人、進学から就職へのすべてがわかるハンドブック 発達障害の基礎知識 改訂版.河出書房新社.」です。

 

 

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子どもの発達段階:4歳頃

以下、著書を引用しながら見ていきます。

子どもの反抗は、自分の感情をコントロールする自律機能が発達することによって抑えられます。自律がしっかり育った子どもは、今後の生活の中で社会に適切な行動をとることができるようになります。

 

著書の内容から、4歳頃の〝発達段階″における特徴(発達課題)として、〝自律機能″の発達があります。

自律機能″が発達することは、3歳までの反抗期(自分の欲求を押し通そうとする時期)を乗り越え、自分の感情を抑制する(コントロールする)力が育っていく時期だと考えられています。

そして、〝自律機能″の育ちは、その後の社会の中で、他者との関わりや社会のルールにうまく適応していく上で大切な力になります。

著書には、この時期の父親の存在として〝社会的規範″を上げています。

母親が主に〝愛着対象″の中心である一方で、父親にはまた別の役割があるのだと言えます。

 

著者がこれまで療育現場で見てきた子どもたちの多くは、〝自律機能″の育ちに特徴が見られる(過度に周囲に従順に振る舞う、自己を過度に押し通そうとするなど)場合が多くありました。

中でも、こだわりの強いASD児や多動・衝動性のあるADHD児は、自己の感情をコントロールすることに苦味さがあるため、幼い頃からの療育はとても大切だと感じています(特性に応じた関わり・支援の必要性など)。

 

関連記事:「【自閉症の情動調整への支援について】療育経験を通して考える

 

 

子どもの発達段階:5歳頃

以下、著書を引用しながら見ていきます。

健常であればこの頃までには、相手の立場や相手の気持ちを理解することができるようになります。人はその人の持つ考えと気持ちで行動していることを理解するという意味です。

 

著書の内容から、5歳頃の〝発達段階″における特徴(発達課題)として、〝心の理論″の発達があります。

心の理論″とは、他者の意図や信念、気持ちといった、人には自分とは異なる心の存在があることを理解(推論)できる力です。

 

著者はこれまで発達障害児を多く見てきましたが、中でも、〝心の理論″の発達・獲得に遅れや特徴が生じるのが自閉症の人たちです。

自閉症の人たちは、〝心の理論″の獲得が9歳(言語発達年齢9歳)だと言われています(定型発達児は4~5歳頃)。

また、他者の心の理解(推論)も定型発達児とは異なる(理解のプロセスが)と考えられています。

 

関連記事:「自閉症の心の理論について考える

関連記事:「【心の理解の2種類の処理について】自閉症児者と定型発達児者との比較から考える

 

 

子どもの発達段階:6歳頃

以下、著書を引用しながら見ていきます。

一般的に6歳頃に「勉強に必要な能力(学習レディネス)」が形成される準備がととのいます。

 

著書の内容から、6歳頃の〝発達段階″における特徴(発達課題)として、〝学習のレディネス″がととのう時期だと言われています。

つまり、読み・書き・計算を獲得する準備が整うこと、さらには、落ち着いて勉強に集中できる力も身に付いていきます。

この時期に、注意散漫が多く見られるADHD児や読み書き計算に困難さを抱えるLD児などが目立ってくる場合が多くあります。

 

著者は間接的に学校現場と関わることがあるため、集団での授業がメインとなる通常級において、ADHDの特徴があることで集団から浮き(注意力の欠如などの要因)、そのため、周囲の大人から叱責を受けることで、自己肯定感の低下が徐々に目立っていったケースをこれまで少なからず見てきています。

また、LD児も初期の学習での躓きから、自己肯定感が低下する場合が多いと感じています。

このような注意力の問題や学習の遅れ(それに付随する自己肯定感の低下も含め)を早期に防ぐ環境調整がとても大切だと感じています。

 

関連記事:「療育で重要なこと-自尊心・自己肯定感の視点から考える-

 

 


以上、【子どもの発達段階:4~6歳頃】療育経験を通して考えるについて見てきました。

4~6歳といった年齢は、反抗期を乗り越え、少しずつ自律機能・心の理論・学習のレディネスが育っていく時期です。

こうした育ちは3歳までの育ち方が基盤となっていることも忘れてはいけないことだと言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育経験を通して、長い目で子どもたちの発達を理解する目を養っていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

宮尾益知(2017)0歳から大人、進学から就職へのすべてがわかるハンドブック 発達障害の基礎知識 改訂版.河出書房新社.


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