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【発達障害児支援で大切な感覚支援】療育経験を通して考える

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発達障害(神経発達症)とは、簡単に言えば、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)、学習症(SLD)など、様々な生得的な発達特性(AS、ADH、SLなど)に加え、環境への不適応状態(障害:Disorder)が見られる状態のことを言います。

発達障害児支援には、発達特性を踏まえた様々な支援方法があります。

 

発達障害児、中でも自閉症の人たちには〝感覚の問題″が見られる場合が多くあります。

 

それでは、感覚の問題に対して、どのような対応方法があると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害児支援で大切な感覚支援について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「前田智行(2024)「できる」が増えて「自立心」がどんどんアップ!発達障害&グレーゾーンの子への接し方・育て方.大和出版.」です。

 

 

 

感覚の問題について:〝自己刺激行動″と〝感覚過敏″を例に

感覚の発達が未発達、あるいは、低反応(感覚鈍麻)があると、自ら不足している感覚刺激を得ようとする場合があります。

こうした行動を〝自己刺激行動″と呼んでいます。

例えば、コマのように体を動かす、落ち着きなく動き回っている、高い場所から飛び降りる、などがあります。

 

また、感覚の問題には、様々な〝感覚過敏″もあります。

例えば、聴覚過敏、視覚過敏、味覚過敏、触覚過敏、嗅覚過敏など、人によって過敏さの対象や強度は異なります。

 

自己刺激行動″や〝感覚過敏″は、著者がこれまで見てきた自閉症を中心とした発達障害児に多く見られるものです。

こうした感覚の問題には、様々な対応方法(〝感覚支援″)があると考えられています。

 

 


そこで、今回は、〝1.自己刺激行動″及び、〝2.感覚過敏″に対する〝感覚支援″について見ていきます。

 

感覚支援について

 

1.自己刺激行動への感覚支援

以下、著書を引用しながら見ていきます。

自分で動いている分にはいいのですが、静かに話を聞く場面や、同級生が集合している場面で、勝手にどこかに行ってしまうと周りは困ってしまいます。そんなとき、その場で適切に自己刺激が入れられる自己刺激グッズを持っておくと便利です。

 

著書には、静かに座っている必要のある場面で大きな動き(自己刺激行動)をしてしまう子どもへの対応として、〝自己刺激グッズ″を推奨しています。

著者も子どもが落ち着いて座っている必要がある場面では、プッシュポップハンドスピナーなど、手持ち無沙汰にならずに感覚刺激を得られるアイテムを用意したことで情緒が安定したケースもこれまで多くありました。

その他、バランスボールハンモックなども、心地よい感覚を入れるアイテムとしてはおすすめです。


関連記事:「【自己刺激行動とは何か?】固有感覚と前庭感覚をキーワードに考える

関連記事:「発達障害児の感覚の問題への支援【感覚探求について】

 

 

2.感覚過敏への感覚支援

以下、著書を引用しながら見ていきます。

苦手な感覚刺激を減らすことと合わせて、好きな刺激を自分に入れる「自己刺激グッズ」を持っておくことがおすすめです。

 

感覚過敏があると、どうしても苦手な感覚刺激を避ける・防ぐことを念頭においた対応が上がってくることがあります。

もちろん、こうした対応はとても大切ですが、一方で、本人が好きな刺激を入れる〝自己刺激グッズ″の活用も大切な視点だと著書には記載があります。

例えば、自分が好きな音楽を聞くことで、識別感覚が優位になり、原始感覚(感覚過敏)が抑制されることが期待できます。

著者がこれまで見てきたケースに聴覚過敏の子どもが多くいましたが、彼らは自分が好きな音楽を自分で調整して聞いている時に、比較的、聴覚過敏が見られない傾向がありました。

このように、本人が好きな感覚を取り入れ、自ら活用していく視点もまた感覚過敏への対応として大切だと感じています。

 

関連記事:「【感覚過敏への支援方法について】療育経験を通して考える

 

 


以上、【発達障害児支援で大切な感覚支援】療育経験を通して考えるについて見てきました。

感覚の問題は子どもたち一人ひとりとても異なるものだと思います。

そのため、一人ひとりに合った感覚支援を考えていくことがとても大切なのだと感じています。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育実践を通して、感覚の問題を深掘りしていく中で、それに対する対応策も考えていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

前田智行(2024)「できる」が増えて「自立心」がどんどんアップ!発達障害&グレーゾーンの子への接し方・育て方.大和出版.



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