発達障害児・者への支援に携わる仕事をしていると、「合理的配慮」といった言葉を聞く機会があると思います。
著者も、職場の研修などを通して、「合理的配慮」に関する研修を最初に受けた記憶があります。
また、実際の現場でも、頻りに「配慮していきましょう」、「どういった配慮が必要だと思いますか?」など「合理的配慮」について語られることが多くあります。
それでは、そもそも合理的配慮とは一体どのような意味で使用されているのでしょうか?
そして、実際の現場においてどのように活用されているのでしょうか?
そこで、今回は、合理的配慮とは何かについて、臨床発達心理士である著者の発達障害児・者支援の経験談も交えながら、理解を深めていきたいと思います。
合理的配慮とは何か?
合理的配慮を説明する上で、頻繁に出てくるのが野球観戦をしている父・姉・弟の3人のイラストです。
ちなみに、背の高さは父から順に低く並んで観戦しているイメージです。
そして、3人の前に高いフェンスがあったとし、このフェンスの影響で野球が見えにくいといった状況を仮定します。
ここで、3人が野球をより見えやすくするために台を用意します。
最初に、3人それぞれに同じ高さの台を用意します。
これが、平等(equality)といった考え方です。つまり、1人1人に同じやり方(支援)をしていくというものです。
次に、父には台を無しにして、姉には台1つ分、弟には2つ分とそれぞれの背の高さに応じた対応をしていく、これが、公平(equity)といった考え方です。
つまり、1人1人に応じたオーダーメイドの対応(支援)をしていくというものです。
合理的配慮とは、このように、それぞれの過ごしやすさを考え、それぞれに応じて対応を変えるというものです。
例えば、発達支援の現場で特性のある子どもには、その特性に応じて、その子どもが過ごしやすい環境を整えることが重要になります。
公平な支援を行うためには、みんなが楽しく参加できるにはどうすればいいのか?といった視点が重要です。
最初から不参加という視点だと配慮ではなく排除になりますので、その子どもにあった参加の仕方を考えることが大切になります。
著者の体験談
次に、著者が発達支援で経験を通して、取り組んできた「合理的配慮」について、3つの事例から簡単に見ていきます。
1つ目として、著者が療育現場で未就学児への療育をしていたときの話です。
10人前後のクラスで構成されており、その中の数名の子どもがなかなか朝の集まりへの参加が難しい状況でした。
難しさの背景として、集団活動が苦手などの背景がありました。
その際に、配慮のポイントとして、短い参加でも参加したと捉えること、その子どもにとって、集団の苦手さが軽減されるような工夫をするといった対応をしていきました。
実際、そのように対応したことで、少しずつ参加度が高くなった子どももいました。
2つ目として、療育現場で運動会の練習の時の話です。
子どもたちの中には、練習の最初から、ゴールを目指して走れる子どももいますが、そうでない子どももいるなど、個々の能力や特性に応じて違いがあります。
その際に、配慮のポイントとして、みんなと一緒に同じようにやりましょうではなく、1人1人に応じて、対応していくという考え方が重要になります。
例えば、みんなが走る様子を近くで見学する(集団参加が難しい子ども)、コースアウトしても走り切ったことを良しとする(ゴールへの認識が難しい子ども)など、その子どもに応じて、どこまでを参加と捉えるのかを大人が調整するといった視点です。
そうした配慮を受けた子どもたちは、不安が比較的少ない状態で活動に参加できることが多くあったように思います。
3つ目として、放課後等デイサービスの現場で、集団で集まる時間に、ある男の子どもが集団への参加を嫌がった時の話です。
その子どもには聴覚過敏という特性がありました。
そのため、集団など賑やかな場面を苦手としていました。
配慮のポイントは、聴覚過敏について理解していきながら、過敏さへの軽減・回避法を考えていきました。
その結果、隣の部屋で他の支援者と一対一で行うといった方法をとったことで、声をかけると隣の部屋でなら参加できる様子が増えていきました。
著者のコメント
療育や教育などに携わる仕事をしている方々は、1人1人の能力や特性に応じて対応策を工夫されている方が多いのではないかと思います。
著者が学校教育を受けていた時代には、みんなと一緒の教えが多くあり、個々に応じての視点が今より少なかった印象があります。
そのため、著者の中で無意識的に個々に応じた対応が弱くなることがありますが、大概、このようなときには、支援がうまくいかないことが多いと感じています。
今の時代の教育は、1人1人に応じて配慮された〝オーダーメイドの教育“が重要なのだと思います。
そのためには、そもそも前提として、人は違うといった認識が重要だと言えます。
個々の違いを知ることは多様性を理解することに繋がっていきます。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も、1人1人の違いを理解し、それぞれに応じたより良い支援をしていけるように心がけていこうと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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