発達障害児の中には、様々な障害特性や知的な高低などによって状態像に違いが見られます。
最近では、もともとの障害特性や知的能力(変動はありますが)に加えて、社会に適応する能力の重要性が指摘されるようになっています。
そのためには、生活経験を積み重ねることがとても大切であり、私の療育現場でも、経験が与える影響について非常にポジティブな変化が子どもたちの中に見られることが多くあります。
今回は、発達障害児が生活経験を重ねることの大切さについて、私の経験などを踏まえてお伝えしていこうと思います。
私は現在放課後等デイサービスで支援員として働いていますが、新しい経験を利用者に与えるために、他の職員と一緒に様々な取り組みをしています。
例えば、「マックに行って買い物をしてみよう」では、メニューから自分が買いたいものを選ぶ、その時にお金の計算をする、定員さんに伝える、会計をする、などが必要とされます。
こうした一連の流れをすべて一人でできる人から、ほとんどすべて大人の手を借りないとできない人まで多様な子どもたちがいます。
大切なのは、どこまで一人でできて、どこからができないのかという視点です。
私が驚いたのは、発語がでていないお子さんでも、ある程度のルーティンを理解している子がいるということです。もちろん、口頭で買いたいものを伝えることは難しいですが、自分でメニューリストを見て選び、指差しで伝える子もいます。
こうした子どもたちは、ご家庭や学校、そして、放課後等デイサービスなどでこれまで経験値を重ねてきたケースが多く見られます。
また、別の例の、「駄菓子を買いに行こう」では、これも商品を見て自分で選ぶ、所持金を見ながら選ぶ、会計をする、などが必要です。
これまで何度も自分で駄菓子など買い物経験がある子どもでは、一連の流れを一人でできることが多く、動きとしてはともてスムーズです。こうした子どもたちの中には、お金の計算などがあまり得意ではない子も多いのですが、経験値として理解している様子が見られます。
低学年時から見ているお子さんの中には、これまでの積み重ねで、一連の買い物技能が身に付いてきていると感じることもあります。
一方、一見すると一人で金額を見ながら考え、商品を選ぶことができると思われていた子どもが、できないというケースもあります。こうしたケースは、やはり、経験値が足りないということが多くあります。
こうした経験値の不足には、支援の必要性があり、子どもたちが今後成長していく伸びしろを感じる部分でもあります。ですので、先ほど述べた、どこに大人が手を貸すとできるようになるのかという視点がとても大切かと思います。
上記の例で見た「買い物」一つとって見ても、様々な能力が問われます。そして、買い物経験を重ねることで、体で理解したという経験値に変わります。
このように、自分で物事を見て判断し決定するという能力は、これまでの経験に依存しているところが多くあるかと思います。そのため、療育現場では、買い物に限らず様々な体験価値を利用者の方に提供していくことがとても重要なのだと実感します。
今後も、日々の地道な積み重ねが子どもたちの成長に繋がるという視点を忘れずに、その中でも、発達につまずきのある人たちに対しては、個別の配慮も踏まえて、より良い支援を目指していこうと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。