発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

天才 発達障害

発達障害を天才とする見方の危険性について考える

投稿日:2020年8月30日 更新日:

発達障害についての書籍やニュースなどが増える中、発達障害は特殊な能力や才能がある、また、天才であるという内容のものを見かけることがあります。

歴史上の偉人と言われる人たちを見ても、確かに発達障害であった、あるいは、その可能性があった人物は決して少なくないと思います。

周囲を気にせず一つのことにのめり込む能力、様々な新しいことに挑戦する行動力、多くの人が気づかない所に着目しそれに対して考え続けることができる発想力と集中力、知能が非常に高いギフテッドと言われる人たちなど、これまで、そして、現在の偉人と言われる人たちには、こうした特徴がある人が多いのも確かです。

 

一方、発達障害の方の中には、障害特性をうまく社会の中で適応させることが難しく悩み・苦しんでいる方が多いのも事実です。

私自身、これまで多くの発達障害の方との出会いや共に仕事をすることを通して、多くの気づきがありました。

彼らの多くは、自分の発達特性・障害特性をどのように活かしたり、周囲からどのようなサポートをもらえばよいのかを日々悩んでいます。

発達特性・障害特性という認識も少しずつ社会の中に浸透してきています。例えば、ASD特性、ADHD特性などは最近非常に身近になってきたものとしてあります。

一方で、障害の併存や、知的能力について理解、不器用さ、視覚性の認知など、まだまだ理解の面で課題も多くあると思います。

発達障害の人たちの中には、障害がわかりにくい人たちも多くいます。そうした人たちは、「普通」と思われ、周囲からの援助やサポートを受けることが難しいケースも多く見られます。

この「普通」という用語が厄介であり、必ずそこには何らかの個人的な基準や尺度や指標が入るので、完全な「普通」はないことを前提にしても、人は何かの基準で判断しようとする傾向があるということです。

問題となるのは、ある基準に押し込まれたときに、その基準が本来その人の状態像と非常にズレている場合には、良い理解と支援を得ることが難しくなってしまうことです。こうした悪循環が繰り返されると、自尊心の低下や二次障害などに繋がってしまいます。

発達障害はその特性上、環境次第で確かに特別な能力や才能に開花することもあります。

一方で、発達障害の多くの人が社会の暗黙の了解や基準の中で悩んでいることは事実であり、そうした人たちへの理解が今後ますます必要になってくると思います。

私自身、障害特性を抱えながら、発達障害の弟を持つ身としても、今後、さらに深い発達障害への理解を目指していきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

スポンサーリンク

-天才, 発達障害

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

学びと成長について:発達障害の弟から教わったこと

発達支援の現場(発達障害など発達につまずきのある人たちへの支援)で働いていると、様々な疑問が生じることがあります。 人の発達にはどのような法則があるのか? 発達にはどのような機能が関わっているのか? …

【発達障害の子どもにはレジリエンスが必要】療育経験を通して考える

〝レジリエンス″とは、失敗をしても〝立ち直る力″、〝回復力″だと言われています。 レジリエンスが低いと、様々な困難に向き合うことが難しくなり、チャレンジ意欲も低下してしまいます。 発達障害の子どもたち …

発達障害と愛着障害の理解と支援-療育現場で活用できる視点について-

療育現場には、発達に躓きのある様々な人たちがおります。 著者も長年療育現場に勤める中で、多くの子どもたちと関わってきました。 療育現場での経験を通して難しいと感じたのは、様々な発達障害をどのように理解 …

【発達障害児の〝他害″行動時の対応について】暴力が出た時にどのように止めれば良いのか?

〝他害″行動とは、他者に対して暴力や暴言を行うことです。 著者の療育現場には、発達障害など発達に躓きのある子どもたちが通所してきていますが、その中にも〝他害″行動が見られるケースが少なからずあります。 …

【発達障害児に見られる予定変更が苦手な場合への対応】SST・ペアトレ・感覚統合からのアプローチ

発達障害児は、発達特性などが影響して、生活の様々な所で困り感が生じる場合があります。 著者は長年、療育現場で発達障害児支援を行っていますが、個々の発達特性や発達段階等を踏まえたオーダーメイドな支援はと …