発達障害には、ASDやADHD、LDなどが主な対象となっています。
発達障害がある子どもには、発達障害からくる特性が見られます。
例えば、一方的に自分の興味関心を話し続ける、時間やルールに必要以上にこだわる、思いついたらすぐにしゃべる、落ち着かなくずっとソワソワしているなどがあります。
著者は長年、療育現場で発達に躓きのある子どもたちを見てきています。
その中で、上記のような特性が顕著に見られる子どもたちは多くおります。
それでは、発達障害の支援においてどのような観点で関わることが良いのでしょうか?
そこで、今回は発達障害の支援で大切なこととして、著者の療育経験も踏まえながら、予防的な関わりについてお伝えします。
今回参照する資料は「本田秀夫(2022)学校の中の発達障害:「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち.SB新書.」です。
発達障害の支援で大切なこと【予防的な関わり】
著書の中では、ある児童が頻繁に教室を飛び出す例を取り上げています。
その中で、教室を飛び出す「理由」、教室内にいられる「工夫」、飛び出した後の「対策」の三つに分けて対応策が記載されています。
そして、上記の三つの中で、特に「理由」と「工夫」の大切さについて述べられています。
以下、著書を引用します。
私は「理由」を考え、予防のための「工夫」をすることが特に大切だと思っています。子どもが失敗してから「対策」をとるというのは、やむを得ない手段です。
特に発達障害の子や知的障害の子は、一般的な環境では失敗しやすく、日頃、困難を経験することが多いです。そういう環境で日々を過ごしている子どもたちにそれ以上、無益な失敗を体験させないように、予防的な対応を心がけてほしいと思っています。
著書の中では、発達障害の子どもへの支援において、「理由」と「工夫」といった予防的な対応の大切さを指摘しています。
つまり、何かトラブルなどが起こった後に、即時的に「対策」を講じることも時には必要ですが(そうならざるおえないこともあります)、それ以上に、子どもたちの特性や行動の「理由」を把握して、それに対する事前の「工夫」を考えることが重要だということです。
こうした予防的な対応は、子どもたちの失敗経験による自尊心の低下を防ぐことに繋がります。
著書にもあるように、発達障害や知的障害の子どもは、行動特性や物事を理解する能力が弱いため、特別な配慮や支援がないと、どうしても失敗することが多くなってしまいます。
そのため、発達障害の支援では、「予防的な関わり」がとても大切になってきます。
それでは、次に、著者の経験談から「予防的な関わり」の大切さについてお伝えします。
著者の経験談
著者は現在、放課後等デイサービスで発達に躓きのある子どもたちと関わっています。
発達障害のある子どもたちは、様々な場面でうまくいかないことや他児との間でトラブルを起こすことも多くあります。
著者は放課後等デイサービスに勤務した頃は、発達特性の理解は頭ではある程度は知っていましが、実際の経験と結びつけた経験としての知識が少なく、対応に困る場面が多くありました。
一方で、当時の著者は何かトラブルが起こった後の「対策」で何とかその場をやり過ごそうと思っていたところもあります。
それはまた、事前の「工夫」といった「予防的な関わり」の視点が非常に不足していたように感じます。
年数を重ねるにつれて、子どもたち一人ひとりの理解が深まり、それに応じてどのような関わりをしていけば良いのかが見えてくるようになりました。
その中で、「予防的な関わり」の大切さが徐々に理解できるようになりました。
つまり、活動前に事前に想定される子どもたちの動きやリスクなどを事前にシミュレーションしていき、それを繰り返すことで、子どもたちの失敗を減らしていくことができるのだと実践から学ぶことができました。
そのため、現在は、活動前にその前の活動などの状況を踏まえた上で、その日の活動への「工夫」を考えることがチームの中でも習慣化されるようになりました。
そして、以前多く見られていた、リスクやトラブルも激変したように感じます。
もちろん、どんなに事前にシミュレーションをしても、想定外のことは起こります。
しかし、それこそ、想定外の事以外は、事前に予想した通りといった印象を持つことが多くなったのも事実です。
そして、何より、子どもたちに自分のことをわかってくれている、安心して活動できるといったことを感じてもらうことが何よりも大切なことだと実感しています。
以上、発達障害の支援で大切なこと【予防的な関わり】について見てきました。
繰り返しになりますが、発達障害の支援で大切なことは、「予防的な関わり」です。
もちろん、事前に予測できないことも多くあるため、即時的な対応に迫られることもあるかもしれませんが、予測できない事態にもまた理由が関与しているケースが多くあります。
子どもたちが起こす現象の背景にある理由を追求して考えること、理由がわからなくても様々な工夫をしてみることが大切です。
私自身、まだまだ未熟ですが、これからも発達障害の支援として、「予防的な関わり」を継続していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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本田秀夫(2022)学校の中の発達障害:「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち.SB新書.