著者は療育現場で発達障害のある子どもたちへの支援をしています。
その中で、支援が難しいと感じるものに、‟二次障害”が生じているケースがあります。
それでは、二次障害への理解と支援においてどのような観点が大切となるのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害の二次障害への理解と支援について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら考えを深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「齊藤万比古(編著)(2009)発達障害が引き起こす二次障害へのケアとサポート.学研.」です。
発達障害の二次障害への理解と支援について
それでは、以下に3つの観点から見ていきます。
1.二次障害を理解することの意義について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
中でも二次障害に関する知識と経験は、発達障害児・者のサポートに関与する専門家に現在最も求められているものの一つであるといえよう。
まず、著書の内容から、発達障害支援に関わるスタッフには、二次障害に関する知識と経験は非常に重要であるとの記載があります。
著者もこれまでの療育経験を通して、二次障害が生じている子どもたちとそうでない子どもたちとの間には、理解と対応の面での違いを感じています。
そのため、発達支援に携わるスタッフにとっては、二次障害への理解は必須と言えるほど重要な内容だと感じています。
2.二次障害を踏また発達障害全体の理解について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
二次障害についての見識をもつことは、おのずから発達障害を全体像として理解しようとする姿勢を生むことになる。そしてそのような姿勢は、発達障害の当事者の「今、この時」の状態像や機能を、当事者が経てきた過去の多様な経験、例えば外傷体験や報われ支えられた経験の質と量、過去に出会った人物との交流の質と量などとの相互作用の結果という観点から評価することを可能にする。
著書の内容から、発達障害の理解において、二次障害を踏まえて理解することは、おのずから発達障害の全体像の理解を生む姿勢に繋がるとの記載があります。
そもそも、発達障害を理解するためには、〝発達的視点“が大切です。
〝発達的視点“とは、個人要因と環境要因との相互性に時間軸を加算して人の発達過程を把握していく視点のことを言います。
そのため、本来、発達障害の理解には、過去から現在に至るまでの経過を踏まえて考えていくことがとても大切になります。
二次障害といった理解も同様に、これまで辿ってきた発達過程の中で生じてきたものであるため、この過程を把握していくことが重要です。
著者も、臨床発達心理士でもあるため、〝発達的視点“をとても大切にしています。
つまり、二次障害の発症には、これまでの発達歴からの理解、例えば、その子がどのような特性があり、どのような環境の中で、どのような関わり方を受けてきたのかという理解がとても大切になります。
つまり、発達過程からその子の現在の状態を理解していく中に、おのずと二次障害への理解も含まれてくるということになります。
3.地域で支えるという視点について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
原則的には地域に点在するケア・サブシステム(障害福祉、教育、母子保健、医療などの分野ごとの集合体のこと)を、共通の目的意識のもとに連携させた総合的なケア・システムとして考えていくべきものだろう。
著書の内容から、発達障害の二次障害への支援では、地域に点在する様々なケア・サブシステムが連携して取り組んでいくことが重要だとの記載があります。
例えば、二次障害が発症している小学生のA君がいたとしましょう。
このケースにおいては、家庭だけの対応から、学校という教育現場、また、医療機関、そして、障害福祉からのサポートなど、様々なシステムが共通の目的意識を持ちながら支援に携わっていくことが考えられます。
実際に著者が勤める療育現場においても、療育現場と学校、そして、地域の相談機関、そして、医療機関など様々なシステムがうまく連携が取れている方が、支援がより進捗していくように思います。
以上、発達障害の二次障害への理解と支援【療育経験を通して考える】について見てきました。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も二次障害への理解を深めていきながら、現場の子供たちの心に寄り添っていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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齊藤万比古(編著)(2009)発達障害が引き起こす二次障害へのケアとサポート.学研.