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発達障害

発達障害との出会い:その概念との出会いから考えたこと

投稿日:2020年4月20日 更新日:

今回は私が発達障害の領域に関心を持ったきっかけとその後の経緯について簡単に触れたいと思います。

私がまだ20歳前の頃、当時、高校へ進学したばかりの弟がいましたが、この頃に弟が発達障害の診断を受けました。診断名は広汎性発達障害というもので、今では自閉症スペクトラム障害に位置付けられています。この頃は今よりも発達障害という概念が社会に広がり浸透していなかった時代でもあります。そして、これまで発達障害という名称を聞いたことがなかった私は何かの間違いではないかという思いと、この発達障害とは一体何だろうという思いと、弟は障害ではないという様々な思いが混在していたことを今でもよく覚えています。しかし、当時の弟は学業や集団活動など至るところで躓きを示しており限界の状態でした。

その後も複雑な心境を抱えながらあまり弟の障害には目を向けようとはせず、これまで通りの接し方を続けました。そうした中で、おそらく時間がたてば解決する、治るのではないかとも思っていました。弟との関係は今まで通りで何か特に心理的距離が遠くなるなど変化はありませんでしたが、私が大学へと進学し他県に行くと少しずつ弟の障害について考えるようになりました。とりあえず母に何かいい本はないかと聞き、「広汎性発達障害の子どもたち」という本を借り読み込みました。そこにはコミュニケーションの障害や社会性の障害、こだわり行動など自分がこれまで目にしたことがない内容が書かれており、読みながら弟の状態像と比較してもしっくりくる点がむしろ少ない印象を受けました。今にして思えば、兄弟間でのやり取りと社会の中での意思疎通などは質の違うものだということに気づくまで時間がかかりました。当然、様々な兄弟がいますので一概には言えませんが、自分たちは仲の良い関係であったことや、私が兄という立場だったこともあり、兄が無意識に弟が苦手とする部分をカバーし、それが定着すると阿吽の呼吸でのやり取りが成立しており、そのことがむしろ気づきを遅らせていたのかもしれません。ちなにみ障害受容に関しては家族の中でも私が一番時間がかかり2~3年はかかったかと思います。

それから数年の間、発達障害に関する書籍を読んだり、過去の弟の発達を思い返したりしながら、徐々に発達系や人間に関する領域への興味が強まってきました。その中で、弟が努力では解決できない問題が多くあること、そして、これまでそういったことが多くあったことが少しずつ想像できるようになってきました。そういった過程を経て、心理系の学部へ編入することを決め、本格的に心理や福祉、発達障害の領域を学ぶことを始めました。これまで何一つ本気で物事に打ち込んだことがなかった自分にとっては良い転機になったかと思います。この分野を学び続けたおかげで、多くの人との出会いがあり、人の発達が非常に多様であるということを実感できるようになりました。まだまだ未熟ではありますが、今後もよりよき発達理解と発達支援ができるように頑張っていこうと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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