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発達支援(遊び編):遊びでみられる困難さとその対応、そして成長について

投稿日:2020年7月12日 更新日:

 

発達障害のある子どもたちは関わり方の面で特別な対応や配慮が必要になることがあります。

例えば、見通しの持ちにくさがある、切り替えが悪い、感覚の過敏さ・鈍感さがある、自分が思ったことを直ぐに口にしてしまう、順番が待てない、暗黙のルールの理解が難しい、相手の言動をそのまま受け取ってしまうなど、苦手な面も多様です。

こうした内容に関しては、ある年齢で一時的に現れるというだけでなく、生涯にわたって持続する傾向があるということ、そして、適切な対応や配慮があることで、本人なりのペースでしっかりと学習していくことができると感じています。

また、発達障害のある子どもはこうした特性ゆえに遊び方も独特な面があります。

例えば、ある感覚遊びに没頭する、ルールなどの理解が難しいため自分のやり方にこだわる、遊びの終わりの切り替えがうまくいかないなどよく現場で見かける光景です。

私はこれまで療育施設と放課後等デイサービスなどで未就学児や小学生などを対象に療育をしてきました。その中で、子どもたちと遊びを通して多くのことを学ぶことができたと感じています。

 

そこで、今回は、発達障害のある子どもたちの遊びを例に取り、遊び方、対応の難しさ、そして、継続した対応から子どもたちにみられた成長についてお伝えしていこうと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

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発達支援(遊び編):遊びでみられる困難さとその対応、そして成長について

遊びの事例を取り上げると非常に膨大な量があります。

そのため、今回は遊びの中でよく見られる困り感に焦点を合わせてお伝えします。この場合の困り感とは、大人側の対応の難しさという意味も入ります。

 

①ある感覚に没頭する

これは比較的、重度のお子さんたちによく見られる光景かと思います。

私が以前勤めていた療育施設では非常に多く見られました。

中でも、水や砂遊びを一度始めるとやめられないという子どもたちが多くいました。夏場の水遊びなど一度水に入るとエンドレスで入り続ける子がいます。彼らは水から得られる感覚がとても心地よい、あるいは非常にしっかりと刺激として認識できるということから、その感覚に没頭するのだと思います。

私は、感覚遊びは好きなだけやらせてあげたいと考えていますが、次の活動などがあるとそうもいかないことがあります。ですので、事前に感覚遊びをする時間を長めに設定すること、終わりの時はさっと切り替える(可能であれば水などは流して片付ける)などの対応をしてきました。

そうすることで、すべての子どもたちではないにしろ、満足感が得られることが多かったことから、次の活動にスムーズに移れるようになった子も多くいました。

 

②ルールの理解が難しい

小学性などと関わるとルール遊びが増えてきます。鬼ごっこやかくれんぼ、カードゲームなどその中には色々とルールがあります。

私が見てきた子どもたちは、こうしたルール理解が難しい子が多くいました。例えば、自分でルールを作って勝手に始めたことで他児とトラブルになる、ルールを勝手に変更してしまう、そもそもルールがよく理解できないなど、子どもたちによって難しさの中身が違います。

私はこうした子どもたちに対して、ルール遊びの際には、事前にルールを説明する、ルールの変更をしたいときには大人に相談する、ルールがよくわからない子もいるということを伝え大人と協力してやるなどの対応をしてきました。

最初はあまりうまくいきませんが、子どもたちとの関わりが増えてくることで、個々の理解力や許容力などを大人がわかるようになると、上記のルールの提示がより明確になってくると実感します。

子どもたちも、経験を重ねること、そして、認知(理解する側面)が発達することで大人からの説明が徐々にわかるようになってきた子も多くいます。中には、大人以上に周りに配慮したルールを考え出す子もいるなど、子どもたちの成長を実感できることがよくあります。

 

③切り替えがうまくいかない

これはよく現場で起こることだと思います。私の現場でよく起こるのが、工作遊びの際に、思っていたものがうまくできない、あるいは完成途中などの場合に、やめることができない(当然の心境ではありますが・・)などが起こります。

何かを作るということは発達につまずきのある子どもたちにとっては思いのほか難しいことがよくあります。ハサミやノリなど道具の使用がうまくいかない、作りたいものはあるがイメージできない、イメージできても作る工程がわからないなど、個々に応じてうまくいかない所は異なります。

ですので、切り替えがうまくいく前提として、遊びを充実して終えることができたのかという視点をとても大切にしています。

先ほど例に上げた工作に関しては、残り時間を子どもに伝えその中で何をどこまで作りたいのか、できなかったときにはどうするのかを事前に決めるようにしています。また、うまくいかないときなど大人に相談するように伝えながら、適宜サポートをしています。

こうした地道な対応を継続することで、完成できなくても次回続きを作る、時間内にできることをうまく自分なりに考えることができるようになった子どもも多くいました。その結果、切り替えがうまくいくようなりました。

 


以上、いくつか事例をお伝えしてきました。

こうした内容は発達につまずきのないお子さんでも見られるケースかと思います。私の感覚だと発達につまずきのあるお子さんたちだと、起こる頻度が多い、そして、しっかりした対応と配慮がないと誤学習に繋がるということが現場を通して言えるかと思います。

また、感覚遊びやルール遊び、工作遊びなどを例に上げましたが、こうした遊びは、一般の遊びに関する保育本に遊び方などが多く記載されていますが、療育現場においては、こうした遊びをさらにアレンジしていく必要があります。つまり、特別な対応や配慮が必要だということです。

このように遊びを通して、子どもたちの困り感(大人も含む)から、個々の発達への理解、そして、継続した対応やそこから見えてくる成長など多くのことを学ぶことができると思います。

今後も遊びを通して、子どもたちの理解と成長などが実感できるようにより良い発達支援を目指していこうと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 


療育における遊びのレパートリーに関する記事

関連記事:「発達支援(遊び編):療育施設での遊びのレパートリーについて

 

遊びに関するお勧め書籍紹介

関連記事:「療育(発達支援)に役立つ遊びに関するおすすめ本【初級~中級編】

 

 

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