〝発達性協調運動障害(DCD)″とは、簡単に言うと、粗大運動(全身運動)や微細運動(手先の細かい運動)などの協調運動に問題があり、それが生活上、支障が出ている状態のことを言います。
〝発達性協調運動障害″は、自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、学習症などと同じく発達障害の一つに該当します。
最近では、子どもの発達性協調運動障害といった運動の問題に関する研究も徐々に増えてきています。
それでは、発達性協調運動障害(DCD)を理解していく上でどのような知識が必要となるのでしょうか?
そこで、今回は、発達性協調運動障害(DCD)を理解する上で非常に参考になるおすすめ本5選【初級~中級編】を紹介していきます。
実際にこれから紹介する本を通して著者自身、発達性協調運動障害(DCD)の理解が深まった、支援の役に立った等、有益な知識を得ることができました。
ぜひ、参考にしていただければ幸いです。
1~5の番号はランキングではありません。紹介内容を見て入りやすい本から手に取って頂けるといいかと思います。
1.発達性協調運動障害[DCD] 不器用さのある子どもの理解と支援
国内の発達性協調運動障害の先端を走る研究者の方々によって書かれた専門書になります。
専門書とは言え、初心者の方でも理解できる部分が多くあると思います。
DCDの歴史、診断、介入方法、乳幼児期~青年・成人期までの各ライフステージの評価と支援の実際、他の発達障害との関連などDCDに関する知識が網羅的に記載されています。
DCDの研究を行いたい(行っている)、専門的な知識を身につけたい、アカデミックな知識に興味がある方にはお勧めです。
2.イラストでわかる発達性協調運動障害DCDの子どものサポートガイド 不器用さのある子の「できた!」が増える134のヒントと45の知識
DCDの領域で有名な〝中井昭夫さん″が手掛けた本になります。
協調運動に問題のある子どもへのサポート方法がイラストを通じて分かりやすく紹介されています。
消しゴムやコンパスといった道具の使い方、球技や縄跳びなどのスポーツのコツなど不器用さのある子どもが身近な生活で躓きやすい様々な問題とそれに対するサポート方法が豊富に載っています。
後半では、DCDに関する必要不可欠な知識が非常に圧縮された形でコンパクトにまとまっています。
子育てをしている方、そして療育や学校現場に携わっている方にはとてもお勧めです。
3.運動の不器用さがある子どもへのアプローチ 作業療法士が考えるDCD(発達性協調運動障症)
作業療法士・医学博士の〝東恩納拓也さん″が書いた運動の不器用さのある子どもへのアプローチに関する本です。
DCDとは?DCDのアセスメントとは?アプローチの流れとポイントとは?などについて非常に分かりやすく記載されています。
1が専門的な書籍であるのに対して、この本は入門的な書籍といっても良いと思います。
そのため、DCDについて初めて学ぼうとしている方に特にお勧めです。
4.発達性協調運動障害 親と専門家のためのガイド
100ページ程度の書籍ですが、DCDに関する研究知見も豊富に載っているため、専門書としても読める一冊です。
著者の〝宮原資英さん″は、運動学に関する専門家です。
1で紹介した本の監修もされているほど、国内のDCD研究では非常に有名な方です。
この本では、DCDについての知識を概観できるだけでなく、後半には、DCDのある子のための家族を中心とした運動介入のワークブックがついています。
そのため実践にも大いに活用できるところがあります。
DCDを持つ子ども(不器用さのある子ども)をサポートしたいと考えている親や専門家の方にお勧めです。
5.不器用さのある発達障害の子どもたち 運動スキルの支援のためのガイドブック
作業療法士の〝リサ・A・カーツさん″が手掛けた本になります。
これまで紹介してきた本とは異なり海外の書籍の翻訳本になります。
この本では、運動機能の発達や遅れの知識、そして、介入方法についての知識を得ることができます。
訳本ということもあり、少し読みにくい箇所もありますが、発達性協調運動障害の知識を深めたい方にはお勧めです。
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